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これからのビジネスに必要なのは、相手の求めるものを正確に把握する能力と提案提案力であるという。
イングカワモトでは、2002年にデジタルブックを導入後、データベースとデジタルブックを連携させたシステム設計・開発をおこなってきた。クロスメディア研究会では、同社で8年前よりデジタルブック事業に携わっている内田良和氏にお話を伺った。
日経進学ナビでは、2007年より同社のデジタルブック製品「Smartパンフ」を採用している。クライアント側としては、ユーザーに学校情報をわかりやすく探させたいという要望があった。サイト経由で大学案内を請求する数が増加すれば、それだけ学校からの広告収入が増える。大手企業による同種のポータルサイトが複数存在するため、自社サイトのアクセス数を増やすために他社と差別化したサービスが求められた。
Smartパンフで実装されている横断型全文検索システムの開発は、試行錯誤の連続であったという。一般的なデジタルブックは印刷用データを流用して制作をおこなうが、当初、学校担当者にマニュアルを渡して印刷会社へ指定データ形式で納品してもらうよう依頼しても、そのとおりに貰えずに紙版のパンフレットを渡されることも少なくなかった。
中国へ入力業務をアウトソーシングすることも検討したが、大量のパンフレットを短期間・低価格でデジタル化するためには自動化が必須である。そこで、敢えて一度印刷したものをスキャンする方法を取った。
スキャナは当初、文字認識の精度の高さを必要とするためフラットベッドスキャナを使用していたが、社内のシステム担当者から大量にスキャンするためにはドキュメントスキャナのほうが適しているという助言があり、大手OAメーカーの協力を経て変更した。また問題となる文字認識の精度を上げるためメーカーに掛け合い2006年には高性能OCRエンジンを独自に開発した。現在では約800の大学・専門学校のパンフレットを公開しており、各学校側でも自学サイトでパンフレットを掲載できるようになっている。
企業向けサービスとしては、Smartパンフのように紙→Webという流れだけではなく、XMLデータをDTP用データに変換して紙→Web→紙に戻るパターンも導入実績がある。内田氏は、クライアントが求める要望を実現するために、自社ソリューションに足りない要素を追加しながら問題を解決、提案をおこなっており、これからのビジネスに必要なのは、相手の求めるものを正確に把握する能力と提案提案力であるという。
【関連情報】
「紙メディア、次の一手を探る[クロスメディア研究会・3月] 」
2009年03月26日(木) 14:00-16:00(受付開始:13:30より)
単なるデジタル化ではない、メディアの力を最大限に活かしたサービスを付加し顧客のビジネスを成功に導く事例を紹介。