本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
page2013(2/6~2/8)では、「コミュニケーション支援ビジネス」という観点から、印刷業の領域を多面的に拡げていくためのヒントやソリューションを、展示やセミナー・カンファレンスを通し、さまざまな角度から紹介した。
同時開催のセミナーでは、「変わる!変える!印刷業の営業モデルを考える」と題し、環境の変化に直面する印刷会社において、現状を打破するために今何をすべきかについて、(株)ビジネスコミュニケーション研究所代表田中信一氏および(株)バリューアシストジャパン代表伊藤直行氏のお二人を講師にお迎えし、議論を交えさまざまな提言を行っていただいた。
----顧客との接点をもつ営業自身の変革が求められている。個人としてどう「変わる」か、また組織としてどう「変える」か。それぞれのお考えを伺いたいが、まずは印刷会社を取り巻く現状についてお話いただきたい。
「人口の減少、経済の停滞、メディアの多様化と印刷業を取り巻く環境が大きく変化する中、新たな需要をいかに作り出すかが急務になっている。規模の経済性と設備の稼働率ではもう利益は生み出せない。「モノが売れない時代」において、現状を打開しようと模索しているのは、業種を問わず顧客も同様だ。従来の手っ取り早く価格を下げて受注するという営業スタイルでは顧客も満足しなくなっている。課題解決に向けて一緒に考え、サポートしてくれる関係を顧客は印刷会社に望んでいる。」
----顧客のビジネス支援を目指すソリューション型に変えていくために営業は何をすべきか
「自己価値(市場価値)を高め、自立したプロフェッショナル営業の育成が求められていくだろう。人間関係づくりに重きをおいた営業スタイルに、課題解決の手段を提供できる科学的思考をプラスした攻めの営業へと意識を変えていかなければならない。これからの営業の役割は『情報伝達プロデューサー』ともいえるもの。個別に営業が各部門と調整をするのではなく、ベストな提案を行うべく営業を軸に、社内全体が知恵を出し合うようなネットワーク型組織体制を考える必要がある。」(伊藤氏)
----顧客の要求が高度化すれば個人だけでは限界がある。組織としてどう取り組むべきか。
「まず組織営業の前提として個人の営業力の向上がある。営業の基本は顧客をよく知ること。個人が培った営業力を生かし、組織営業力を組み合わせて戦略的に動く。顧客の特性を理解した上で、ソリューションが必要な顧客を見きわめ、顧客に応じた営業をどう組み立てるか。顧客の選別と分析が重要。既存顧客に対する『刈取り』と新規顧客に対する『種まき』を同時に行ういわば二刀流営業を組織的に実践してゆく」(田中氏)
----組織内での実践にあたって、情報の共有や社内業務負荷など、効率化を妨げる問題も出てくると思うが。
「会社全体で業務分析を行い、営業の負担を減らす取り組みが必要」(伊藤氏)
「経営視点から誰に何をさせるかを決め、曖昧な業務を明確にして振り分ける。単純営業付帯業務の集中処理化を進める。個々の力では解決しきれない。経営マターとして、本来の営業活動に専念させるために必要なことを行うべきではないか」(田中氏)
最後に両講師からソリューション営業の実践に向けてメッセージをいただいた。
「顧客の立場に立つこと。自分だったらこの会社をどうしたいと思うところからアイデアがわいてくる」(伊藤氏)
「顧客が印刷会社にお金を払ってくれる理由、価値をつくりだすところから需要が生まれる。商品としての印刷物だけでなく、顧客が求めている印刷物のはたらきに関心を向けること。顧客はトータルな経済的価値にお金を払うのだということを忘れないでいただきたい」(田中氏)
(JAGAT 教育コンサルティング部 原淳子)
■関連情報
営業リーダーに求められる「現場経営力」
2013年2月19日(火)
課題解決型営業実践講座
2013年02月22日(金)
営業リーダーが創る組織営業体制と実践手法
2013年03月05日(火)