本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
【クロスメディア研究会セミナー】
Webサービスを作り、ファンを掴むために、何をするべきか
~各種Webサービスの企画、制作、販促の裏側~
ウェブサービス立ち上げからの2年間
講師:株式会社ルーラー 代表取締役 沼博人氏
株式会社ルーラー は北海道が本社。Webサービス事業と受託開発事業を行っている。HTML5を利用したウェブサービスの開発に力を入れている。
「ebook5 」は、ブラウザ上で閲覧できる電子カタログサービスである。広告やプロモーション用途に利用される。主に紙面媒体をWebで公開したい企業へ提供されているサービスである。
すでにPDFなどのデータがありながら、ダウンロードが敬遠されたりモバイル環境を考慮したりといった場合で、利用されることが多い。2010年9月にスタートした。当時は電子カタログ市場は既に存在したが、それらはFLASHを使用していた。そこにHTML5によるサービスで参入したということになる。
当時のFLASHを使用したサービスでは、多デバイスでの対応に限界があったこと、自分で作るには敷居が高かったこと、導入コストが高かったことなどの問題点があり、それらを解決するために作られたのだという。
特徴としてはPDFから作成が出来ること、多デバイスで閲覧可能というもの。
パンフレットやカタログの電子化といった用途以外にも、雑誌誌面の立ち読みなどにも多く採用されている。
北海道の観光情報Webサイトをリニューアルすることがあり(二年ほど前)、この際に電子カタログを使いたいという要望があり、当時はFLASHの電子カタログしかないため、それで制作・納品をした。
しかしその一か月後にiPadの発表。そこではFLASHは動かない。その際に調査し、iPadで電子カタログのニーズが強くなるのではないかという読みがあった。そこでHTML5利用で実現できないかと考えた。そして一か月であっさり実現した。ブラウザで閲覧できる技術は非常に訴求があると思われたが、ビジネスモデルなどは後から考えることとなった。
試験的に公開したものの、有料で利用してくれるユーザは少なかった。ニーズは感じたものの、ちゃんとサービスとして成立するようにユーザ視点で考える必要があった。
一年半ほどかけ、サービス収益構造の見直しをはかった。ユーザにとって使いやすさを追及した(PDFをアップロードして簡単に電子カタログが完成するなど)。そうすると目に見えて利用者数が増加した。わかりやすくし、導入障壁を低くした。大手企業の利用実績も増え、代理店制度も開始し、販売力を強化する段階に入っている。
プロモーションについても、PPC広告の実施、電子出版EXPOなどの展示会への出展、プレスリリースサービスの利用、販売パートナー提携を進めるなど、様々な施策を行っている。
今後はインターネット上のPDFを置き換える(市場規模を広げる)ことを目標としている。テレビやカーナビ、ゲーム機のデフォルトビューアとしたい。例えばゲーム機のマニュアルはネット上にPDFで置いてある。それならば、その段階で本機でブラウズできてもよいのではないかと考えている。
振り返ってみて良かったと考えるのは、「とにかく早く公開したこと」である。まずは公開してレビューをもらうというのが重要。ユーザからの反応を知ることでサービス改善に繋がっていく。サービスを進めながら発見していくというのが有効であった。