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本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

印刷会社の経営と戦略、そして設備と投資スタンス2012 「JAGAT印刷産業経営動向調査2012」結果サマリ

掲載日: 2012年07月02日

2012年2~3月に調査した印刷会社経営動向調査の最新レポートがまとまった。印刷会社の経営状況、戦略、保有設備と投資意向はどのようなものか。業績良好な印刷会社のかたちとは。印刷会社の経営と戦略、設備と投資スタンスを同時に調査する唯一の本レポートから最新動向を見る。

経営 : 売上高は4年連続減少、経常利益率は1%台に

売上高は下げ幅を過去2年より縮めたが4年連続のマイナス、売上経常利益率は過去最低を更新する1%台に低下した。ただし、リーマン・ショックから数年が経ち、各種の指標で下げ止まりの傾向が見られる。加工高比率は横ばいだが、売上高の減少が続き人件費や販管費などの固定費が負担になってきている。設備面においては1人当り機械装置額の減少、人員面においては非正規社員活用の増加といった傾向が認められる。

戦略 : 戦略の転換、上流工程へのシフト

「強化したい工程」の最多と2位は「デザイン」と「Web制作」。デジタルコンテンツへの対応ニーズが増え、強化したい分野が上流側にシフトしている。逆に縮小したい工程の最多は、数は少ないながら初めて「印刷」になった。また、「将来的に重視したい事業領域」では「脱印刷」を選んだ会社が過去最高になった。リーマン・ショック・電子書籍の登場・東日本大震災などを経て起きた社会変革に対応し、印刷会社も変革に対応する姿勢が鮮明になった。

投資 : 様子見姿勢が続く、ハードからソフトへ

設備投資額を「前期とほぼ同じ」にするとした印刷会社が例年同様、約半数で多くが様子見である。ただし、「前期より大幅に増やす」とした会社が4年ぶりに5%を越えるなど、過度の投資抑制スタンスに対する見直しが進んだ。枚葉機はUV対応機が人気、輪転機は需給調整局面、デジタル機はライトプロダクツ機とハイエンド機の二極化といった傾向だが、どれも大きな市場を形成するほどのトレンドがない。投資重点分野の最多は「人材」となっている。

プロファイル : 業績良好な印刷会社のかたち

報告書では、業績良好な印刷会社の形を浮き上がらせている。業績上位10%の印刷会社は、売上高は平均的会社より2割低いが、1人当り売上高は平均より1割弱高く、加工高比率は約10ポイント高く、ここで差がついている。売上高は従来の分類に入らない「その他」の構成比が高い。また、平均年齢は若いが1人当り人件費は高く、1人当り教育研修費は平均の倍近い。こうした人的資源への投資が活発さなどの特徴が見られる。

結果報告及びレポート

詳細な設問から構成される本調査に回答をいただいた140を越える印刷会社の方々に、心より御礼申し上げる。35回目となる本調査の調査結果及びその分析はレポート「JAGAT印刷産業経営動向調査2012 」にまとめ、6月29日に回答企業に献本を送付した。ダイジェストは、2012年6月15日、7月15日発行のJAGAT会員限定誌「月刊JAGAT info」6・7月号に掲載する。また、希望者には有料で頒布するほか、報告会を東京と大阪で開催する。

(JAGAT 日本印刷技術協会 研究調査部 藤井建人)

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関連セミナー 【東京・大阪開催】
最新調査結果にみる印刷経営の現在と戦略
2012年8月30日(東京)、31日(大阪)
 
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cover_keieiryoku2011.jpg
「JAGAT印刷産業経営動向調査2012 」

体裁:A4版、104ページ
定価10,500円(税込)、JAGAT会員特別価格5,250円(税込)
発行:公益社団法人日本印刷技術協会 研究調査部
購入:お申込みはこちら

【構成】
1.2011年度の印刷会社の経営動向
 (1)経営動向の概況 
    ・パラダイムシフトへの対応を急ぐ印刷会社経営
    ・業績良好な印刷会社の経営構造
 (2)経営動向指標
    ・貸借対照表、損益計算書
    ・生産性、収益性、安全性
    ・人的資源(平均年齢・部門別人員構成比・教育研修費)
    ・1人当り指標(売上高・加工高・人件費・機械装置額等)

2.印刷会社の業績と経営戦略
 (1)業績と経営戦略の概況
    ・業績良好な印刷会社経営者の思考を探る
    ・業績良好な印刷会社の戦略 
 (2)経営戦略
    ・事業領域、戦略、事業分野、市場ポジション
    ・財務、顧客、生産、営業、マーケティング、人材と変革
    ・人材教育(手法・対象者・分野)

3.印刷会社の設備動向

 (1)設備動向の概況
    ・設備投資のスタンスと意向
    ・工程の保有・強化・縮小意向
 (2)設備保有状況、導入・廃棄意向、満足度
    ・枚葉機
    ・輪転機
    ・デジタル機等
 (3)新技術・新商品/サービスの導入意向
    ・クロスメディア展開
    ・導入状況と満足度
 (4)DTP環境
    ・PCの種類と台数
    ・アプリケーションの種類とバージョン
    ・データの入稿形態

4.印刷会社の経営指標

 (1)セグメント別の経営指標
    ・データ:損益計算書・収益性指標・安全性指標・生産性指標等
    ・セグメント:2地域別(東京とその他)、従業員6規模別、業種業態6分類別、オフ輪の有無別)
 (2)月次の各種前年比推移

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【印刷産業経営力調査の概要】
概要:印刷会社140社から調査票を集計
内容:印刷会社の経営状況、戦略、設備
期間:2012年月~3月

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