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購買行動における消費者のリスクとマインドシェアの獲得 広告印刷物をいかに顧客の売上へとつなげていくか?(連載第2回)

掲載日: 2014年01月14日

連載第1回の「広告には目的がある 」に続き、レスポンス広告を作る前に知っておくべきこととして、購買行動における消費者のリスクとマインドシェアについて紹介する。

前号では広告には前提条件としての目的があること、そして消費者の心理状態を模索しながらどのように購買活動へとつなげていけばいいのかをしっかり熟考した上で広告表現を工夫する必要があることの重要性をお伝えした。
今号ではこの消費者の購買活動において押さえておきたいポイントをまずご紹介したい。
消費者が購買しようとする前に何か矛盾や葛藤が心の中で起きている事が多い。例えば、試しに購入してみようか?と思う反面、本当にこの商品は大丈夫なのか?と心の中で購買を控えようとする動きが出てくる。つまり消費者はなるべくリスクを回避しようとしている。そのリスクをまとめたのが下記である。

【購買行動における消費者のリスク】
※機能的リスク・・・購買した製品が、購入者の期待した機能をはたさない
※身体的リスク・・・購入した製品が、使用者や周囲の人々の健康や身体に危害を加える
※金銭的リスク・・・購入した製品が提供する価値が、支払った価格に見合わない
※社会的リスク・・・購入した製品が、社会的な迷惑をもたらす
※心理的リスク・・・購入した製品が、使用者の精神・心理に悪影響を及ぼす
※時間的リスク・・・選択の失敗などにより他製品を探索するという機会費用が発生する
ケビン・レーン・ケラー『戦略的ブランド・マネジメント』より抜粋

上記のような消費者のリスクをいかに広告表現で心理的に軽減させていくかが重要である。
このリスクを軽減・解消してゆく具体的広告表現手法は追って触れてゆく。

また、レスポンス広告を作る前に知っておくべきこととして「マインドシェア」について説明する。「マインドシェアの獲得こそがマーケティングのゴールである」という言葉がある。
これは「ゲリラ・マーケティング」という書籍として全世界40数ヶ国で1,500万部以上シリーズ化して世に出しているジェイ・コンラッド・レビンソンという人物の言葉である。
マインドシェアとはある特定の商品や店舗やサービスに対する消費者の心の中でのシェアの事であり、特にスモールビジネスにとってはマーケットシェアを得ることではなく、マインドシェアを大きく得ることが重要である。

そのマインドシェアを獲得する指標として表したのが下記図である。


respon_zu.jpg


この図のポイントは消費者の階層別にターゲットの心理目標を示している事である。
これはそれぞれの階層でターゲットとなる消費者がどのような心理になってもらいたいか?を明文化し、そのために広告表現の上でどのような施策を取ればいいのか?を理解し、
打つべき手を考える為の指標とするものである。「各階層のパイをいかに広げるか?」「各階層の消費者をいかに上へと昇華させるのか?」という課題を解決することが、マーケティングの目的となる。
顧客の売上へとつなげる為のレスポンス広告では、この図において例えば未認知客から準見込客へ、または認知客から見込客へというように2段階から3段階へと一気に階層をあげる事を目的としているため、非常に緻密な戦略を練った上での広告表現の設計が必要になってくる。そのレスポンス広告を作る上で必要な4要素を次回触れてゆく。

   

■執筆者:二宮 和雅 (にのみやかずまさ)
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会トレーナー
株式会社イズ・アソシエイツ
千葉県千葉市出身。九州にある大学を卒業後、人材派遣会社に入社。約4年間毎日100件飛び込み営業を続けた後、人事コンサルティングファームに入社。組 織活性の為の人材育成・人材採用・(CI)コーポレートアイデンティティの確立など大企業・中小企業問わず様々な業種に対して組織コンサルティングを実 施。その後、クライアント先に常駐して組織体制づくりや新規事業立ち上げなど多数のプロジェクトに参画。2011年から株式会社 イズ・アソシエイツに入 社し、マーケティングとブランディングを軸とした営業活動に従事しながら(財)ブランド・マネージャー認定協会のトレーナーとしてブランド戦略の普及と活 用に尽力している。近年では印刷会社の営業、デザイナーに向けて、ブランディングやダイレクトマーケティングの研修を多数実施し大変好評を得ている。

 

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