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印刷界OUTLOOK2012 【得意先】
得意先上位3業種は製造業、印刷業、流通業
全日本印刷工業組合連合会「平成23年度印刷業経営動向実態調査集計結果報告書」によると、中小印刷業の受注先の業種別売上高順位の全国1位は、昨年度に引き続き製造業(食料品・飲料、パルプ、紙加工、同業の印刷、製版を抜いたもの)だった。2位から6位までは昨年度と変わらず、印刷(2位)、卸売・小売(3位)、新聞・出版(4位)、広告・放送、情報サービス(5位)、公務(6位)と続き、昨年度11位だった生活関連サービス、娯楽が7位となった。
前回調査で1位となった製造業(16.1%)や、長期間に渡って安定した高い構成比を占めてきた印刷業(15.0%)は、構成比を高めた。また、リーマン・ショックの影響で昨年度大きくシェアを落とした生活関連サービス・情報(5.7%)は、再び構成比を高めた。一方、3位の卸売・小売(11.2%)は、順位は変わらずともさらにシェアを落とす結果となった。また、昨年度に10%台を回復した新聞・出版(8.8%)は、再び10%を割り込んだ。
20業種中上位4業種の製造業、印刷業、流通業、出版業で、過半数の51.1%を占める。印刷業界にとってこれらの業界は特に重要な得意先といえるだろう。
上位得意先業種に表れる地域の特色
地域別の上位得意先を見ると、各エリアの特色が顕著に表れている。
北海道は、昨年度5位だった印刷(55.2%)が、売上高の半数以上を占めて1位となり、2位に食料品・飲料(5.2%)、3位に教育、学習支援(4.3%)が続いた。昨年度1位だった新聞・出版は、7位以降に大きく後退した。
東北は、1位が印刷(14.7%)、2位は広告、放送、情報サービス(12.3%)、3位が卸売・小売(11.1%)、4位が公務(9.9%)だった。上位4業種の顔ぶれは昨年度同様で、その中で順位の入れ替えがあった。
東京では、地場産業ともいえる新聞・出版(16.3%)が再び2位となり、昨年度4位だった印刷(21.3%)が1位となった。3位には生活関連サービス、娯楽(15.8%)が続いている。
関東甲信越では、卸売・小売(25.8%)が1位、製造業(11.2%)が2位と、商業集積地らしい結果となった。
メーカー集積地の中部では、1位は昨年度と変わらず製造業(38.4%)で、2位は印刷(10.7%)となり、昨年度2位の食料品・飲料(8.8%)は3位に後退した。
近畿以西はいずれも、印刷(11.2~20.2%)、広告・放送、情報サービス(8.7~28.9%)が1~4位を占めている。中国は新聞・出版(16.9%)が1位、四国は公務(11.2%)が3位、九州は卸売・小売(27.8%)が1位となった。
全体を見ると、工業地帯を持つ関東甲信越静、中部、近畿などでは製造業が1、2位(11.2%~38.4%)と構成比を高めた。また、いずれの地域でも印刷の構成比が高まっており、同業他社との結びつきがより強くなっていることを表す結果となった。(研究調査部 小林織恵)