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前回は企業内の通信教育活用事例等を紹介したが、今回は企業やグループ内での組み込み方法について紹介する。
過去1年間(2011年8月~2012年7月)に通信教育を受講した人のうち、98%の方が会社の教育担当者を経由して申し込んでいる。会社の教育制度として組み込んでいたり、社員の自発的な受講を会社で取りまとめているところ等がある。受講料の会社負担もそれぞれで違い、講座修了者には100%負担しているところもある一方、教育は自己啓発と考えて受講料は個人負担としている会社もあり、様々だ。
社内で専用の通信教育募集用冊子を作成している会社を中心に見ると、修了者の受講料を50%補助しているところが多い。その中でも、会社が指定している、もしくは推奨している講座の修了者や優秀な成績で修了した方の受講料負担率を高めに設定しているところもある。社内での知識力のボトムアップに重きを置く会社や、学習に取り組む方々の修了までのモチベーション維持を考える企業など、社員教育に対する意識によって様々に対応している。
通信教育の講座を、社内教育に組み込み、活用する方法として主に以下の4つが考えられる。
1.目標管理型(全体学習型)
2.昇給昇格連動型
3.部署/グループ特定型
4.自己啓発型
○目標管理型(全体学習型)
会社全体や部門・部署、個人の到達目標を設定。目標到達のために必要な知識の習得に通信教育を活用する。
推奨講座や必ず受講する講座を設けることによって、会社全体の知識力の向上、底上げが望める。
○昇進昇格連動型
昇進昇格の際に、必要な知識の習得や確認のために特定の通信教育講座をその要件とする活用法で、人事評価制度と通信教育を連動させる。
各添削課題の進捗や点数、修了等、経過や結果、学習効果が目に見える(「見える化」する)通信教育ならではの方法。
○部署/グループ特定型
部署や部門、グループごとの課題やニーズを探り、それぞれで必要な講座を選択して受講する方法。
場所が離れている支社や営業所等でも、同時期に同一内容で受講を開始することができるので、知識レベルの標準化や共有化がはかれる。
また、知識レベルの標準化や共有化を外注会社や協力企業にも広げることができる。
○自己啓発型
社員の方々の自主的な学習意欲を重視する活用法。
学習の機会を提供する方法であるが、自主性に任せているため、受講者が集まりにくい傾向にある。多くの人に受講を促すためには、推奨講座にしたり、優秀修了者へインセンティブを追加する等、工夫も必要だ。
上記の方法は、それぞれ単独で活用することもできるが、組み合わせて実施することも可能である。
例えば、新入社員の方々には目標管理型(全員学習)、2~3年経験者にはステップアップに自己啓発型で進め、リーダーや管理職に昇格する方には昇進昇格連動型を組み合わせる。一つの社内でも様々な活用方法を組み合わせて実施することが可能である。
また、学習効果をより高める方法としては、通信教育修了後、関連セミナーをスクーリングとして受講する方法や、社内講師もしくは社外講師による勉強会の開催などがある。知識の定着をはかるためには有効な手段だ。
御社の教育制度を補足したり、教育制度体系を立ち上げる場合等、どの活用方法が自社に合うのか、どの講座を組み合わせるのがより効果的なのか、疑問や質問はお気軽に教育コンサルティング部まで問い合わせいただけたら幸いだ。(JAGAT 教育コンサルティング部 高橋)
お問い合わせ先
(公社)日本印刷技術協会 教育コンサルティング部 通信教育 電話:03-3384-3411