JAGAT Japan Association of Graphic arts Technology


本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

JAGAT大会2013「印刷新領域ビジネス確立へのシナリオ」報告

掲載日: 2013年06月20日

「JAGAT大会2013」を6月14日(金)、東京コンファレンスセンター・品川において160名の参加者で開催した。従来のビジネスモデルを見直し、新たなモデルを創造するためのシナリオを検討する場となった。【JAGAT大会・報告】


【JAGATからのご報告】
ご挨拶とともに専務理事の相馬謙一より、印刷業界概況を解説した。ついでビジネスに貢献するマーケティングを知り、実践に活かすための知見を得る、JAGATの新しいサービス「JAGAT会員向けPODiメンバーサービス」 について説明した。


【Keynote】
会長の塚田司郎は、昨年のJAGAT大会2012の会場で『Disrupting the Future(未来を破壊する)』から、デジタルメディアの浸食が印刷産業に与えた影響を紹介した。その後1年たった現状を踏まえ、「価値創造と明日の経営」と題して、印刷業界の方向性や将来ビジョンを語った。そのために必要な経営戦略や会社の変革についても触れた。

最後に元JAGAT会長でもある故塚田益男氏の著作より、加工高生産性があがっても社会が良くならないことを説明し、それでも経営者なら加工高生産性を上げなくてはならない、その矛盾を嘆いた「くたばれ生産性」(2003年4月)を紹介した。

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【特別講演】
「異業種競争戦略―ビジネスモデルの見直しと創造」と題して、早稲田大学ビジネススクール教授の内田和成氏に語っていただいた。冒頭から「見回してみて女性がほとんどいない」「私と同じ年くらいの男性ばかりで若い人がいない」と述べた。成長産業では女性が活躍し、若い人が意欲的であると厳しいご指摘があった。

成熟産業や衰退産業からも顧客ニーズをしっかりとらえ、発想の転換やバリューチェーンの見直しによって、新たなビジネスが生まれる事例を多数紹介。なぜ異業種間の競争が起きるのかを解説した。そしてリーダーの条件として、「最後までやり抜く実行力」をあげ、スピード、柔軟な思考力、変化対応力をあげた。「わからないと言ってあきらめてしまうのが一番おろかである」と語った。

PowerPointも使わず、プレゼン用の資料も一切なく、90分間一気に語っていただいた盛りだくさんの内容の講演であった。参加者からは、「違う市場に出て行くときのヒントになった」などの感想が寄せられ、勇気をもらった方も多かったようである。

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【ディスカッション】
品川に会場を移して以来、3年ほどクロスメディア、マーケティングの2つの分科会で成功事例を紹介できるようにした。両方の分科会に参加したい、もっと掘り下げてほしいなどのご要望も多く、そのため今年はディスカッションを開催した。

テーマは、内田氏の話を受けて、「デジタルイノベーションと新領域ビジネス展開の実際」とした。スピーカーには、中西印刷専務取締役の中西秀彦氏、大東印刷工芸代表取締役社長の花崎博己氏、モリサワ代表取締役社長森澤彰彦氏を迎えた。前半は、スピーカーそれぞれの立場から、実体験としてのデジタル化を振りかえっていただき、DTPの功罪についても触れた。後半は、今後のビジネスに必要な要件、覚悟についても話し合った。デジタル化の強みは、たんに設備の置き換えでなくマーケティングを絡めた顧客志向型の提案が重要であることを議論した。 

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【懇親パーティー】
懇親パーティーは2年ぶりに会場を移動して、レストラン会場で設定。参加者同士の懇親の場として役立ったことが何よりであり、関係者一同とても感謝している。  

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(JAGAT 研究調査部 上野寿)

----関連情報---------

JAGAT大会の講演内容は、機関誌『JAGAT info 』8月号特集記事で紹介します。ディスカッションは9月号で報告予定です。

 

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