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印刷界OUTLOOK2012 【労働】
2010年の印刷業所定内給与は25万円台
厚生労働省「毎月勤労統計調査 年報2010年」の常用労働者1 人平均月間現金給与額(事業所規模5 人以上)によると、2010 年の印刷業の所定内給与(定期給与のうち残業代を除いた額)は、25万8216 円で2009 年の26 万145 円から1929 円減少(▲ 0.7%)となった。また、残業代を含めた定期給与ベースでは28 万8885 円と、2009 年より1394 円減少(▲ 0.5%)した。
一方、製造業全体の定期給与は29 万5584 円(所定内給与26 万7225 円)で、2009 年の定期給与28 万7092 円と比較して8492 円の増加(+3.0%)となり、所定内給与は2008 年の所定内給与(26 万7628 円)水準をほぼ回復した。リーマン・ショックの影響で労働時間が大きく減少し、超過労働給与が減少した2009 年と比べて、回復の兆しが見え始めているようだ。
印刷業の定期給与平均は残念ながら製造業全体を下回り、広告業や情報サービス業、自動車・同附属品製造業には及ばないが、パルプ・紙業よりは高い水準となっている。
印刷業の労働時間は年間約2050時間
常用労働者1人平均月間実労働時間数(事業所規模5 人以上)をみると、2010 年の印刷業の総実労働時間(所定外労働時間を含む)は170.8 時間で、年間では2049.6 時間だった。前年の月間168.9 時間、年間2026.8 時間と比べ、月間1.9 時間、年間22.8 時間増加した。印刷業の労働時間(月間170.8 時間)を周辺業界と比較すると、製造業全体(同161.5 時間)やパルプ・紙・紙加工品(同161.8 時間)、情報サービス業(同161.6 時間)や広告業(同162.0 時間)より長い。
全産業、製造業、印刷業の労働時間を比較すると、産業全体の総実労働時間は、月間146.2 時間(前年144.4 時間)、年間では1754.4 時間(同1732.8 時間)となり、前年から21.6 時間(+1.2%)増加した。製造業全体の総実労働時間は、月間161.5 時間(前年154.1 時間)、年間では1938 時間(同1849.2 時間)となり、前年から88.8 時間(+4.8%)増加した。製造業全体のプラス幅が大きいのは、エコカー補助金やエコポイントなどの影響で製造業を代表する自動車・同付属品製造業を始め多くの業種で生産が拡大し、全体が押し上げられたためと考えられる。
印刷業の労働時間が他の業種に比べて長いのは、印刷物に対する、多品種・小ロット・短納期化など要望の複雑化や、受注生産のためシステム化やスケジュール化が難しいことなどが理由と考えられる。引き続き、工場の生産性向上や営業面での合理的な受注・制作体制を追求していく必要があるだろう。