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早期戦力化のためにもメディア環境が大きく変化する現代にあって、新人にしっかりした基礎教育を受けさせる必要がある。
新人が入社すれば1日早く一人前になってほしいと思うのが当たり前である。新人の早期戦力化はどこの業界も同じである。早期戦力化のためにもメディア環境が大きく変化する現代にあって、新人にしっかりした基礎教育を受けさせる必要がある。なぜなら顧客との共有情報が増え、同じ基盤の上で一緒に考え、提案する力が必要であるからだ。
リーマンショック以来若者の働き方が変わったと研修会社の社長は言う。ショックの反動として安定志向が強くなったのは当然であろう。一方、勝ち負けの評価だけでなく、仕事の意味、働くことの意味といった、自分のやっていることの意味を自身が問い掛ける傾向が強く出てきたという。リーマンショックだけでなく、昨今の企業の不正・偽装事件が影響しているようだ。企業は倒産しても個人としては生き抜いていかなければならない。金銭的な保障だけでなく社会の中での存在感を必要としている。
シェイク「2008年度新入社員 入社半年後実態調査」によれば、会社選択の理由においても「好きなこと、あるいは得意なことができそうだから」「成長(知識・スキル・人間性)できそうだから」が1、2位を占めている。その裏返しとして辞めたい理由としては「成長への焦り」が大きい。新入社員の93.2%が「仕事を通じて人間として成長したい」という意欲を持っている。会社も早期戦略化を望んでいる。そのことが焦りにもなり、入社半年を過ぎると「このままでいいのか」という将来へのばく然とした不安を抱くようになる。このような時期に必要なことは成長の実感を持たせることであるという。
入社前の期待と入社後の現実に苦しみ、葛藤(かっとう)する中で、不安ながらも自律していく人材、積極性には欠けるが指示に従い仕事に慣れてくる人材、退職を考え始める人材の3つに分かれていく。どのような上司・先輩がいるかが分かれ道になるだろう。引っ張り上げてくれる上司・先輩がいれば危機は回避できる。
新人の退職は、同期や会社全体の雰囲気を壊すことになるため対応が必要である。対応と言っても、合わない人、ヤル気がない人を引き止めることはないので見極めが必要だ。会社としては新入社員の成長への意欲が高いうちに教育をする必要がある。
新入社員の教育計画をどう組み立てるかも重要である。最初の1~2週間は研修と言っても形式的であり、お客さん的存在から社員への切り替え作業のようなものである。1カ月、3カ月、6カ月といった経過の中でどう社員を育成するかである。OJTとoff-JTの組み合わせによって、成長を実感させる工夫が必要である。前述の実態調査でも、入社半年後の新入社員の47.6%が「他の会社はどうなのか一度見てみたい」と感じているという結果が出ている。ライバル企業、あるいは同年代、同規模、同業者の動きが意識され始めている。そういったタイミングで外部研修で外の交流を持たせるのも刺激になろう。
それぞれの会社には歴史、社風、経営理念などがあり、当然新人にもそのあたりを理解してもらうことになるが、まずは経営者の目指すもの、理念を時間掛けて話すことが第一である。経営者の思いに沿った新しい価値観、考え方を実感できる機会をなるべく多く与えることである。新人にはまだ早い、基礎ができてからと、チャンスを先延ばしすることもよくある話だが、変革の時代にあって先延ばしのメリットはない。
例えばJAGATの資格である、DTPエキスパート試験、クロスメディアエキスパート試験も、新人がチャレンジすることが珍しくなくなった。むしろ先進的な企業では新人時代の目標にしているところもある。資格へのチャレンジは明確な目標設定と成長、進歩の確認ができるため新人の意欲とマッチングするメリットがある。もちろん資格は合否の伴うものであるが、基本知識をある体系をもって学ぶことが新人には必要である。合格すると称号が授与され、名刺にも表示することができる。そのことが自信と存在感につながり、社内外からの目も違ったものになる。
資格を例にしたが、DTPエキスパート、クロスメディアエキスパートとも一見、専門分野の高度な資格のような印象を持たれる方が多いと思うが、決してそうでなない。この2つの資格はデジタル社会、メディア社会の印刷会社としての基本能力と捉えていただいたほうがよい。
かつての印刷の専門能力というと、製版技術、印刷技術そのものであった。それは工程の前後、取り巻く関連分野からは道具、オペレーション技能に守られた分野のことであった。現在では技術はオープンになり、社会としての共通インフラが整備されてくると、道具の使い方ではなく、なぜ印刷なのか、なぜこの表現なのか、どう連携するのか、といったメディアの意味を深く考え、顧客との意思の疎通を図らなければ仕事が進まなくなった。つまり技術でも営業でも共有情報が重要となり、共有のためには同じレベルの知識・能力基盤があること前提となる。基礎能力に大きな差があると専門性が生かせないのがこれからのメディアビジネスである。
新人時代にはOJTによって作業を覚えることも重要であるが、これからの10年をどう生きるか、ビジネスを顧客と一緒に考えることができる基本知識・能力を身に着ける期間ではないだろうか。
JAGATではこれからの時代に必要な基礎能力の向上に力を入れている。特に新人分野では「印刷営業30日間ゼミ」が長い歴史を持っている。新人を1カ月で経験3年レベルに育てようというのが目標である。「商品・技術知識の習得と見積もり演習」「企画提案力・顧客対応能力の育成」を両輪に掲げて、ベテラン講師陣がきめ細かく指導している。このゼミを卒業して、幹部あるいは社長に就いたOBもいる。ほとんど毎日のように復習試験によって成果が試されるのも大きな特徴である。また、実際に街に出掛け印刷物を収集し、分析し、提案のポイントをまとめる実践的プログラムも準備している。また見積もりについては、ワークフローの的確な把握、資材の使い方、数量計算など、印刷を企画し製作するのにどのような工程、時間、手間が掛かるかを学ぶ。
社内での新人教育が困難であったり、幹部候補生としての中途入社の方々には最適な講座である。地方からの参加の方には、宿泊施設の案内や相談にも応じている。また新卒者については、1週間ごとに写真を添付した、日々の学習状況(授業、健康)をレポートすることで会社側の心配を払しょくし、好評を頂いている。
(教育サポートセンター)
開催日程:2009年5月11日(月)~6月13日(土)
日・祝祭日を除く30日間
詳細は、JAGATサイト「JAGATセミナー 」をご覧ください。