JAGAT Japan Association of Graphic arts Technology


本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

利用が増えるソーシャルメディア、Facebookは活用に課題も

掲載日: 2012年07月09日

【クロスメディアレポート2】 印刷業におけるソーシャルメディア利用率は2割程度。Facebook活用も増えているが、運用面や発信内容についての課題もうかがえる。


総務省が発表した2011年の通信利用動向調査によると、ソーシャルメディアを活用している企業の割合は12.4%であった。利用用途は約半数が「商品や催物の紹介・宣伝」に活用しており、次いで「定期的な情報提供」「会社案内、人材募集」「マーケティング」と続く。

同調査ではマイクロブログ(Twitterなど)、SNS(Facebookなど)、動画投稿・共有サイト(YouTubeなど)をまとめてソーシャルメディアとして扱っており、ぜんぶひっくるめて利用率が1割ちょっとというのは、思ったより少ない数字であった。産業別にみてももっとも高い「サービス業・その他」で18.2%、「卸売・小売業」で11.7%、印刷業が含まれる「製造業」では8.9%である。

Facebook アカウント取得は2割、自社活動発信が主

2012年3月にJAGATが実施したクロスメディア実態調査※では、FacebookまたはTwitterのアカウント取得率は20.4%であった。1年前と比較して13.3ポイント増となっている。

q5et6_sosialmedia2.gif

そのうちFacebookについて見ると、16.2%がアカウントを取得している状況である。1年前の調査時点では5%に満たない(3.8%)状況であったことを考えると1年間で大幅に増加したといえるだろう。

Facebook ページの開設時期は、2010年12月に開設したのがもっとも古く、半数以上(53.5%)が2011年4月-9月までの期間にページを開設している。用途は社内外の活動紹介が多く、採用向け情報やメディア露出情報なども発信している。

Facebookを活用して全国の情報を取りまとめる「いいね!日本酒。」

自社の情報発信用途以外にも、社名を前面に出さずに製品やサービス、タウン誌などのブランド名義で運営しているページも見られた。 

日本酒などのラベルやパッケージ印刷を手がける高桑美術印刷(石川県)では、酒造関連メーカーと長く取引をしていることから、日本酒の日にあたる2011年10月1日より販売促進・情報発信を目的とした日本酒のファンサイトを運営している。

sakefan_01.jpg

この「いいね!日本酒。」では、日本全国の蔵元が運営するFacebookページを登録してもらい、ランキング形式で表示している。開設して10ヶ月あまりでFacebookのメーカー登録数は56、9300以上のファン数(=いいね数)を獲得するなど順調にファンを増やしている(2012年6月時点)。Facebookでの日本酒に関する情報発信を軸に、取材した動画はYoutube、サイトの補足説明等はブログとメディアを使い分け、メインページに集約する仕組みである。

「つくってはみたものの更新していない」企業、「あえて使わない」企業も。

Facebookのアカウント取得が増えた一方で、「公式アカウントを取得したが、活用していない」というところも出始めている。
「twitter は販促目的で利用しているが、Facebook はユーザーネームを確保する目的でアカウントを取得したきり更新していない」(大阪府・印刷関連業)、「社内でソーシャルメディアの活用提案が盛んになったためFacebookページを開設したが、運用担当者が1名だったため役割変更により更新を続けることができなくなった」(東京・印刷関連業)などの声もある。

Facebook を活用しようという意識は高まっているものの、回答からはTwitter やブログといった他のメディアと発信情報を棲み分ける難しさや、少ない運用担当者で業務の合間に更新しているため継続運用が難しいといった様子もうかがえる。また、「うちの情報発信の方向性としてはTwitterが適している。Facebookはやらない」と利用メディアを絞って運用しているところもある。

『インターネット白書2012』(発行:インプレスR&D)によると、日本のソーシャルメディア人口(SNS+マイクロブログ)は前年比43%増の5060万人であるという。今後も利用人口が伸びていくことを考えると、お客さんとのコミュニケーション手段、または提案ツールのひとつとして、印刷業界でもソーシャルメディアとうまく付き合っていくことが求められていきそうである。

※クロスメディア実態調査:印刷業・印刷関連業におけるクロスメディア対応への取り組みを把握する目的で実施する意識調査。毎年3月に実施、報告書は7月に刊行予定。

(研究調査部 クロスメディア研究会 中狭亜矢)

(C) Japan Association of Graphic Arts Technology