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位置情報ARが今後進化する

掲載日: 2013年02月14日

スマートフォンの普及によりAR(拡張現実)が注目されている。位置情報を利用したサービスは今後さらに進化する可能性がある。

この数年のスマートフォンの急普及により、スマートフォンアプリによるAR(拡張現実)を利用する事例が増えてきた。page2013でもARについて2セッションを企画したが、どちらも盛況であった。2013年にはスマートフォンの普及が5割を超える可能性があり、今後さらにニーズが高まると思われる。

スマートフォンを使ったARでは、大きくわけてVisionベースARとLocationベースARの2タイプがある。カメラ系AR、位置情報系ARとも言われる。スマートフォンのカメラ機能を用いて、カメラにとらえたマーカーや画像(非マーカー)を認識し、3DCGモデルなどを浮かび上がらせるものがカメラ系ARである。そして、スマートフォンの位置情報機能を用いて、自分が今いる場所の周辺情報を提供したりするものが位置情報系ARである。

エポネット社の「おもてナビ」というARを利用したサービスがある。観光ARと呼ばれるもので、位置情報を利用して観光ルートを辿るとガイド音声をあわせて聴けるというものだ。
このサービスの原型となったものは2008年のこと。長野市松代で観光振興のアドバイザーを務めていたエポネット丸田氏は、まち歩きガイドのシステムを実証実験をすることになった。そこに、知人の紹介で秋田市の担当者も見学に来ていて、その流れから観光ナビアプリの開発に繋がったという。日本語、英語、中国語、韓国語に対応させたガイドアプリとして2011年春にリリースされた。

しかしGPS精度に苦労している面もあるという。しかし2010年に打ち上げられた準天頂衛星初号機「みちびき」もあり、今後測位技術の向上が見込まれる。丸田氏によれば数年後には合計で衛星が4基体制となり、日本における位置情報の精度はあがる。そしてますます細かいサービス設計が可能になってくるという。

店舗への誘導、クーポンの発行といった他サービスとの組み合わせに有効であり、印刷物との組み合わせのヒントとして、位置情報系ARの技術、利用事例をおさえておきたい。

位置情報ARによる地域活性事例 - 最新事例と、複合的なARによる今後の可能性 -

(研究調査部 木下智之)

 

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