主旨・目的[FAGAT]
掲載日: 2009年04月14日
アジア印刷技術フォーラムとは、アジア地域に属する国々の印刷業界の代表機関が集まって設立する機構の総称です。(略称FAGAT)
「印刷は文化の母」といわれますが、印刷産業は人類と共に歩んだ、最も歴史のある情報産業です。今日の社会を構成住める要素は重要な要素は情報であり、印刷産業は情報を担う点において、国家、社会の基幹産業といえるでしょう。
これまで印刷産業は専門技術を武器とする、その国固有の文化に根ざした内需型産業として発達してまいりましたが、今日では、印刷・情報技術のデジタル化、通信技術の高度化、国際的な経済環境の変化にさらされ、急激な変化を受けるようになりました。
とりわけアジア地域全体の印刷産業が、均衡のとれた発展を図るためには、印刷技術・情報のオープン化、国際交流が不可欠な課題となりました。
アジア印刷技術情報フォーラムの目的は、国際化に向けて協力関係を構築することを配慮しながら、印刷技術の交流、アジアの印刷産業の発展を促すことにあります。
アジア印刷技術情報フォーラム設立の目的
(1)印刷界をめぐる技術環境、マーケット環境の認識(設立の前提)
このフォーラムを設立しようとする目的には、印刷界をめぐる技術環境、マーケット環境について、下記のような認識があることが前提となっております。
- 工業化社会は成熟化し、社会生活の基盤として定着した。その上に立ち、新しいライフスタイルとして高度情報化社会が成長しつつあり、情報技術も急速に開発されてきた。
- 工業技術がアジア各国に移転されるとともに、工業製品のマーケットがグローバル化し、生産活動もグローバルになった。同時に、アジア各国の物的な生活レベルも向上し、豊かになり、平準化し、情報意欲も高まってきた。
- 人や物の移動、拡散が活性化すれば、それには情報がついて回るし、新しい情報も生まれる。その意味で、高い生活水準、交通手段や物流の高度化、そして通信の発達と自由化が、情報化社会のインフラとして存在しなくてはならない。
- 現在も発展途上国へ工業技術が移転中であるが、情報技術も同時に拡散中である。理由は、情報化社会の本質がグローバル化を要求するからである。
- 情報技術の拡散性、同時性は、地域と時間を越えようとする技術であり、国境の壁、企業間の壁さえも低くしてしまう。
- 情報化社会を充実したものにするには、情報技術のインフラを整備する必要がある。それは情報ネットワーク、情報処理技術、および関連機器の整備などを意味する。その上に立って、情報の質、量のコントロール、情報の表現技術についてのレベルが高められていかねばならない。
- 印刷技術のインフラとは、情報価値の選別技術(junkinformationの排除、情報の格付け)の問題、第二にイメージング技術のレベルアップである。
- アジア諸国は工業技術、立地の移転とともに、生活水準を向上させ、同時に、情報化社会へ急速に突入した。
アジア印刷界の情報化の問題点は、印刷のイメージング技術がまだ不安定であること、要求品質に対応した機器の採用・組合せの基準がなく多様であること、大容量の通信手段、ネットワークが作り難いこと、DTP教育の方針が確立できていないことなどである。
- アジア地域のグラフィック産業を育成するためには、アジア地域の印刷人が技術的に連帯し、技術情報を日常的に交換することが必要である。
- アジア域内におけるテキスト情報、イメージング情報の処理技術が一元化し、情報の自由な交換、伝達が行なわれるようになれば、グラフィック情報の世界化も次の課題になるだろう。
(2)アジア印刷技術情報フォーラム設立の目的
上記のような環境変化を認識した上で、次の目的を持って、「アジア印刷技術情報フォーラム」を提唱いたします。
- 印刷データの伝送──アジア諸国の所得水準が向上するのにともない、工業製品および印刷物のマーケットはアジア全域を一元化し、規模も拡大する。その場合、イメージング・データが自由に交換、伝送され、それぞれの交換先において印刷物の生産が平易に行なわれる必要があり、その結果、印刷物の量的なマーケット拡大が可能になる。そのためにも、アジア諸国の印刷技術者による技術情報の日常的な交換が必要である。
- マーケットの拡大──印刷技術情報の交換の中で、各国の印刷人はアジア諸国の印刷事情を的確に把握できる。それによりアジアの印刷人はグローバル・マーケット・オリエンテッドになれば、印刷需要を掘り起こすことができるし、何よりも視野の広い印刷人になることができる。
- 情報交換の場──
印刷技術、設備、印刷物のマーケットがアジア全域に拡大する中で、印刷物受注活動、印刷物生産活動が各国で、相互に行なわれるようになる。そのためにも、アジア印刷技術情報フォーラムは、情報交換の場として、不可欠な組織となる。
(3)アジア印刷技術情報フォーラムへ各国が参加する意義
- アジア印刷技術情報フォーラムが開催する年次フォーラム(含総会)に参加して、印刷技術情報の交換・交流が出来る。
- アジア印刷技術情報フォーラムに参加する各国代表機関が発刊する情報レポート(年3回)を受け取ることが出来る。
- アジア印刷技術情報フォーラムを通じて、メンバー国との交流、ネットワークを活用できる。
- アジア印刷技術情報フォーラムを通じて得た印刷技術情報を、自国の印刷関連業に広報することが出来る。