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「Gene Mapper(ジーン・マッパー)」は中編SF小説の個人出版プロジェクトで、著者の藤井太洋氏が執筆・編集・出版をすべて手掛けている。Facebookなどから人気が拡がり、Amazon KindleストアのオープンにあわせてKDP(Kindle ダイレクト・パブリッシング)上でも販売開始され、文芸ベストセラー1位を獲得するまでに至った。
KDPにより、個人による電子出版が本格化するとみられているが、そこでのマーケティングを含めたポイントを、藤井太洋氏は以下のように解説する。
作品ごとに独自ドメインによる公式サイトを作る。この公式サイトをプロモーションの基点とする。ここでは各種リリースノート、発行人情報、紹介記事や立ち読みの提供を行う。
独自ドメインは年間数百円程度のコストにしかならないので、ぜひ取得するべきである。作品の発行者・販売者が誰であるのか、関係者は誰であるのか、どこへ連絡すればコンタクトがとれるのか、といった情報を載せておくことは各審査において重要である。
「Gene Mapper」はAmazon Kindle、Kobo、iBookStoreで販売するほかに、公式サイトから直接販売もしている。その販売プラットフォームはGumroadを利用している。Gumroadはロイヤルティ料率は高めで、価格決定や内容変更も即時反映され、直接販売に適している面もある。
ここで重要なのは、返金のスキームである。Gumroadの場合、ユーザーへの返金処理がiPhoneからでも行える。そして返金は即時行われる。またレシートの再送信も簡単に行える。仮にプラットフォームや決済インフラの都合で、ユーザーへの返金が数日ないし数週間かかってしまうと、それだけでネガティブなクチコミが拡散する可能性がある。
「Gene Mapper」は他ストアに比べKDPが、販売冊数・金額ともに一番成果をあげている。今後も有望なチャネルのひとつである。
ただし、版の更新に24時間から48時間を要するため、数日間だけのキャンペーンなどのスポットのマーケティングを行う際は注意が必要。
Amazonアソシエイトは10%という高い料率で実施されている。公式サイトからリンクできればそのまま利益になる。また、その商品の存在を拡散させるためにはブログで紹介されることは重要である。
公式サイトにて、ブログを継続的に更新する。そしてそのアクティビティをTwitterへ投稿する。投稿内容としては、ブログの更新のほかにもリリースノートの発信、関連情報の提供などである。
Twitter上では、話題にしてくれている発言などをリツイートしたりコミュニケーションを行う。さらに、Facebookにも情報をシェアしていく。
同じことをただ繰り返すのではなく、発信する情報を工夫する。
自己資本による買い入れ、自己資本によるレビュー依頼の2つについては行わない。俗に「ステマ(ステルスマーケティング)」と日本で呼ばれた行為は、アメリカでは法律で禁止されている。そして、KDPで販売する以上はこの部分を重要視すべきである。Amazonはプラットフォームの信頼性を損ねる行為に対して、アカウントを削除することはためらわないはずである。プラットフォーム上のレギュレーションはよく理解するべきである。