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DTPエキスパート認証試験(課題作成)の一考察

掲載日: 2012年05月24日

DTPエキスパート認証試験の課題作成については、いろいろ機会を通じて説明させていただいているが、今回は受験後に「結果通知」を題材にコメントしてみる。

■課題作成については、いろいろな媒体、機会を通して説明してきたが、受験者をはじめにその課題作成についてより理解を深めてもらう目的で今回受験後に通知される「結果通知」を題材にして取り上げてみたい。下記に学科試験を含めた「結果通知」の抜粋を挙げるので参考していただきたい。

■「結果通知」より抜粋
1. 全体評価
全体評価は(1)DTP、(2)印刷発注、(3)印刷工程、(4)色、(5)コンピュータ、(6)課題の6つのカテゴリーに分け、すべてのカテゴリーで80%(100点満点換算で80点)以上の得点を合格としています。

(1)~(5)は筆記試験のカテゴリーです。それぞれ次のような知識を対象としています。
(1) DTP:文字コード/フォント/画像フォーマットなどのDTP関連データ、デジタルカメラ/モニタ/プリンタなど入出力装置、  画像処理、データベース、PDF利用などシステム設計やワークフロー構築。
(2) 印刷発注:レイアウト/編集/校正/組版などデザイン・編集関連と印刷企画。
(3) 印刷工程:プリプレス全般および刷版・印刷・紙・後加工。
(4) 色:光と色の原理、表色系、配色、写真原稿、色分解、インキの色、カラーマネジメント。
(5) コンピュータ:ハードウェア、ネットワーク、DTPソフトウェアに限らない各種アプリケーション。

筆記試験は「DTPエキスパートカリキュラム」に沿って「グラフィックアーツ」と「コンピュータ環境」の2部構成で実施していますが、5つのカテゴリーは必ずしもこの順でまとめて出題しているわけではありません。おなじ色修正の問題でも、原理的な設問なら(3)印刷工程の問題として「グラフィックアーツ」に、ソフトウェアに関する設問なら、(1)DTPの問題として「コンピュータ環境」に出題しています。また、同じPDFでも、フォーマットの問題とワークフローの問題とは分けて出題しています。これは、DTPエキスパート試験が単にことばの意味を覚えるのではなく、実際の仕事における技術の役割や利用法を優先しているからです。
(6)課題は、筆記試験とは別に提出された実技課題を対象としています。


2. 課題評価
DTPエキスパート試験では、実技課題は筆記試験を補うものとして、全体の中のひとつのカテゴリーと考えています。課題のどこが悪かったのかをより詳しくお伝えする意味で、「作品」と「制作指示書」それぞれを3つのカテゴリーに分け、合わせて6つのカテゴリーの点数としてお知らせしています。全カテゴリーで8点以上(10段階評価)の得点を合格としています。
ただし、実技課題は筆記試験のように合否が明確ではなく、筆記試験に比べ点数には幅があります。同じように作成しても総合的な判断の結果、合否が分かれる場合もあります。六角形のグラフはあくまでも相対的な目安と考えてください。
各カテゴリーとも9点以上は問題なく合格ですが、8点には許容範囲があり、必ずしもレベルは一様ではありません。7点以下はなんらかの不足や誤り等があって、不合格と判断したものです。

課題の各カテゴリー分けとその評価内容は以下のとおりです。

1作品の評価内容
(1) レイアウト:パーツの配置、大きさのバランス。トンボ、塗り足しなど製版・印刷に必要な要素。印刷物として通用する紙面であること。
(2) 組版:フォントの選択・サイズ。行長・行間、左右の揃え、禁則処理など。文字校正、表組など。
(3) 画像/色:画像処理(写真のトリミング、レタッチ、イラストの補正などを含む)、配色など。

2制作指示書の評価内容
(1) 設計:レイアウト設計図があること。制作上の留意点、制作環境、制作手順、改訂版やシリーズとしての紙面設計(ページ物/チラシ)、標準化と効率化など。
(2) 要素:仕様(受注内容)、パーツの詳細指定など。
(3) 表現:制作指示書の構成、可読性/正確性、提出作品のレイアウト指定、指定用語の使い方など。

※100点満点による課題の点数は総合的な評価の結果であり、カテゴリー別の評価を基準にしていますが、6つのカテゴリーの合計を単純に100点満点に換算しただけではありません。
※80点に満たない場合、上記説明のとおり、あるカテゴリーに記述不足や誤り等の欠陥から7点以下がつき、総合評価で合格点に達しなかったものとご理解ください。

■作品、制作指示書ともに上記のような評価項目で採点される。学科同様に各項目ごとで80%以上の得点が求められる。「課題作成の手引き」で求められる要件をもとにその評価内容が採点される。作品では、特に難しい事項を求められるわけではなく、印刷物(紙メディア)として成り立つごく当たり前のレイアウト、組版、画像/色の要件が求められていることが理解していただけると思われる。制作指示書に関しても特段難しい項目を要求をしているわけではない。第3者に的確に指示できる表現もしくは内容(設計、要素、表現)を求めている。ただし、制作指示書は、作品とは異なり日常の実際の業務の中で実存しないなので具像化しにくい側面があるのも事実ではある。

(資格制度事務局)
■第38期DTPエキスパート認証試験 

試験日程:2012年8月26日(日)
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『DTPエキスパートを目指す人のための「新問題」「課題制作」のポイント解説セミナー 』
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