JAGAT Japan Association of Graphic arts Technology


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【開催報告】InDesign→EPUBへ、電子書籍を初体験 「制作担当者のための電子書籍のつくり方(入門編)」

掲載日: 2010年10月04日

今後は電子書籍用データの制作にも対応できるようにしておく、という印刷会社は少なくない。

JAGATでは2010年9月29日、DTPオペレータやデザイナーを対象にしたセミナー「制作担当者のための電子書籍のつくり方(入門編)」を開催しました。今回は入門編ということで、電子書籍の基礎知識と実際の制作フローについて解説いただくという内容。

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講師の影山史枝氏。DTPエキスパート認証試験
の対策指導などわかりやすい解説で人気です。

前半は基礎知識編。フォーマットの種類や汎用性、閲覧端末の分類など印刷会社が電子書籍コンテンツを制作する場合に必要となる知識をコンパクトに整理して解説。シャープのガラパゴスやドコモのスマートフォン向け電子書籍トライアルサービスなど最新の話題にも触れていました。

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iPad片手に説明。

後半は制作デモ。書籍用に制作したInDesignデータからEPUBファイルに書き出したものを編集ツールできれいに修正し、検証用サイトでチェックした後、表紙をつけるまでを実際におこなっていただきました。今回、書き出しはCS5を使い、作業前にノンブルや柱などの要素を削除したり、段落スタイルやファイル名を英数字に変更したりするなど準備をおこなっておきます。

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写真ではわかりにくいですが、左が紙の印刷を想定して作ったデータ、右が電子書籍用に修正をおこなったデータ。

そのまま書き出したEPUBファイルは、ePubを閲覧できるビューアで開いてもエラー表示され、正しく表示することができません。そのため、Sigil(フリーの電子書籍用エディタ)やDreamweaverなどの修正ツールを使って修正をおこないます。EPUBはXHTMLやCSS+画像、目次データなどをzip圧縮したものなので、解凍したものはWeb制作者であれば馴染みのある中身。それを修正して再度圧縮し、最後に表紙をつけて完成します。

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今回のセミナーの特長は、実際に印刷用に作られたデータから電子書籍用データ(EPUB)への変換を実演し、修正プロセスまでを具体的に見せていただいた点。InDesignやDreamweaverを業務で使っているという受講者も比較的多かったので、内容も身近で、また後日自分でもEPUBファイルを作ってみるなど、いろいろ試したりできるのではないかと思います。

なお、「入門編」に続き「応用編」も今後開催予定です。これから電子書籍制作にも対応していこうと考えている印刷会社の方やスキルアップを目指す方など、はじめの一歩としてご参加いただければと思います。

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