本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
メディアが多様化し、情報過多の時代を迎えている。文字だけですべての情報を伝えようとすればするほど、本当に伝えたい内容は埋もれてしまう。
■インフォグラフィックスは、伝えたい情報やデータをグラフィックスと組み合わせて視覚的に表現する手法や考え方であり、それ自体は以前から存在していたものである。
ところが、メディアが多様化・複雑化し、情報量も膨大になってきている。受け取る側にとっては、必要な情報を即座に把握することが難しくなっている。そのため、インフォグラフィックスが改めて見直されている。
インフォグラフィックスは、日常生活の多くの場面、たとえば標識、地図、報道、技術文書、教科書などで使用されている。数学や統計の標記では概念的情報を分かりやすく表現し、科学的情報では可視化(画像・グラフ・図・表などで表現する)にも使われている。
例えば地下鉄の路線図、政党別支持率の選挙速報結果などでも、インフォグラフィックスが応用されている。
■経済産業省は、インフォグラフィックスの手法を用いて、専門家や国の持つ知識・データとクリエイターの「伝える」力を結びつけていくプラットフォーム「ツタグラ[伝わるINFOGRAPHICS]」を開設し、2011年10月31日より正式運用を開始した。
国の課題やこれからの問題を一目で判るように伝えるインフォグラフィックス作品を公募し、紹介するサイトである。このサイトの存在により、クリエイターによる復興プロジェクトやメッセ―ジ発信が多く生まれ、改めてクリエイティブの力が再認識された。
経済産業省の白書や報告書は、情報公開されていても、理解しにくく読まれていないことも多い。今後、インフォグラフィックスを用いて理解しやすいものに変わっていくことが期待される。
■インフォグラフィックスを作成(デザイン)するには、いくつかのポイントがある。
「ユーザー目線に立って、面白いこと」
「ユーザーを、寄り付かせること」
「すべての情報を伝えようとするのではなく、必要な情報を絞り込むこと」
「簡潔に素早く、必要なものだけを理解させること」
身近な例では、駅の構内にある乗換案内図がある。路線のイメージカラー(山手線なら黄緑、丸の内線なら赤)を使うことで、その先の乗換のスムーズな誘導が図れ、案内板としての機能を果たすことができる。
「ツタグラ」に掲載された作品の中に、日本の人口構成の推移を表したものがある。
これは、タブレット上で年代をなぞっていくと、その年代の人口構成を示したグラフが連動するものである。
各年代ごとの人口構成の推移が、グラフの動きによって一目でわかる。若者中心だった人口構成が年代とともに高齢化していく推移を、簡単に理解することができる。
■Webでも印刷物でも、扱われる情報の量が膨大になり、その内容も複雑化してきている。必要な情報を選別し、わかりやすく訴求していくことはさらに重要である。簡潔に情報を正しく早く伝えられるか、がそのメディア(印刷物)自体の価値にもつながる。インフォグラフィックスを活用していくことが、情報メディアの価値向上に直結していると言える。
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