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顧客ニーズを発掘し、それを満たすための提案ができる人材こそが今後の提案型ビジネスに必要である。
日本経済は長期間、大量生産を基盤にした大量販売、大量消費に支えられてきた。消費者は「人と同じモノを、より早く、より多く持つ」ことを目指した。しかし、現在その構造はくずれ、成熟したマーケットでは消費者のニーズは多様化し、「人とは違うモノ」が求められている。それに対応するため多品種、少量生産体制の実現があらゆる産業で望まれるようになっている。
これらの環境変化に伴い、販促方法も従来のマスメディアや大量印刷物などのスタイルでは対応しづらく、また顧客に響かないものになった。かつて、テレビCMなどは一時的に多くの顧客を集めるのに効果的であった(ほぼ独占状態である東電CMの必要性が問題にもなっているが…)。しかし多くのメディアが誕生、普及し、消費者は多数の店舗を比べることが容易になった現在、この方法による効果は限定的なものなった。
■顧客は自らのニーズを満たしたい
印刷業界は、まさに大量印刷物などの製造において一翼を担っていたが、近年他メディアの出現など販促方法の多様化により、印刷物自体の製造が落ち込んでいる。しかし、企業の販促がなくなったわけではなく、方法が多様化してきただけであり、工夫が必要な時代になったということである。
印刷業界は、このような環境変化に対応するため、従来の受注体質から自らアクティブに活動する提案型に転換する必要が生じてきた。たとえば、これは製造業からサービス業への転換をも意味し、この要になるのが「人材」であろう。現在のように顧客の要求が複雑化しているにもかかわらず、その環境変化に対応できていなければ重大な問題だ。
顧客が求めているのは、サービスや製品そのものではなく、それによってもたらされる課題解決である。見えづらい顧客ニーズを発掘し、顧客の利益につながる提案ができる人材こそが必要だ。これらの意味を理解していないと、提案の中心が自社の扱うサービスや商品になり、単なる価格競争に陥る原因にもなる。顧客はサービスや商品が欲しいのではなく、自らの課題解決やニーズを満たしたいのである。
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