本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
印刷物の市場が縮小していく中で、印刷会社は新たなビジネス領域を開拓したり、印刷物需要を生み出す仕組みを創り出したりすることが必要になっている。そのことは随分前から指摘されているが、実際には、「ビジネスのタネを見つけるにどうするか」ということで悩んでいる人も少なくない。もちろん経営者の方々はそれぞれアンテナを張りめぐらして、日々さまざまな情報から自社にふさわしいビジネスを探しているだろう。
ビジネスのタネがどこに埋もれているかといえば、例えば最も身近にあるのが自社の立地する地域にあるはずである。これらを発掘して、うまく加工し、情報発信することで新たなビジネスにつながる可能性は高い。『JAGAT info』5月号では、印刷会社が手がける地域活性化のためのプラットフォームを作り出し、自らが地域の中で成長ビジネスを作っていく事例をもとに、印刷コンテンツの利活用のあり方を紹介している。
5月号で紹介している1社のうち栃木県宇都宮市にあるヤマゼンコミュニケイションズは、14年目を迎えた地域ポータルサイト「栃ナビ! 」の運営を行っており、これを起点にした新しいビジネスにも取り組んでいる。
もう1社の宮崎県宮崎市にある宮崎南印刷は電子書籍ビジネスに取り組み、2年ほど前にミヤザキイーブックスという地域のポータルサイトを立ち上げた。現在、全国で、ミヤザキイーブックスのビジネスモデルは13都道府県で使われている。
2社ともITを使って地域にある情報をうまく加工してコンテンツとして活用することで、新たなプラットフォームビジネスを生み出している。特に宮崎南印刷では印刷物需要へつながるものとしてミヤザキイーブックスを運営している。一方、ヤマゼンコミュニケイションズでも「栃ナビ! 」から派生する印刷物需要も少なくないとのことである。本誌では、2社の取り組みについて企画当初からの資金や人材、運営体制についての苦労などを織り交ぜて紹介する。
また、印刷会社の企画力、メディア力を生かす新しい地域ビジネスの可能性として、自動車旅行推進機構の「カーたびスト」の取り組みを紹介する。
さらに、これからの印刷ビジネスのモデルを探る上で参考になるように、当協会専務理事の相馬謙一が英国の印刷会社をレポートする。オフセット印刷機、デジタル印刷機を徹底的に活用してワンストップでフルフィルメントなどに取り組むソリューション事例を紹介する。
併せて、主要印刷機メーカーの多くが出展を控えたことから期待がそがれた感のあったIPEX2014だが、実際には機材展示会の新しい方向性を示すものとして評価できる内容となった展示会概要を井上秋男氏のレポートで紹介する。
経営者インタビューは東美代表取締役の堀内哲氏に、シンガポール事業への取り組みと今後の展開についてお聞きした。
(JAGAT info編集担当 小野寺仁志)
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