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最近話題となっている「いまなにしてる?」という質問に「つぶやき」と呼ばれる短い文章で答えるコミュニケーションサービス。
TwitterというWebサービスをご存知だろうか。これは「いまなにしてる?」という質問に「つぶやき」と呼ばれる短い文章で答えるコミュニケーションサービスである。140文字以内という文字制限から「ミニブログ」「マイクロブログ」とも呼ばれることもある。ひとつひとつのつぶやきは短いが、リアルタイムに情報発信できることや発する情報量が多いため、コミュニケーションツールとして以外にも有用な情報収集手段としても利用している人は多い。
海外では有名人がこぞってアカウントを開設しているだけでなくビジネスや政治でも盛んに利用されている。ホワイトハウスで公式アカウントを開設したほか、プロモーション事例としてもデルがTwitterを活用して成功したことが話題となった。またイラン大統領選挙時にはTwitterが通信手段として果たした役割に対してノーベル平和賞に値する、という意見まで出てきているという。
国内においても約50万人が利用している(ネットレイティングス社・2009年4月)といわれ、最近では「Twitterを開始した」というニュースを目にすることが多くなった。
毎日新聞社では6月より毎日jpでTwitterによるつぶやきを開始したところ、開始後約1ヶ月でフォロー(登録)数が25,000人を超えた。同社に開始理由を尋ねたところ、「ユーザーに対してリアルタイムでの情報発信ができる点に注目した」という。Twitterではフィードによる自動配信も可能であるが、同社では親しみやすさを出したい、という理由から編集部が日替わりで手作業で更新している。また今後はリアルタイム性を活かして選挙やイベントなどでの情報発信に活用していきたいという。
自治体における活用も進んでいる。青森県では7月よりTwitterを開始している。同庁担当者によると、「コミュニケーションツールや情報提供ツールとしてのTwitter利用増加を背景に、県からの新たな情報提供ツールとして活用することで、これまで関わりが薄かったユーザーに対しても県の情報をPRできるのではないかと考えた。」という。現在のところ、投稿にかける人的リソースを最小限に抑えるためにRSSの情報を再利用した自動投稿が主であるが、今後は、@付き投稿(AomoriPrefあてコメント)で利用者から意見を聞くことで、マーケティングツールとしての可能性もあると考えているという。
一方で、担当者が手動でつぶやきを発信している自治体もある。北海道にある人口3,000人程度の陸別町である。こちらは取組みを始めたきっかけが大変興味深い。
陸別町では今年4月にCMSを導入しWebサイトをリニューアルした。使い勝手やデザインは大幅に改善されたものの、訪問者数はリニューアル前と比較してもほとんど変わらなかったという。
しかし訪問者を増加させる目的で、これ以上Webを修正することは内容的にも金銭的にも難しい。
ターゲットは対町外者(観光客・移住希望者)であるため、彼らが利用していると予想されるツールの中から利便性、即効性、コストの面から優れたTwitterを採用したのだという。他候補としてはmixi等のSNSやブログポータルの開設もあったが、閉じたコミュニケーションツールであるSNSは今回のように大勢を対象とするには適当ではなく、ブログポータルは投稿記事の誘導に人的コストがかかると考え除外した。
現在のフォロー数は約500程度であるが、「北海道へ行く用事があるから陸別を通ってみよう」と言った書き込みも見受けられる。他方、「どれだけ有用な情報を継続的に発信できるか疑問」と言った意見もある。
今後の取組みについては、「町で実施されるイベントを軸に考え1年間のスパンで考えれば有用な情報を発信し続けることは可能だが、2年目からは内容が同内容になりやすくなると予想される。また今後は他市町村もTwitterへ参加してくることが予想されるため、差別化を図るためにも次年度は大きな変化が必要だと考えている。1年間はTwitterの使用を目的とする期間、次年度についてはTwitterをツールとして他の目標を達成するための期間、とすべき。」という。
前述の1社2団体であがったキーワードは、「リアルタイム性」、「(イベント等の)実況性」、「無償利用」、「新たなコミュニケーションツール」等であった。国内でもTwitterの特性を活かした取組みが今後ますます増えていくであろう。
「SNSがビジネスに与えるインパクト」 大手運営3社に聞くサービス特徴と活用可能性
2009年08月07日(金) 14:00-17:00