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JAGAT経営動向調査における財務分析手法

掲載日: 2013年08月06日

JAGATが毎年会員企業に対して行っている経営動向調査では、回答企業の希望者に簡易財務診断サービスを提供している。その分析手法について簡単に紹介する。

企業の経営力を評価する方法として一般的なのは、財務データに基づく分析である。JAGATが実施している経営動向調査は、従来の財務分析に合わせて、企業トップの経営意識、各社の製品戦略、営業戦略、組織運営といった財務指標では捉えることができない種々の定性的要因を加味し、こうした要因がどの程度企業業績に貢献するかを分析するものである。

また、大きな特徴として回答企業に対して個別レポートを作成している。自社の各種財務数字と回答企業の平均値が対比できる。そして、希望企業には簡易財務診断レポートを作成している。その分析手法の大枠について以下に紹介する。

財務分析手法について

1.総合評価

総資本経常利益率で総合評価,これをさらに総資本回転率と売上経常利益率に分解します。 (総資本経常利益率=総資本回転率×売上経常利益率)

2.収益性

2.1.資本効率の評価と内容分析
(1)総資本回転率の高低の要因を,総資本と売上高の両面から見ます。 (総資本回転率=1人当り売上高÷1人当り総資本)
(2)総資産(資本)に占める固定資産の高低を評価します。さらに固定資産を,機械装置額とそれ以外の固定資産に分けてそれぞれの高低を評価します。
(3)機械装置額は,まず機械装置回転率でその利用の有効度を評価,その高低の要因を1人当り売上高と1人当り機械装置額の両面から見ます。また,加工高比率により内製率の向上に寄与しているか,減価償却費とリース料から設備コストが負担になっていないかを判断します。

2.2.売上経常利益率の評価と分析

(1)生産性評価

  1. 1人当り売上高と1人当り加工高を評価します。最重要指標として1人当り加工高を重視します。
  2. 1人当り加工高の大小の原因を,以下の2つの観点から見ます。
  3. 1)1人当り売上高と加工高比率(1人当り加工高=1人当り売上高×加工高比率)
    2)機械装置回転率,1人当り機械装置額,および加工高比率 (1人当り加工高=機械装置回転率×1人当り機械装置額×加工高比率)

(2)加工高比率の評価

  1. 材料費・外注加工費・商品仕入など,外部流出する費用の対売上比率を評価します。
  2. 加工高の対売上比率を評価します。

(3)労働分配率の評価と分析

  1. 労働分配率の高低を評価します。
  2. 労働分配率の高低の原因を以下の2つの観点から見ます。
    1)1人当たり加工高と1人当たり人件費  労働分配率=1人当り人件費÷1人当り加工高×100
    2)加工高労務費比率と加工高給与額比率  労働分配率=加工高労務費比率+加工高給与額比率
    加工高労務費比率と加工高給与額比率の高低の原因を,工場・営業の人数比率・平均年齢・工場1人当り労務費などから見ます。

(4)人件費以外の固定費の評価

  1. 減価償却費・リース料を見ます。同時に1人当り機械装置額を参照します。
  2. その他経費の対売上高比率を見ます。

3.健全性

  1. 自己資本比率・固定比率・固定長期適合率を評価します。
  2. 経営度を評価します。

4.成長性

売上高・経常利益・平均年齢の推移などから評価します。

関連情報

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