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一部で成功事例がある有料メルマガに代わり、別の月額課金制が登場してきている。
購読経験者はご存知だろうが、有料メールマガジンとは数年前から登場している、月額課金のメールマガジンである。無料のメールマガジンであれば最低メールアドレスさえ登録すれば受信可能だが、そこにクレジットカード情報やPayPal決済などで購読するタイプである。
発信者がブログやTwitterに書くことで、誰でも読める状態になる。SNSのある程度クローズな場所で書くことで、読める人を限定することもできる。メールマガジンの場合は読者にとって情報を取りに行く必要がない媒体であり、なおかつ発信者にとってはWebに書くよりもクローズな環境におけるメリットもあった。有料メルマガはその性質が特化したもので、「Webでは書いていない突っ込んだ内容を有料メルマガ読者だけに知らせる」という性格が強い。
月額数百円から1,000円といったところで価格は様々であるが、有料になるぶん、内容の深さとボリュームを満たそうとするものが多い。
有名なところでは以下のようなものがある。EPUB配信するものもある。
堀江貴文のブログでは言えない話
津田大介の「メディアの現場」
上杉隆の東京脱力メールマガジン
どれも著名人が行い、有料メルマガであってもかなりの購読者を担保できるものだ。
有料メルマガは、発信者にそれなりの集客パワーがあるか、他では知ることのできない専門性の高い情報を提供する場合に成り立つ。
やっていることはテキストを読む権利を有料化しているに過ぎないので、他の手法も存在する。メルマガの段階ではなくWebに来た時点で有料と無料をわけるやり方だ。
Ebook2.0 Magazine
Ebook2.0に限らず、日経電子版も朝日デジタル版も同様である。ユーザ登録してあることが前提で、ログインすることで有料記事を読むことができる。
メールマガジンに比べると、読者はWeb上で行動しているのでトラッキングしやすい。どういう傾向のものが好んで読まれるか分析しやすいだろう。
有料メルマガも有料Webも情報を有料化する目的に変わりはないが、最近になって有料オンラインサロンが話題になっている。例えば以下のようなものである。
Umeki Salon
オンラインサロンは、コミュニティ内でのディスカッションなどを目的にしたものが多いだろう。方法としてはSNSで完結するものや、チャットで行うもの、オフ会をまじえるものなど様々である。いずれにしても、やはりまずホストとなるのは(その業界での)著名人でないと集客は難しいかもしれない。何について意見交換するかの議題設定も重要。そして有料メルマガと比べて少人数であることも特徴である。数名から数十名、多くて100名前後などで構成され、月額課金で進める。
(8月のクロスメディア研究会では、このオンラインサロンプラットフォームというWebサービスを設計したSynapseを取り上げる)
読者にとって益な情報を有料化して必要な人へ届ける、というやり方は今後も色々な形で登場することだろう。パブーから個人出版してKoboで売るように、パッケージにして個別販売というやり方と、前述したように、読者データを掴んだ状態で月額課金にするやり方である。
2012年8月24日 クロスメディア研究会
Webサービスを作り、ファンを掴むために、何をするべきか 各種Webサービスの企画、制作、販促の裏側
(JAGAT 研究調査部 木下智之)