JAGAT Japan Association of Graphic arts Technology


本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

情報誌はどこに消えたのか

掲載日: 2013年03月21日

新タイプの情報サイトや画期的なWebサービスによって追いやられたものは何か

情報誌はどこに消えたのか

10年ほど前まで、住宅や求人・中古車・海外旅行、地域のレジャーや飲食店に関する情報は、情報誌やフリーペーパー、フリーマガジンなどで発信されていた。
特に、情報誌はTVコマーシャルでも盛んに宣伝されており、雑誌名だけで誰でも内容が分るほど、知名度があった。
近年、これらは急速に減少し、メジャーな情報誌はほとんど姿を消してしまった。

いつ頃から変化したかと言うと、ブロードバンド環境が家庭に普及し、ケータイサイトの利用が急増した2000年代前半だろう。これらの情報は、インターネット上でより迅速により大量に発信されるようになり、簡単にアクセスできるようになった。

続々と誕生する新タイプの情報サイト・Webサービス

また、ここ10年間には、新しいタイプの情報サイトや画期的なWebサービスが登場し、膨大な数の利用者が存在している。

「価格コム」は、あらゆる分野の製品価格やクチコミ情報が集約されており、参考にされている。
例えば、コンピュータ関連の製品であれば、価格だけでなく、製品の種類や部品、接続方式など、購入に際しては多くの情報が必要になる。以前であれば、これらは雑誌などで情報収集するか、店頭まで足を運ぶしか手段はなかった。
しかし、価格コムでは、大量の情報をかんたんに参照することができる。しかも、メーカーから発信された情報だけでなく、クチコミという一般ユーザーの声や、双方向のコミュニケーションも可能である。
価格コムの登場により、淘汰されてしまった雑誌や書籍も、あるのではないだろうか。

「Cook Pad」は、一般の参加者が料理レシピを発信するサイトである。
以前であれば、料理本や料理雑誌を購入して得ていた料理レシピの情報を、かんたんに閲覧することができる。しかも、さまざな素材にあった料理や調理法、人気ランキングなど細かい情報を得ることができる。レシピに対するクチコミも豊富で、双方向のコミュニケーションも可能である。
おそらく、このようなサイトの登場で料理本や料理雑誌の一部は淘汰されているのでないだろうか。

「Wikipedia」は、ワールドワイドで非営利団体が運営している百科事典サイトである。運営は寄付によって賄われ、世界中のボランティアが執筆や編集に携わっている。
紙の事典に対して、おそらく大きな影響があったと考えられる。

「OKWave」は、インターネット上であらゆる分野の質問を受け付け、誰でも答えることができるサービスである。大手のポータルサイトでも「教えて・・・」というサイト名で、利用されている。
このサイトも、膨大な数の利用者がおり、何がしかの出版物の代りになっているのではないだろうか。

家庭の医学や冠婚葬祭入門なども、以前であれば書籍で情報収集するしかなかったが、今ではインターネット上でより細かな情報を得ることができる。

これらのサイトはほんの一例に過ぎないが、情報誌や実用書、辞書事典・用語集などの分野では、何らかの出版物がWebサービスに取って代わられたと考えられるものは少なくない。

紙の出版が不要になるということを言いたいのではない。紙か電子かのどちらかに特化することは危険な考えであり、紙にも電子にも対応できなくてはいけない。コンテンツの重要性がますます大きくなっていることを強調したい。

つまり、紙でも電子媒体でも、いつでもすぐに対応して発信できるように準備されていることが問われることになる。価値のあるコンテンツを、有効に利用できる状態で保持できていることが求められている。

これからの出版とコンテンツの一元化

例えば、教育や法令、辞書・事典・用語集などの出版では、コンテンツを多面展開(マルチユース)することや再利用(リユース)することの比率が高い。
コンテンツを一元化して、どんなデバイスにも対応できること、紙でも電子でもあらゆる形式の出版に対応できることが、ますます重要となってきたと言えるだろう。

その場合、コンテンツを一元化し電子書籍と印刷本の両方に利用するワンソースマルチユースや、XMLによる自動組版が有効になる。

(JAGAT 研究調査部 千葉 弘幸)

■関連セミナー :3/26(火)「XMLによるコンテンツの一元化とEPUB制作」

(C) Japan Association of Graphic Arts Technology