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CS6 がリリースされて4 カ月ほどがたった。今回は、この4カ月間CS6を使ってみて感じたことやお勧めの機能、Creative Cloudについて思うところを綴ってみたいと思う。
延長されたCreative Cloud の特別提供版
CS6 がリリースされて4 カ月ほどがたった。今回は、この4カ月間CS6を使ってみて感じたことやお勧めの機能、Creative Cloudについて思うところを綴ってみたいと思う。
今回のバージョンから、月額払い型サブスクリプションのメンバーシップであるAdobe Creative Cloud が登場したが、当初は8 月末までだった発売記念の特別提供版の提供が延長された。
特別提供版とは、個人版を年間プランで契約すると、最初の1 年間のみ月額5,000 円のところ3,000 円で利用できるというものだ。CS3以降のAdobe製品を持っていることが条件となる。
Adobe Creative Suite 6 の全デスクトップアプリケーションのほか、Photoshop Lightroom 4 やMuse、Typekit のWeb フォント、DigitalPublishing Suite のSingle Edition(まもなく追加予定)等も使用できる。
さらに、ファイル共有、コラボレーション、パブリッシングの各機能をオンラインサービスとして利用できる。このように通常のパッケージ版よりも様々なメリットはあるのだが、解約すれば全てのアプリケーションが使用できなくなり、また次のバージョンが出たら過去のバージョンが使えるのかどうか分からないといった不安から、導入を見送ったユーザーも多いことと思う。
このキャンペーンが、何のアナウンスもなく突然延長された。そのため、慌てて特別提供版を購入したユーザーからは不満の声が漏れたのも事実だが、アドビがいかにCreative Cloud に移行してほしいのかがよく分かるできごとだとも言える。Creative Cloudの大きな特徴として挙げられるのが、『最新のアプリケーションや機能をメジャーバージョンアップを待たずに利用できる』という点だ。例えばIllustratorCS6では、Creative Cloudメンバー専用の特典として、ファイルのパッケージ化や画像の埋め込み解除、リンクパネル強化の機能が8 月に追加された。これら追加の機能は、パッケージ製品としてIllustrator を購入した人には提供されない。つまり、Creative Cloudのメンバーには、メジャーバージョンアップのタイミングを待たずに新しい機能が提供されるといったケースが出てくるわけだ。
バージョンアップを待たずに、常に進化していくのがCreative Cloud ということになるが、そこでちょっと気になるのがアプリケーションの互換性だ。追加の機能が提供されたCreativeCloudメンバーのIllustrato(r 16.1)と、パッケージ版ユーザーのIllustrator(16.0)との互換性が心配になる。これに対しアドビは、「ファイルのやり取りをしても互換性に問題はない」とアナウンスしている。いずれにせよ、常に最新の機能を使用していきたいユーザーは、Creative Cloudという選択肢になっていくのかもしれない。
森 裕司[もり・ゆうじ]
名古屋で活動するフリーランスのデザイナー。
ウェブサイト「InDesignの勉強部屋」(http://study-room.info/id/ )や、名古屋で活動するDTP 関連のデザイナーやオペレーターなどを対象にスキルアップや交流を目的とした勉強会・懇親会を行う「DTPの勉強部屋」を主催。DTP やInDesign に関する著書も多数。アドビの『AdobeInDesign CS4 入門ガイドBack to Basic』の執筆も担当している。