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環境に配慮した印刷工場のあり方 シリーズ『印刷白書2013』

掲載日: 2013年11月27日

印刷産業においても、環境問題は重要な経営課題として捉えられている。環境配慮型製品の開発や、CFP(カーボンフットプリント)プログラムへの参加など、様々な取り組みが広がっている。

日本印刷産業連合会では、印刷工場と印刷製品の環境配慮を積極的に推進するため、印刷業界環境自主基準による「グリーンプリンティング(GP)認定制度」を2006年に制定して推進している。2013年10月現在のGP認定工場は、オフセット印刷部門243工場、シール印刷部門14工場、グラビア印刷部門43工場、スクリーン印刷部門4工場となっている。

また、同連合会では、印刷産業界における各企業の環境問題に対する取り組みの促進と、印刷工場の環境改善および印刷企業に対する社会の支持・理解を獲得することを目的に、2002年度から「印刷産業環境優良工場表彰制度」を実施している。工場の周辺環境対策としては、次の6項目が挙げられている。

①大気汚染防止対策(VOC 排出施設対策、ボイラー、乾燥炉、廃棄物焼却炉等煤煙発生施設対策等)
②水質汚濁防止及び土壌汚染対策(製版・刷版廃液処理対策、ユーティリティ排水対策、メッキ関連施設対策、土壌汚染対策等)
③騒音・振動防止対策(低騒音・低振動型装置導入、防音・防振対策、定期測定等)
④悪臭防止対策(排ガス回収・処理装置導入、漏洩防止対策等)
⑤廃棄物管理対策(適正保管、適正分別、適正処理等)
⑥その他周辺環境対策(地盤沈下、緑化、光害、電波障害、熱害、景観等対策)

印刷産業の環境への取り組みが日常的なものとなり、ニュースにならなくなった一方で、2012年には校正印刷会社における胆管癌の発症が大きく報道された。印刷業界だけでなく、化学物質の取り扱いの重要性が現在あらためて指摘されている。日本印刷産業連合会では、この問題を印刷関連事業所の作業環境問題として重視し、「労働衛生協議会」を設立し、実態調査や防止対策に取り組んでいる。2013年5月31日付で提出した『印刷業界における化学物質ばく露防止推進のための化学業界の改善のお願い』に対し、日本化学工業協会より7月16日付で、可能な限り協力するとの回答があり、継続的な有害性情報の提供やリスク評価手法などの化学物質管理に関する具体的な協力を得られることとなった。

VOC(揮発性有機化合物)を含まない「ノンVOCインキ(大豆油インキなど)」や従来に比べてCO2排出量を4分の1 程度に削減する「ハイブリットUVインキ」の開発、2012年6月に「改正水質汚濁防止法」によって有害物質に指定された湿し水に含まれるアンモニア化合物への対応も進んでいる。

(JAGAT CS1 部 吉村マチ子)

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『印刷白書2013』では「印刷産業の経営課題」として、ドメインから印刷通販、知的財産権、差別化戦略、人材など、様々な課題を取り上げています。コラムでは、韓国クロスメディア、CSR、環境、コミュニケーションなどをまとめています。ぜひご一読ください。

 
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