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校正の新しい手法を考える

掲載日: 2012年10月10日

最小ロットの仕事に対応できるデジタル印刷機で、新しい校正手法としての可能性を考える。

校正の現状は

印刷物の減少をはじめ、印刷現場の環境問題、印刷の標準化など、印刷業を取り巻く環境は厳しい状況であり、日々変化している。それに伴い校正自体や校正印刷会社のあり方も大きく変わってきている。

校正の目的の一つに、最終印刷物を正確に再現して確認することがある。印刷物を忠実に再現するためには、本来の印刷と同様な印刷機や印刷インキと印刷本紙を使った本機校正や平台校正が必要となることもある。

こうした校正の手段では刷版を必要とするため、短納期への対応が出来なかったり、コストがかかったり、アナログ工程もあるので印刷の標準化や色の安定した再現などに関して厳しい管理や高度なスキルを要することになる。ベタ濃度、網濃度、グレーバランス、ドットゲインなど多くの調整・管理を行っていかなければならない。
ハイエンドのDDCPでは、版はないので色再現の安定のために多くの管理やオペレータのスキルを必要とすることはかなり軽減されたものの、やはり本機での校正印刷同様に高いコストがかかっている。

校正印刷会社は、こうした状況の中でも平台の校正機やハイエンドのDDCPを設備したり、印刷本機での校正印刷を行ってきた。それによって正確な色の再現、本紙の風合いなどを必要とする厳しい要求の仕事に対応してきた。

色管理や色再現の安定化のために高度なスキルを要したり高いコストの手段の校正は、市場の状況から見てもやはり減少しつつあり、校正手段はインクジェット機によるものが、多くになってきている。
インクジェット機は、時代の経過とともに、インクの改良(色の経時変化での安定性、色再現領域の拡大)、キャリブレーション機能の追加、網点表現での印字などが対応可能となった。こうして校正印刷への手段として多く活用されている。

デジタル印刷機での校正は

インクジェット機が校正印刷の手段の主流となりつつある現状の中で、さらに高い校正品質が求められたり、高速で高生産性を追求される場合、デジタル印刷機で校正印刷を行う可能性が十分考えられる。

現在、数多くリリースされているデジタル印刷機の中には、オフセット印刷品質と同等、もしくそれを超えることを標榜した製品も出現している。

もともとデジタル印刷機は、必要な時に必要な部数なだけを供給するプリント・オンデマンド機である。最小ロットから短時間に、印刷現場の環境に優しく、機械管理・操作に関してほぼスキルレスである。
デジタル印刷機では前述の校正印刷に挙げられた課題(品質の安定、スキルのある人材の育成、環境問題など)が一挙に解決されてしまう。コストに関しても校正印刷物を単に極小ロットの印刷物として見るのであれば高いコストではあるが、校正紙として捉えるのであれば、意外に低いコストとなる。1台(10枚)で10000円を大きく割った価格もある。

最後に

デジタル印刷機の中には、インクジェットインクの開発やプレコート処理によって印刷本紙にも印字が可能なものもある。印刷本紙自体の色やその印刷物の物理的な挙動や質感まで、より忠実に印刷物に近く再現することができる。また色再現もRGB領域まで拡大して広色域に対応でき、広色域印刷や特色印刷の校正に対応できるものもある。

いつ刷っても、何枚刷っても同じ色再現を可能とするデジタル印刷機は、新たに高品質な校正手段としての可能性を秘めている。また、1枚の校正印刷は最小ロットの印刷とも捉えることができ、その校正印刷から始まる仕事の可能性も同時に考えられる。

(JAGAT 研究調査部 福原 節寿)

関連セミナー

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※ オフセット品質のデジタル印刷機による校正印刷は、新時代の校正となる可能性を秘めている。デジタル印刷機による校正のメリットとは?

 

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