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モバイル通信業界のトレンド

掲載日: 2013年03月08日

キャリア、端末、各種サービスが今後どうなっていくのかを考えるうえで最新動向のキャッチアップは不可欠である。

バルセロナで開催されたMobile World Congress(MWC)は携帯電話業界としては世界最大級の展示会である。携帯電話業界の主要プレイヤーが集結するこの展示会は、各企業にとっては自社製品をアピールする絶好の機会となっている。

クロスメディア研究会では昨年、MWC2012から何が見えてくるものは何かというテーマでセミナーを開催した。というのも、通信業界のトレンドはここから伝播していくため、キャリア、端末、各種サービスが今後どうなっていくのかを考えるうえで最新動向のキャッチアップは不可欠であろうと考えたためだ。

例えば、前回時点でMWC2012から見えてくる世界のモバイル通信業界のトレンドは以下のとおりであった。

・モバイル通信業界のエコシステムの主導権は、インターネット系OTTプレイヤーの手にある
・インターネット系OTTプレイヤーにおける争いの主戦場は、OSからブラウザに移行した
・通信事業者は、「逼迫したダムパイプ」からの脱却への方向性を見出しつつある
・端末メーカーは、「ダム端末化」の危機に瀕している


「逼迫したダムパイプ」のダムパイプとはキャリアが土管屋になるイメージである。通信事業者間の競争が単なる設備競争になっている。逼迫の原因は、たくさんのユーザが様々なアプリを起動して通信しているからである。スマートフォンは多くのアプリがバックグラウンドで勝手に通信を行う。GSMAはアプリ開発者向けにそういった渋滞を緩和するためのガイドラインを出して呼びかけた。これは、通信事業者はアプリ側をコントロールできていないことを意味している。iモードではキャリアがトータルでコントロールできていた。
MWCでは、そのようなトラフィック急増に対策するソリューションが多く提案される。これらの多くはネットワーク機器ベンダーによるものである。

通信事業者が単なる土管屋から脱却するための思考として、「スマートパイプ」がキーワードとなる。クラウドサービスを提供していくためにはただの通信網の提供にとどまらず工夫が必要だ、といったメッセージである。

現在、量販店や携帯ショップなどで売れる端末の半分以上がスマートフォンになった。スマートフォンもSNSも世界共通のものが使われる時代となり、MWCで見えてくることは海外の遠くの世界の話などではなく、明日の日本に直結してくることと認識しなければならない。

2013年3月19日(火)
スマートフォン業界と関連分野の最新動向2013
~MWC2013から見えてくるモバイル業界総括

 

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