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見込み客から新規顧客へ リードナーチャリングとクロスメディア(プリントメディア×AR)

掲載日: 2012年08月14日

見込み顧客を新規顧客へ育成するプロセスがある。リードナーチャリングは、見込み客に対し様々な情報(コンテンツ)を提供することで新規顧客へと啓蒙・育成するマーケティングプロセスである。

■見込み客(リード)の獲得
企業は見込み客(リード)を獲得するために、展示会への出展や訪問営業、Webサイト上への資料請求フォームの設置など、様々な取り組みを実施している。

しかしながら、見込み客を獲得したとしても、何もせずに契約が決まったり、購買に繋がる可能性は低い。消費者は、商品やサービスに興味を持ちはじめてから、購買に至るまで時間がかかることが多い。時間がかかる理由として、競合との内容についての詳細や価格の比較をした上で、納得できる商品やサービスを選択し購入するためである。

■リードを新規顧客へ
このような見込み客である消費者を自社の商品やサービスの選択を促し、自社から購入してもらうには、提供する情報(コンテンツ)が重要となる。

消費者が知りたい情報を得ることが出来るか?興味がある内容か?解決策が理解できるか?何度でも見直す気がする情報であるか?などである。すなわち、課題を解決できる情報を提供しているかが鍵となる。また、課題を解決していくことで、見込み客を新規顧客へ育成する(ナーチャー:nurture=育てる、育成する など)ことをリードナーチャリングと呼ぶ。

■メディアの活用
リードナーチャリングでは、マスメディアを中心にチラシ、フリーペーパーなどにより認知度を高め、Webサイトでリードを獲得することが、戦略上で有効とされている。リードナーチャリングを実現する上で、「認知」、「関心」、「比較検討」、「行動」といった「AIDMA」や「AISAS」などの理論が活用される。

プリントメディアやデジタルメディアを問わず、「認知」の段階で必要となるコンテンツは、キャッチが重要であり、リードの目に付きやすい、「高級感」や「意外性」のあるコンテンツや、「リッチコンテンツ」などが望まれる。「関心」の段階では、「サービス一覧」や「導入事例」、「口コミ情報」などが有効とされる。さらに「比較検討」の段階では、「商品詳細」や「価格」、「見積もりシュミレーション」が重要視され、「行動」の段階では、「問い合わせ先」や「店舗案内」、「予約機能」が必要となる。

■4つの段階
リードナーチャリングにおいては、「認知→関心→比較検討→行動」といった全ての段階を重要視するが、その中でも、リードが「関心」を高めるための「課題を解決できるコンテンツ」の提供に力を入れたい。印刷業界で例えるのであれば、「良いチラシに見えるエッセンス」や「目を引くポスターの作り方」、「自費出版のノウハウ」といったコンテンツを「リードに関する情報」と引き換えに提供することである。さらに、「リードに関する情報」を手に入れた後は、次の段階である「比較検討」をしやすい状況(サンプルを提示するなど)をつくりあげることが大切である。

リードナーチャリングは、Webサイトを中心に展開するマーケティングプロセスではあるが、「リードに関する情報」を手に入れれば、対象によって、プリントメディアである小冊子やカタログ、圧着ハガキなどの活用も考えられる。さらに、AR(Augmented Reality:拡張現実)を取り入れることで、その広がりを見せる可能性もある。

見込み客を新規顧客へ育成するために、リードナーチャリングといったマーケティングプロセスを参考に、クロスメディア展開を提案できる知識を高めていただきたい。

[関連情報]
クロスメディアエキスパート認証試験

(JAGAT 教育コンサルティング部 小林祐一)

 

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