本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
紙との相性の良さを感じさせるAR(拡張現実)が注目されているが、ARを活かせるARGをご存知だろうか。
2011年頃から急激にスマートフォン普及が進んだ。それにつれてAR(拡張現実)を使ったプロモーションが増えた。スマートフォンを使うARには大きくわけて二種類あり、カメラ系か位置情報系かだ。目標となるマークをカメラ系アプリを通すことで何かの情報が得られるか、自分の位置情報をデータベースと参照することで何かの情報を得るかである。セカイカメラのように合体型もある。
スマートフォンは高機能ながらフィーチャーフォン(ガラケー)の置き換えとして普及していることがポイントである。つまり常に携帯していて、起動が一瞬で、たいていは3G通信。そのためにスマートフォンを使うARがいっせいに登場してきた。技術も進み、初期はARマーカーに3DCGモデルが投影されるというものがあったが、やがてマーカーレスになり(画像認識)、そしてより進んだマーカーレス(空間認識)になっている。
3G通信についてはだんだんとLTEにシフトしていく。いつも高速なインターネット環境に繋がっていることになるが、自分から繋げていることを意識しなくなっていく。わからないことがあればその場でWebで調べ質問し、面白いことがあればツイートするわけである。
ARを入口にしたARGが今後はトレンドになると考えている。それは紙との相性もよく、クチコミ効果が非常に高い。クチコミされるということはその場の波及効果を狙えるだけでなく、Webアーカイブ性もあるので後々のSEOにも効いてくる。
ARGというのはAlternate Reality Gameの略で、「代替現実ゲーム」と訳すことが多いようだ。ARGについては下記のような過去事例を読んでいただくとわかりやすい。
【事例紹介】Sync Future ARG
http://keg-arg-2009.blogspot.jp/2009/12/sync-future-arg.html
北米生まれの体験型ミステリーゲームってなに? 「名探偵コナン・カード探偵団」
http://gamez.itmedia.co.jp/games/articles/0804/18/news007.html
読む余裕がない方のために大雑把に解説すると、要は何かの謎解き・冒険のイベントに参加してもらうということである。参加者は謎のメッセージを得て、それをもっと知るためにWebにアクセスしたり、ある場所に行ってみたりする。するとさらに何かのメッセージが見つかり…という具合だ。子供の頃に宝探しゲームをやった人は理解しやすいかと思う。
人は、人から聞く情報はたいてい忘れる。何かを読んでもたいてい忘れる。何かを知った気になっても、それはそのうち忘れてしまう。記憶に残っていくのはほんの一部である。
だが、体験して興奮したり、心を揺さぶられたり、人に伝えたくなったり、人に伝えたことは忘れにくい。そもそも上述の、子供の頃に宝探しゲームをやったことを覚えてるのは、そういった理由によるものだ。
(さらに、多人数で問題解決したときにさらにクチコミ効果が高くなるのだが、それについてはまた別の機会に説明する)
ARGの事例は数多い。そしてそれらの多くが紙メディアを使ったものである。参加者は何かを手にして行動し、何かを持ち帰るのだ。そこには紙メディアは非常に相性が良い。
いま、ARGの事例が増えているのもARを入口にしたものが増えているからである。
紙メディアを効果的に活用しクチコミを誘発する【クロスメディア研究会セミナー】 最新クロスメディア手法ARGの概説
(JAGAT 研究調査部 木下智之)