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韓国で人気のWebコミック「ウェブトゥーン」、日本に上陸

掲載日: 2013年10月23日

スマホ向けに最適化されたデジタルコミックサービスでNHN PlayArtが電子書籍事業に参入した。

NHN PlayArt(2013年8月にNHN Japanより社名変更した)は、2013年10月よりブラウザ上でマンガが読める、webコミックサービスとして『comico(コミコ) 』をスタートした。これはスマートフォン向けに最適化された形式で提供するのが特徴で、作品はすべてコマ割りのない縦スクロール形式、そしてフルカラーが基本形だ。曜日ごとに作品が更新され、毎日新作コミックが掲載される。またすべて独自に契約したオリジナルの作品である。

韓国では、同様のサービスは既に一般的になっている。Webtoon(ウェブトゥーン)と呼ばれ、既存の出版物をデジタル化した作品よりも、Web ファーストで発表されるこちらの方が人気がある。韓国では世代・性別を問わず、「デジタルコミックといえばWebtoon」というほど浸透しているという。

2013年10月より開始したWebコミック「COMICO(コミコ)」
2013年10月より開始したWebコミック「COMICO(コミコ)」

韓国NaverのWebtoonサイト
韓国NaverのWebtoonサイト

Web とcartoon(マンガ)を組み合わせた造語であるウェブトゥーンは、韓国のポータルサイトNaver(ネイバー)やDaum(ダウム)、Nate(ネイト)などで公開されているマンガを指す。スクロールでコマ送りする形式で、すべてがフルカラー。曜日ごとに作家の作品が更新され、1 週間で数百件も更新される。

ウェブトゥーンの特徴は、ポータルサイトが作家に原稿料を支払うことで、ユーザーはほとんどの作品を無料で読むことができる仕組みにある。ポータルサイト側からすると、魅力的な無料コンテンツを提供することでPV を上げ、プラットフォームとしての価値が向上することを期待している。

作品の分量は、1 話が紙換算で12 ページ程度の短いもので、3 カ月で単行本1 冊分ほどになる。人気作品は紙の単行本として出版され、ドラマや映画の原作になることもある。書籍化やドラマ化などで発生する二次的な報酬は作家へ配分される。

韓国には日本のようなマンガ雑誌がないので、新人発掘の場としても使われている。
ユン・テホ氏の「未生」という囲碁をモチーフにした作品はWeb 上で発表されると多くの読者を獲得し、累積閲覧回数4 億回、紙版の書籍でも30 万部以上売れた。2013 年にはモバイル映画やドラマ制作も決定した。ほかにも広告にウェブトゥーンのキャラクターが起用されるなど、社会的に大きな影響力をもち始めている。

海外のサービスをローカライズして国内で展開する例は少なくない。クロスメディアビジネスに関しては、海外の事例から今後のビジネス方向性を考えるのもひとつの方法である。

(JAGAT 研究調査部 中狭亜矢)

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