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印刷業界の内側・外側―電子書籍のさまざまな取り組み

掲載日: 2012年07月12日

電子書籍市場の拡大を見越して、出版社、印刷会社、Web制作会社以外にも、さまざまな企業が参入を始めている。


2012年7月4日(水)~6日(金)、国際電子出版EXPOが開催された。
楽天の「kobo Touch」、凸版印刷グルーブ BookLive社の電子書籍リーダーなど、話題の製品が続々発表され、「Amazon、日本でKindle発売」のニュースとともに、電子書籍の普及に弾みをつけた。

2010年の電子書籍元年から「今年こそ、本当の元年」と言われ続けているが、電子書籍が普及するには、マーケット、デバイス、フォーマットの3要素が重要だと考える。

先日発表された、インプレスR&Dのリリース によると、2011年度の電子書籍市場全体は629億円、今後2~3年の間にコンテンツの充実や環境整備が整い、2016年度に2,000億円規模へ成長すると予測している。

市場の拡大を見越して、出版社、印刷会社、Web制作会社以外にも、さまざまな企業が電子書籍、電子書店に参入し始めている。
例えば最近では、文具メーカー キングジムが電子書店に取り組み始めた。
国際電子出版EXPOの会場で、同社にインタビューを行った

●キングジムの取り組み

キングジムといえば、デジタルメモの「ポメラ 」や「SHOT NOTE 」など、新しい発想の文具を次々と世に送り出し、ヒット商品を提供し続けている会社だ。

もともと同社には、「他にはない独創的なもの、既存にとらわれないものをつくろう」という企業風土が根付いているという。
このような環境の中、ドリームネッツより、2012年7月1日付けで電子書籍出版・書店開設サービス「wook (ウック)」を譲り受けた。

「wook」は、「誰でも簡単に電子書店を開設できる」をコンセプトにした電子書籍・出版ソリューション事業である。誰でもインターネット上に独自の電子書店を開設でき、簡単な操作で電子書籍の作成や販売が可能だ。

現時点での「wook」の主な顧客とサービス内容は、
出版社向け    :  電子書籍の作成および電子書店の開設
一般個人向け   :  個人の作品を電子書籍化し、自費出版をサポート
企業・自治体向け :  カタログなどの電子化や地域情報紙などを電子配布
である。

同社は、既に立ち上がっている大きな電子書店に立ち向かうのではなく、ニッチなところを狙っていくそうだ。
「wook」の特長を生かしつつ、これまで培ってきた自社の強み「法人向けネットワーク」を活用し、さらなる認知向上・顧客開拓を行っていく。

とはいえ、品揃えの薄い店にお客様はこない。
まず手始めに、コンテンツの充実を図るため、個人のお客様向けに、初期費用を無料にするキャンペーン を行っている。

人が集まれば、自然にざまざまな要望も出てくるだろう。
お客様の要望に耳を傾けながら、キングジムらしい新たな試みにチャレンジしたいと語った。(教育コンサルティング部)


●関連セミナー

2012年08月31日(金) 13:30-16:30
印刷会社が取り組むメディアビジネスを考える「印刷会社の電子書籍ビジネスⅢ」
これまで取材してきた印刷会社の取り組み事例、出版デジタル機構の最新動向、キングジムの取り組みなど、印刷業界の内側・外側のさまざまな取り組みをご紹介します。

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