JAGAT Japan Association of Graphic arts Technology


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組版編集ソフトウェアMC-Smart1

掲載日: 2014年04月15日

株式会社モリサワ ユーザサポート部
長谷川 昌紀 氏

次世代の組版編集ソフトウェアで、これから販売するMC-Smart1という新しい組版ソフトを紹介する。
pageでも実機を展示していて、なぜ今さら組版ソフトなのかという声もあった。本日は今までWeb周りの話が中心だったが、印刷といった部分、またそこに関わる生産性の部分も、やはり欠かせない部分である。モリサワは、フォントだけでなく組版についても力を入れている。

モリサワは手動の写植機の頃から、書体とともに写植機も含めて販売させていただいている。その流れに基づいて、今現在でも組版の部分に力を入れている。東京で年4回、大阪で年1回、組版教室も開催しているが、そういった部分も含めて、トータルでフォント、組版の部分を今後もサポートしていく。

MC-Smart1とは

MC-Smart1は、大きく3つに分けたコンセプトに基づいて考えている。
まず1つ目は、リーフレットや書籍だけでなく、表組が非常に複雑なもの、例えばビジネスフォーム的なものを作るとか、約款などでも表組は非常に多いが、そういったものを効率よく作る仕事や、専門性を問われる数式などについても幅広く対応できることが、まず第一にかけられるところである。

2番目には、生産性の部分で、自動組版的な処理を可能な限り標準で持たせること。それによって大量のページ、パターンものの大量ページ、辞書やカタログなどについても対応可能な拡張性を持たせていること。

3つ目としては、インターフェースを、リボンというWindowsでこれから標準となるものを採用して、Windowsを使う中で、コンピュータを使う中で、そのコンピュータの中での操作統一性を測り、それによってオペレータが全体の操作について統一感をもって作業を行う。ひいては、その育成期間を大幅に短縮する、そういったところを含めて開発を行っているソフトである。

操作しやすいインターフェイスと高いレイアウト作成・組版機能

まず、リボンインターフェースを使った直感的操作ができることを目指している。
現在、MicrosoftのOffice、WordやExcel2007以降に採用されているリボンは、上部にタブ形式で、タブの中に各ツールが納められているが、こちらでさまざまな機能を呼び出すことができるインターフェースである。
2012年に出ると言われているWindows8でも、全体の標準インターフェースにもなっているし、昨今出てくる新しいアプリケーションでも、リボンを採用しているソフトが次々と出ている。今後の全体的な操作統一感としては、これに統一されていくだろう。

また、可能な限りシンプルな操作感を出している。
組版の処理は複雑になりがちだが、非常にわかりやすいリボンというインターフェースとともに、操作性もわかりやすくしていこうと考えている。表示もわかりやすく、体裁も統一できるような仕組みを持たせている。
効率的な作業ができること。もちろん、生産性も踏まえている。体裁の統一は生産性にもつながるので、そういったところを含めて考えている。表組に関わる部分では、ビジネスフォームや大量の表組を簡単に制作できる。マウスによる操作感や、スタイルを使った全体の体裁統一に対応している。
例えば、特に日本語の表組でたくさん使われる角丸や、セルの分割などを可能な限りマウス操作で簡単に対応できるような仕組みを持たせている。

そしてレイヤー機能を使ってオブジェクトの管理を行う。また、ビジネスフォームなどで、インチ割りという独特なグリッドの割り方使って、オブジェクト類の整列やセルの位置決めをしやすくしている。
テキスト配置については、単純に直線の部分だけではなく、斜めの状態で配置したり、曲線のところでラウンド的な配置をすることにも対応している。

生産性の部分では、表組の機能として、単純に固定のものだけではなく、浮動表、スタイル表という、ページをまたがるような表組の機能を持たせて、最大3種類の表組が作成できるようになっている。それにより、何ページにもまたがるような表組もできるし、法令や約款関係に見られる、表組的な体裁ながら中に入っているものはすべて文章になっているもので、ページをまたがる、段をまたがる場合、全部続きの文章になっていなければいけないが、それらを作る場合も、MC-Smart1は対応している。

そして組版の部分は、モリサワが古くから力を入れている部分である。特に各出版社ごとに雑誌、書籍などを作る場合、それぞれの出版社ごとにハウスルールが決められている。その際は、例えば禁則の処理や、字体、字形の統一、「本では全部印刷の字体にしなくてはいけない」、「全部ではなく一部だけしなくてはいけない」などに対応することができるような仕組みを搭載している。

また、組版の機能として、熟語ルビや、下付きルビ、また文章の途中で2行や3行にわたるような文章を書かなければいけない振り分け組みについても、内部の機能で対応している。
また、長文の文章、書籍などを作る場合は、索引の生成が欠かせない。ただ、例えば読みの情報がすぐに来ない場合や、1つの索引単語に対して2種類の索引を作らなければいけない場合、例えば人名に対して五十音順の索引と、その人が何年に生まれたかという年表的な索引も作らないといけないので、そのような場合についても、Smart1では対応できる仕組みを用意している。

もう1つ、ここは生産性に関わる部分だが、もともと来ていたデータがWordデータで、Wordの中に、既にアンダーラインやルビが入っている場合、普通にプレーンテキストに落とすと抜けてしまうが、その分をそのまま反映させるような仕組み、その部分の補助用のソフトも標準でバンドルしている。
(図1)(図2)(図3)(図4)

 
 
▲図1

 
▲図2
 
▲図3

 
▲図4

 

入稿・文書作成・ニ次利用に役立つツールを標準で付属

補助ツールについて簡単に紹介したい。まず、Wordデータの取り込みだけでなく、書き出しにも対応したツールを用意している。これは別々のツールになっているが、まず取り込みのツールとして下線やルビ、スタイル、囲み文字なども含んだ体裁情報をできるだけ生かして、またはSmart1で表現できる体裁情報に変換して取り込むためのツールを用意している。

取り込みだけでなく、組版された文書をWordデータに出してまた使いたい場合にも対応できるWord用の書き出し支援ツールもある。完全に同じではないが、可能な限り取り出して、それを二次利用できるようなツールを用意している。

また、これらの取り込み、書き出しについては、Wordが標準で持っている機能として、数式があるが、オプションの併用によって数式の取り込み及び書き出しに対応しているので、専門性の部分にも対応している。
索引や目次についても補助ツールを用意している。ドキュメントを作成した段階で、目次のテキストの取り出しをしたり、索引のテキストの取り出しをするツールである。

また、読みなどの情報がすぐ来ない場合、一括して編集することが多いが、そういった各種情報について、1回抽出したデータを一覧表示しておいて、それをまるごと編集し、編集した上ですぐに索引データがページ情報とともに生成できる、そういった仕組みのツールを標準で添付している。

もう1つ、印刷の際、効率よく印刷するためには面付けの処理が欠かせない。最近ではワークフローRIPで対応できるケースもあるが、100%それだけで対応しきれない場合もある。

また、小ロットのものはオンデマンド印刷にかける場合もある。ただ、オンデマンド印刷の面付けツー
ルでうまく面付けできないこともあるので、その場合は対応できる専用の面付けツールを用意している。

それらを使って、効率よく、かつ生産性の高いデータ制作、印刷への対応ができるような形がとれるというのがこのMC-Smartである。
(図5)(図6)(図7)

 
 
▲図5

 
▲図6




 
▲図7


 

業務に合わせた製品構成

MC-Smartというソフトウェアは、オプションも幾つか用意している。本体であるMC-Smart1という製品は、組版ソフトである同名のMC-Smart1と、Wordのデータ取り込み、Wordのデータ書き出し、索引用の各種処理ツールと面付けツール、合わせて6種類のツールをセットしたパッケージである。

数式の部分については、専門性もあり、すべてのお客様が使うわけではないので、別途、数式オプションで、編集のツールと専用のフォントのセットを用意している。

データベース組版についても、やはりすべてのお客様とは限らないので、これも、DBカタログオプションという形でツールを用意している。これらすべてを含めた形で、MDS-Smart1という製品として、別途セットで用意している。したがって、合わせて4製品に分かれる形になる。

では、数式の部分とDBカタログオプションの部分を簡単に紹介したい。まず数式オプションだが、専用の数式フォントを3種類用意している。また、MC-Smartのほうに用意している数式パラメータというバランスの調整をするもの、例えば分数の罫線の太さをどれくらいにするか、上付きの文字、下付きの文字をどれくらいの大きさと位置にするかなどがパラメータだが、美しい数式を作る、またはハウスルールに対応できる数式を作ることが可能になっている。

数式は専門性が高い部分だが、これを簡単に作成できるツールが、MC-Smart1に内包される形で呼び出すことができる。そういったものがオプションのほうに用意されている。これにより、効率よく、かつ美しい数式が組版できる。

DBカタログオプションは、大量自動一括組版を想定している。DBカタログなので、データベースのテキストを使って、それに組版の情報、いわゆる組版のファンクション的なものを持っており、それを付けるという形になるが、それを非常に高速に付けることができるようなツールと、MC-Smart1を含めた各種ツールを組み合わせた自動組版の実行ができるようなツールの2種類を、DBカタログオプションで用意している。
そのようなさまざまなツールを使って、生産性高く、また効率よく作成できるようになるのが、MC-Smart1である。

では、実機を使って紹介したい。MC-Smart1の画面だが、上部に出ているのがリボンである。リボンは、ホーム、オブジェクト、表、表紙という4つのタブが出ているが、それらをクリックすることで各ツールに切り替わる。タブを使って、すべてこの中にメニューが出て来るので、これで呼び出して使う。

画像をダブルクリックすると、今までなかった新しいタブが出てくる。これは画像処理用のツールである。リボンの中にある各種設定を使って画像の位置を変えたり、画像をフィットさせたり、そういったものは画像専用の機能なので、必要な場合だけ出てくるような仕組みになる。

Excel2010の画面である。Excel2010でも、やはり同じようにリボンが、ホーム、挿入、ページレイアウトなど出てくる。こういったExcel、Wordなどと同様の操作感でMC-Smart1は操作できる。

最近はWord、Excelのほうがよく話を聞くが、いろいろなソフトでリボンを採用している傾向が増えてきているので、これからますますWindowsのソフトについてはリボンが主流になっていくと思う。

次に、文章を拡大して、組版の説明をしたい。「リゾートシティ」という文字で「リゾート」というところが間延びしたような状態になっている。理由は、シティの「ィ」の部分がちょうど禁則の状態になっているので、それに引っ張られる形でここが間延びしている。これは組版の設定を、禁則の設定を、簡単にチェックのオンオフで変えることができる。チェックのオンオフだけで組版の設定を変えることができるという仕組みを用意している。
ただ、今の例はカタカナの「ィ」だが、ひらがなとカタカナの拗促音の文字があったとき、今のチェックだけだとすべて影響してしまう。しかし、全部の文字だけでなく、一部の文字だけ対象にしたいというケースもハウスルールでは存在する。

そういう場合は、「詳細の設定」で文字種禁則という設定テーブルがあり、文字の部分だけを、通常の情報ではここはカタカナの拗促音という情報が入っているが、それを普通のかなの同じ扱いにすることで変えている。そういった形で、文字単位で組版の情報を変えることができる仕組みを持っている。これは、欧文の文字なら、プロポーショナル文字の大文字や小文字などの情報を持っていくこともあるが、1文字単位で変えて、その設定を当ててあげることによって、カタカナの「ィ」は行頭禁則になったが、これをひらがなの「ぃ」に変えたときにそのまま禁則させないといけないという形で動く、そういった仕組みが今できた。
そういった細かいルールに対応したり、一部だけ出したい場合は、フォントを変えたり異体字を充てたりすることが普通のソフトでは行われるが、全体に充てるのではなく、効率よく一部の文字だけ自動的に充てたいときは、組版モード側に置換という機能、同様のテーブルを設定している。ここで、どういう文字の字形が来たときは異体字のどの字形に変えるとかなどにも対応している。

対応できるのはユニコードの文字やAdobe JapanのCIDコードの字形である。直接CIDコードを呼び出すような仕組みも用意しているので、それらを使用し、充てることによって、結果として自動的に差し変わったが、それで対応することができるようになっている。

また、カギ括弧についても、OpenTypeの中には短いものも付いている。そういった字体に必ず対応しなければいけない場合も、入力すればそれが自動的に反映される仕組みが用意されているので、それらを使って効率よく作業することができるようになっている。

次に、保険契約のような体裁のもの、これは表組の形になるが、これらを作る場合、グリッドの表示に変えてみると、場所がずれている。こういったグリッドを、ある程度一定のインチ的な割り方をしておいて、そこに沿わせる形で配置したいとよく聞かれる。

そういった表示に変えるような仕組み、今は5ミリ単位の設定になっているが、それをフォームという設定に変えた。これに変えることによって、拡大すると、幅と高さが一律ではなく長方形の状態になっている。一般的にグリッドというと正方形の形が多いと思うが、長方形の状態に合わせることができる。

また、環境設定で、例えば罫線の位置の移動を、グリッドスナップという、グリッドの単位の状態で合わせたいという設定をしておけば、そこの部分だけ選択して、ちょうどこのグリッド単位で移動させることができるようになる。

また、セル単位で角丸を付けるような場合、マウスクリックだけで簡単に角丸が付けられる。また、「プラン1、プラン2、プラン3」で文字の大きさが違うが、「プラン3」だけは全部同じではなくて別の情報が必要なので、セルを分けないといけないような場合がある。その場合は、「引く」というものを使って罫線を引いてしまえば、すぐに分けられる。こんな簡単に操作できるような仕組みが用意されている。

また、表の形で一度形で作ってしまった後、右側の部分だけ別に分けておきたい場合、「表の分割」という処理がある。分割することによって別のオブジェクトとして再編集したり、また合体させることもでき柔軟な表組の作成ができるような仕組みを持っている。

それだけでなく、ある部分とある部分は、表としてはページ、段をまたがってつながっている。そのような表組についても対応することができ、また、長さがもっと何ページにもまたがるような表も作ることができる仕組みも持っている。このように、Smartでは、一般のソフトでなかなかできないような機能について対応している。

また、効率よく作業するための、オプションのソフトを簡単に紹介していく。ページがまたがる表組、法令系の文書だが、もともとWordで作られていて、Wordの中に丸ごと文章が入っていて、表組についても中に含まれた形で用意されているものも多いと思う。こういったデータがあると、通常はコピーペーストしたり、テキストに書き出してから持っていくことが多い。

WordInというソフトを使うことによって、Wordのデータを変換させるだけでSmartの体裁のついたレイアウトに変えることができる。どこまで体裁が反映されるかは、Smart側の、取り込む先のレイアウトも多少作り込みが必要な部分もあるが、一切作っていない場合でも、1回取り込むだけ取り込んで、それから体裁を多少修正したり、柔軟な作成、修正が可能である。

また、外部オプションである数式について、一般的にDTPソフトなどで数式を作る場合、無理矢理に機能を使って似た形で作ったり、プラグインを使って作る場合が多いと思う。

ただ、それぞれ問題がある。無理矢理作る場合は、どうしても修正が難しいし、プラグインの場合は使われるフォントが大抵専用のものになっていて、そのフォントが和文の書体となかなか馴染みがよくないということがある。

数式オプションは、すべてモリサワのリュウミンの字形をベースにしたフォントを付属しているので、非常に馴染みがいい。そして、プラグインのタイプだと基本的に画像形式で配布されることが多く、表示、確認、修正が難しいが、Smartの数式の場合は完全に文章型になっているので、範囲選択もできるし、直接入力して編集することも可能である。

もう1つ、リボンのほうでも新しく数式が追加されたので、こちらを使って、例えば√を打ったりベクトルを追加したり、リボンの中のメニューを使うことで簡単に編集することができる。そういう仕組みを、数式オプションを使えば追加することができる。
数式については、パラメータを編集することによって、細かく設定することができる。上付きの文字については文字サイズ何%にするとか、位置をどうするとか、分数の場合は分数の罫線をどの程度の太さにするのか。罫線の前後の張りだしをどうするかなど、細かいテーブルを用意している。
それを設定することによって、簡単に罫線の全体のバランスを変えたり、全体の統一性を持たせたり、1つの数式単位でパラメータを付けることもできるので、例えば大きな数式と小さな数式が混在している場合、それぞれで体裁を変えることもできる。

もう1つのオプションソフト、DBカタログオプションだが、ついているMXP for Smartというツールを使うと、データベースから必要なデータだけ抽出したり、ソートしたり、文字列を印刷用の文字列に置き換えの処理をしたり、実際にどう印字するのかを、タグテキストを使って設定する仕組みを用意している。
条件を入れることで、この場合はこのレイアウト、この場合は別のレイアウトと、レイアウトパターンの切り替えが内部的にできるようになっているので、さまざまな体裁パターン、非常に細かい情報にも対応することができる。
多少の前処理は必要になるが、組版の実行は非常に高速な処理ができるので、生産性の高い作業ができるようになる。もしこれが定形の仕事なら、もう1つバンドルされているMJFというソフトを使って定形の自動化処理も実行できるようになっている。
他にも幾つかソフトがあるが、今日の紹介は以上である。(図8)(図9)(図10)
 

 
▲図8

 
▲図9

 
▲図10


 

MC-Smartの訴求先と製品価格

最後に、MC-Smart1をどういうお客様に使っていただきたいかだが、組版の品質も追っているけれども生産性も大事という部分にマッチングするお客様を考えて作られたソフトである。

まず、汎用的なDTPソフトの生産性や品質になかなか満足しきれない。スピードがとれない。全体で、みんな使うことができるが、なかなか生産性として伸びることが難しい。そういう場合は、Smartを使って操作性、生産性をバランスよく両立させることができると考えている。

もう1つ、既存専用組版システムからの移行。モリサワだけでなく、他社でも従来からシステムを販売しているが、そういった組版システムが現在ではなかなか見られなくなってきた。ちょうどサポートが終わった、販売がなかなか進まないという声も聞かれる。

そういうシステムには生産性の高いものが多いと思うが、そういうものから、Smartで生産性を維持していただきながら、リプレースなど併用して使っていただくことも考えている。

価格、動作環境について説明する。価格は、Smart1本体とオプションそれぞれ、また全部セットになったMDS-Smart1と、4種類の価格体系になっている。MC-Smart1の税込標準価格は126万円、数式オプションは26万円、DBカタログオプションは47万円という金額になっている。トータルだと割高になるが、少し価格を抑えた、全部セットのMDS-Smart1も用意している。
また、別途、1年間単位での、年間契約型のライセンスも用意しており、およそ4分の1の価格で導入できる。これはあくまで1本単位だが、実際にはボリュームライセンス的な価格体系も用意しているので、何本かまとめて入れる場合については、これよりも1本あたりの単価は下がってくる。

動作環境だが、OS環境はWindows7になる。まだWindowsXPが多いという声もあるが、ある調査では国内のWindows7のシェアが50%越えたという話もある。XPは基本的にサポートが約2年しかないので、この機会に合わせたので7を推奨している。ハードウェアは、一般のハードウェアなら基本的に対応可能である。
Smart1は、これから産声を上げようとしているソフトである。これからは印刷だけでなく、二次利用、さまざまな利用を想定しなくてはいけないと思っている。今後の話だが、電子書籍や各種データ関係、多言語の組版。ちなみに、ユニコードには対応しているので、多言語の表示は標準でもできるが、さらに組版が細かくできるようにやっていきたい。また、バリアブル印刷、可変処理も含めて、さまざまな対応を考えている。

今はいろいろなものに対応できないといけないと言われている。大規模なものから小ロットのもの、さまざまな制作のものがあり、さまざまなメディア、媒体への対応も視野に入れながら、Smart1は対応していく。
リリースは、3月12日を予定している。今後もさまざまな場所での説明や、必要に応じて個別のデモや説明も行うので、気軽に声をかけていただきたい。
(図11)(図12)(図13)
 
 
▲図11

 
▲図12

 
▲図13

 
質問:MC-Smart1について伺いたい。テキストを流しこむとき、テキストのほうに予めタグなどを入れておくことによって、流しこんだらその時点でスタイルが割り当てられるという機能は実装されているのか。

長谷川氏:実装されている。

質問:ほとんど手で、MC-Smart1上でオペレーションした結果をそのまま書き出して、もう1回流しこめば同じ結果が得られるというレベルなのか。

長谷川氏:MC-Smart1の組版エンジンは、モリサワで従来から持っているエンジンをベースにしたものを使っている。外部でタグテキストを直接入力しておいて取り込むことも可能になっているし、レイアウトをSmart1で行ったときも、処理としてはタグが付くような仕組みになっているので、書き出しした場合はタグをそのまま付加して出す仕組みを用意している。
さらに外字コードなどについてもテキストレベルで表現できる仕組みを持っているので、そういったものについて、再度取り込んだ場合、崩れることは基本的にはない。

質問:MC-B2でできてMC-Smart1でできないことは?

長谷川氏:MC-B2は現在でも販売しているが、多少コンセプトが異なっている。MC-B2は本当にバッチ的な組版で、同様にタグテキストではあるが、より高速にスピード処理できるような仕組みが用意されている。
MC-Smart1に関しては、ほぼ網羅はしているが、プラスアルファの機能を持っている。もう1つは、操作性の部分を重要視している形になる。
実測というか、ある程度経験則になるが、MC-B2のほうはバッチ処理したときの大量スピードがSmart1よりも圧倒的に速いと考えてもらいたい。Smart1のほうは、もちろん生産性はあるが、全体のバランスを考えた商品になっている。

質問:表に関して、スタイル表なら段やページの途中をまたぐセル分割処理に対応可能とあるが、スタイル表というのは?

長谷川氏:途中分割が可能なのはタグ側でコントロールするスタイル表である。文章型の処理になるので、タグや組版情報を付けていただくような形になる。ただ、ページをまたがるところで、オブジェクト型の浮動表というものを今回設けている。途中で分割はされないが、例えばExcelのタブ区切りのテキストをそこに流しこめば、ページをまたがる形でオブジェクト型の表が複数ページ連続で処理される。そういう仕組みを別途用意している。

2012年2月29日TG研究会page2012注目製品「web電子出版システムとクラウドフォント・組版編集ソフトウェア」より(文責編集)

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