本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
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(1) トランスコスモス株式会社 萩原雅之氏
(2) 株式会社クロス・フュージョン 衣袋宏美氏
トランスコスモス株式会社
エグゼクティブリサーチャー
萩原 雅之 氏
トランスコスモスの萩原です。私は1999年から10年間、Webサイトの視聴率を提供するネットレイティングス株式会社で代表をしていました。本日は印刷関係の方が多いと思いますが、皆様の業界でのクロスメディアとWebマーケティングの中でのクロスメディアとはかなり違うという印象を持っています。
例えば、JAGATのクロスメディアエキスパート認証制度の中での「クロスメディアとは」という部分に「デジタルの情報資源を多様なメディアに展開することを表現する言葉の1つである。」とあります。ワンソースをそれぞれのメディアの特性に合わせて最適化して展開していくという理解になるのでしょうか。つまり印刷業界では、メディアの特性を熟知してコンテンツを最適な表現や伝え方をしていくことがクロスメディアの定義となっています。
Webページにもクロスメディアについて解説しているものがいくつかあります。Wikipediaでは、JAGATのクロスメディアエキスパートが目指しているものと全く同じ表現です(図1)。ところが、Webマーケティング業界でのクロスメディアはかなり意味合いが異なっているのです。
(図1)
ここ数年、広告代理店や企業のマーケティング担当者の間でクロスメディアという言葉は使われていてマーケティング上の流行言葉になっています。以前から広告業界ではメディアミックスという言葉があって今でも使っています。しかし、メディアミックスとクロスメディアでは違う意味合いを持たせています。正解があるわけではありませんが分かりやすい定義では。ミックスは足し算でクロスは掛け算、あるいはミックスは補完効果でクロスは相乗効果ということになります(図2)。
(図2)
マス広告が中心だった過去数十年、広告業界ではプランニングするときの発想としてメディアミックスという考え方を採用していました。広告とは「広く告げる」ことですので、出来るだけたくさんの人に企業のメッセージを伝えることがその役割になります。「出来るだけたくさんの」ということがポイントで、広告の「広」の意味になるわけです。
出来るだけ多くの人に届ける、これを「リーチ」と言いますが、一定の費用で効率良く多くの人に伝えるためのメディア戦略をメディアミックスと呼んでいました。TVだけ、新聞だけ、雑誌だけ、では人数的にも属性的にも限られてしまいます。基本的な発想としては、例えば1億円あったらTVが7、新聞が2、雑誌が1のときに一番効率的に狙ったターゲットにリーチできるということです。
これをリーチマキシマイズと言いますが、広告プラン作成には必ず考慮されます。新製品が発売されたときには、予算と伝えたいターゲットを入れれば自動的にメディアごとの予算配分、投下料を計算してくれるシステムを大手代理店は持っています。
ところがインターネットが登場した10年くらい前からクロスメディアという言い方がされるようになりました。これは、各メディアを立体的に組み合わせることで、リーチの広がりだけではなくて深さも考えるということです。クロスメディアの考え方がマス広告を中心に考えるメディアミックスと大きく違うところは、消費者をとりまくあらゆる環境をコミュニケーション・チャンネルと考えることです。
例えば、店頭や街頭といった消費者が企業のブランドや商品に接するあらゆるところがコミュニケーション・チャンネルになるという考え方です。特にWebサイトが出てきてからは、消費者はその企業のことが知りたくてWebサイトに行くわけですからより相乗効果が出しやすくなってきました。ですから、どれくらい届けられたかではなくて実際に消費者をどれくらい動かしたということが指標になってきます。
どれくらいの人が見たかではなくて次の行動をしたか、つまりコンバージョンに結びついたかを考えていくことが広告業界におけるクロスメディア評価の基本になります。
この考え方は広告代理店にとってビジネスの幅や深みを広げます。そこで広告業界は一生懸命PRに努めています。電通は4年ほど前に「クロスイッチ」という本を出しました(図3)。クロスメディアを使って消費者の気持ちをOFFからONにして動かそうということです。そのコアになる考え方が「コンタクトポイント」です。
以前はどの媒体を通せば消費者にリーチするかという発想でした。ところが「コンタクトポイント」の発想はコンタクトするのは消費者の方ですから、消費者の周りをメディアが囲みます。そして、それは従来のマスメディアだけではなくて商品そのものであったりイベントやクチコミになるわけです。
(図3)
ほぼ同じ時期に博報堂も全く同じコンセプトで「タッチポイント」というものを発表しています(図4)。
(図4)
名前は違いますが、言っていることは100%同じです。電通扱いのお客様は必ず「コンタクトポイント」と言いますし、博報堂の方は「タッチポイント」と言いますから、どっちの代理店を使っているかがすぐに分かります。こういう言葉と共にクロスメディアという発想が浸透してきています。そして、その中心的存在が実はWebなのです。
では中心となるWebメディアをどう考えればよいのか。それをうまく整理したのが「トリプルメディア」です。これは、私自身も本質的な考え方だと思っています。以前は日本広告主協会という名前でしたが、大手の広告主が何百社も集まっている業界団体である日本アドバダイザーズ協会が、今年はこういう年だったということを年に1回発表します。今年のリリースの見出しは「トリプルメディア、トリプルスクリーン戦略を考える時代」です(図5)。
(図5)
「トリプルスクリーン」はTV、PC、モバイルのことです。では、「トリプルメディア」とは何か。Paid Media、Owned Media、Earned Mediaのことです。(図6)
(図6)
Paid Media、Owned Media、Earned MediaはWeb広告研究会が作った言葉ではなくて、欧米で今年非常に注目されている言葉です。ちなみに海外では「トリプルメディア」という言い方はしていません。年末年始のマーケティング系のニュースサイトを参考に持ってきました。(図7) 昨年まではなかった言葉ですが、昨年末くらいからすごい勢いで流行っていてマーケティング界はこの言葉で一色という感じがしています。
(図7)
最近ではPaid、Owned、and、Earned MediaをPOEMという言い方もします(図8)。
(図8)
この3つの言葉は機能に焦点を当てて作った言葉です(図9)。
(図9)
Paid Mediaは費用を払って掲載するメディアで、従来の広告のことです。広義にはTVCM、新聞広告をはじめ、Yahoo!のトップページのバナー広告、また検索連動等もそうですね。要するに広告枠に費用を払って企業がメッセージを出すことです。
Owned Mediaは、own(所有する)という動詞が示すように所有しているメディア、つまり企業サイトです。最大の特長は、自分で所有しているメディアなので好きなことが出来るということです。コントロールが可能ということが一番重要です。ブランドを大切にしている企業は広告を出すときにすごく気を使いますが、企業サイトは自分で作りますので企業にとってはリスクがあまりありません。やはりコミュニケーション・チャネルの中心になるのは、このOwned Mediaであって、特に企業サイト、キャンペーンサイトになります。また、自力メディアという言い方もします。Web広告研究会が数年前に、企業サイトもメディアであるというメッセージを出して注目されています。当時はメディアといえばやはり新聞、広告、Yahooでしたから。
3つ目のEarned Mediaの、earnは稼ぐという意味です。非常に抽象的ですが消費者の信用や評判を稼ぐという意味です。今話題のソーシャルメディアがこれにあたります。この言葉は流行っていますが、実は定義がまちまちなのです。例えば、twitterの企業アカウントはどっちだろうかと考えると、自分のアカウントだからOwned Mediaでもあるし、twitterというメディアの中の1プレイヤーですのでEarned Mediaでもあります。
要するにソーシャルメディアはマス広告や企業サイトと違って、消費者コミュニティの中にあるので企業としてはコントロール出来ませんし、企業にとっては扱いが難しいのです。
買いたいという気持ちを起こさせるのは広告なのかクチコミなのかということが話題になりますが、インターネットネットが出てきてから、消費者の行動を起こさせるにはPaid MediaよりもEarned Mediaの方が重要ではないかと考えられます。ですから、Paid Media、Owned Mediaに加えてEarned Mediaをわざわざ設定しているのです。この3つを上手く組み合わせることが今後の企業コミュニケーションと考えて良いのではないでしょうか。
特長は、図10にまとめてあります。
(図10)
過去10年間の総ページビュー数、総利用時間、利用者数の推移のグラフ(図11)を見ると2001年を100とした場合に昨年の段階で、利用者は3倍、ページビュー数は5倍、利用時間は8倍になっています。私は、Webサイトの視聴率を通してネット利用者行動の変化を過去10年見てきましたが、この10年に三つの大きな変化がありました。
(図11)
1番目は2002年~2003年のBroadbandです。2001年まではダイアルアップという方法でインターネットを使っていました。それが、孫正義さんが駅前でADSLのモデムを無料で配布したお陰で、今や日本は世界一のBroadband大国になりました。2002年~2004年にあっという間に一般家庭にADSLが普及しました。高速回線、常時接続がWebメディアにとって決定的な変化になったわけです。
2番目の大きなトレンドは2005年~2006年のいわゆるWeb2.0です。Web2.0以前のウェブサイトは企業やメディアが作ったものを皆が利用するという状態でした。ポータルサイト見る、ニュースサイトを見る、つまり情報の流れはダウンロードが中心の世界でした。しかし、Web2.0以降はCGM(Consumer Generated Media)と呼ばれるオンライコミュニティ、SNS、ブログが急速に普及し、ユーザーがテキストや写真をアップロードすることになったのです。要は情報の流れが全く逆になったわけです。皆さんがアップロードしますので、当たり前ですがコンテンツは無限です。例えば、mixiは単なるプラットフォームでそこには膨大なコンテンツがユーザーによってアップロードされているので、見る側にとってはとてもフレッシュです。これが決定的に構造が変わる要因でした。
3番目としては、ここ最近の流れになりますがどんどんWebメディアがリッチコンテンツ化していきました。そして同時にストリーム化しました。つまり、リアルタイムに近いということです。もはや、ストリームなWebサイトはページという概念ではとらえにくい。Webを測る指標はページビューでしたが、図11にあるようにページビューは今では頭打ちです。ページと時間が両方増えていたのが、Rich&Streamが進むと1ページで何時間も見ているという状況になっていきます。もはやページという概念はないと言って良いのです。Webサイトのページビューが増えると喜んでいる偉い人たちがいますけれど、flashを入れたりしてリニューアルをすれば逆にページビューは減ります。つまり、ユーザーの体験はリッチになっているのに指標としてのページビューは減ることになるわけです。
では、今申し上げた話を「トリプルメディア」に当てはめて考えていきます(図12)。
(図12)
10年前は、基本的には企業がWebメディアを使って消費者とコミュニケーションをするときにはPaid Mediaしかありませんでした。つまり、YahooやYOMIURI ONLINEに広告を出すということがWebメディアの使い方だったのです。企業のHPもパンフレットがそのまま載っているという程度でした。
2003年、2004年頃からOwned Mediaとしての企業サイトが本格的に立ち上がってきてアクセスを集めるようなります。これは企業にとってはビックリすることでした。自分たちのHPにわざわざ来てくれるという感覚は今までにない経験だったからです。今や企業サイトは大変に充実していてマーケティングの中心におかれています。
そしてWeb2.0以降、Earned Mediaが台頭してきて、mixiや価格.comの中にも企業やブランドの話が出て来るようになります。消費者は商品を買うときに広告や企業サイト以外にも色々な接し方が出来るようになり、企業の情報を様々な形で知ることが出来るようになったのです。企業側もこの3つをいつも頭の中に置いておかないと本当に消費者が求めているものが分かりません。だからこそ、今年になってこの3つのメディア戦略をバランスよく統合させていこうという動きが出てきたのです。突き詰めて言えば、Webサイトにあるものはこの3つのうちのどれかです。
ホンダの企業サイトを例にとれば、380万部の新聞に全面広告を出して380万人にリーチしましたというのと、1ヶ月間にホンダの企業サイトに380万人の人が来てくれましたというのとでは380万人の重みが全く違います。
Owned Mediaが非常に重要な役割を果たすということです(図13)。
(図13)
価格.comは元々小規模なECサイトを集めたショッピングモールのようなものでした。今皆さんが価格.comを利用する最大の理由は、掲示板です。商品を使った人のレイティングやQA、感想を見て判断します。
メディアの効果を測るときに必ずメトリックス(指標)というものが必要になってきます(図14)。
(図14)
Paid Mediaは従来の広告ですのでやることがはっきりしています。つまり、何人にリーチしたのか、広告に対する認知度や理解度を調べてPaid Mediaに出したメッセージがどれくらい伝わったかを見ます。ただ効果に関するデータはなかなか正確に情報がとれないというところが悩みです。
Owned Mediaについては、コアとなる企業サイトはアクセス解析やウェブアナリティクスが必要になります。どんな人が来て何を見ていったかとか、最終的に何人の人が資料請求をしたかというコンバージョン、あるいは再訪というものが分かります。Paid Mediaと違ってOwned Mediaはメッセージのコントロールも可能ですが、かなりのところまで効果も分かります。だからこそ、アクセス解析やウェブアナリティクスを勉強する人が増えているのです。企業のWebサイトを運用するWebマスターやチームはアクセス解析をすることが必須になります。
このようにWebマーケティングは指標で繋がっていますので系統的に勉強していくことがとても重要なのです。
Earned Mediaについは、クチコミや評判の部分になりますが、これが非常に難しいのです。ブログやtwitterに色々書かれますが、ポジティブなものもネガティブなものも当然あります。こういったことがマーケティングやプランニング、企業活動の評価にかなり使われるようになっています。インターネット上のEarned Mediaの中に出てきているコンテンツを分析することによって、従来はアンケートで収集していた評判の良し悪し、ポジティブな意見なのかネガティブな意見なのか、また、感情の状況をみるセンチメント等が分かります。
つまり、Earned MediaにはEarned Mediaのメトリックスがあって、価格.comや化粧品業界での@cosme等は、自分のサイトに書かれた消費者の評判や評価を分析して企業に売るというリサーチビジネスを始めています。これはEarned Mediaなりのマーケティング支援です。
メディアのプランニングや効果測定を行なうときはこの3指標は有効です。それぞれに特長があり効果の測り方が違いますので、Webマーケティングでは3つを総合的に判断出来るようになると良いですね。
一方、マスメディアはどうでしょう。本や雑誌が売れなくなり、雑誌はとうの昔にインターネットに抜かれています。新聞も昨年インターネットに抜かれています。広告に関してはもはや図15にあるような状態です。
(図15)
図16のグラフはGDPと新聞広告費の推移を並べたものです。影をつけた期間は景気拡大期です。広告は景気の良いときは実態経済以上により伸びます。GDPを企業活動とそれが生み出した価値と考えると広告に支払われるお金は景気が良いときによりたくさん出して、悪ければ実態よりも減らすということです。ところが、2000年以降はそうはなっていません。これは新聞そのもののせいではなくて、構造変化としか言い様がないのです。
(図16)
花王やコカ・コーラなど何百億もマス広告を使っていた広告主が、もはや広告のことだけを考えてはいないのです(図17)。企業にとってはマスメディアだけにお金を使っている時代ではないという感覚がほとんど常識になっています。
(図17)
それにかわるものとして、Owned MediaとEarned Mediaの境目が今一番ホットです。企業にとってはEarned Mediaの中に自分のアカウントを持つことがやりやすいのです。ここ半年くらいで色々な企業がtwitterに公式アカウントをもって消費者とのコミュニケーションを探っています(図18)。
(図18)
Owned Media とEarned Mediaの掛け合わせの部分に事例がどんどん出てきています。トヨタがアメリカでのトラブルで企業イメージや評判が落ち込んだときにTOYOTA アメリカの事例は非常に興味深いです。twitterに引用されて記事をまとめるtweetmemeという人気のサービスがあり、その中に書かれたつぶやきを一覧出来るtoyotaconversations.comというページをトヨタ自身が作りました(図19)。
(図19)
これはトヨタのサイトですがトヨタは全くコンテンツを作っていません。全部twitterとそこで触れられた記事・ニュースで自動的に構成されます。内容はネガティブなものが多いのですが、あえてトヨタはやっているのです。糸井重里さんもおっしゃっていましたが、ソーシャルメディアの時代においては「企業の最大の戦略は正直であること、フェアであること」です。ネガティブな意見があるのは仕方ないのでその意見への対応が大事です。これは、Owned MediaとEarned Mediaを上手に使っている例です。
図20はスターバックスの例です。これは、Salesforce社のクラウドサービスを使っていて、ユーザがスターバックスへの意見をどんどん投稿出来るようになっています。ここに出た意見の中から実現しているもの、検討中のものなども、このサイトで見ることが出来ます。
今までは商品改善や満足度はアンケートでやっていましたが、こういった仕組みを使うとリアルタイムで不満やお褒めが出てきて、消費者を巻き込む形で商品開発を行なうことが出来ます。このスターバックスのサイトは、消費者の言葉とそれに対するスターバックス社の反応を同時に見ることが出来るページになっていて、非常に優れた例だと思います。
(図20)
企業にとっては、このような新しいメディアに対する方針を決めておく必要もあります。4月7日にNECがソーシャルメディアポリシーというものを発表しています(図21)。大企業としては画期的です。これは覚悟がいることだと思いますが、今後も似たようなものが出て来るでしょう。
(図21)
最後にトリプルスクリーンについても触れておきます。元々、TVにはTVコンテンツ、モバイルにはモバイルコンテンツしかなかったのですが、もはやスクリーンを選ばないという状況になっています。コンテンツ提供者は、コンテンツをオーディエンスにとって最適な状態で最適なものに提供していくことになります(図22)(図23)。
(図22)
(図23)
図24は、Web広告研究会フォーラムでのディスカッションの発言です。
(図24)
今後何年かで消費者の周りには、3つのスクリーン以外のものにもたくさんの企業のメッセージが載る時代になることは間違いありません。やはり注目されるのはKindleとiPadです。佐々木俊尚さんの『電子書籍の衝撃』には最初から最後まで「アンビエント」と言葉が書いてあります。佐々木さんは「アンビエント」を偏在という意味で使っています。
今までは、まずコンテンツがあって色々なディバイスに合わせて最適化するという考え方でした。ところが今後は、iPadの周りにありとあらゆるコンテンツが集まって全部iPadフォーマットでユーザが済ませてしまうようなことになる可能性もある。この様なインタフェースに皆さんが慣れてくれば、アプリケーションがOwned Mediaになる可能性が高いです。例えば、トヨタというアプリがあってそこをクリックすればトヨタの情報にアクセス出来て、それがTVのような画像であったり、パンフレットであったり、消費者の意見であったりというようにです。
消費者にとっては欲しいものがいつでもどこでも得られることに価値があるわけで、クロスメディアの世界はこの辺りのディバイスを中心に非常に面白いことになるでしょう。
株式会社クロス・フュージョン
代表取締役
衣袋 宏美 氏
私は色々な肩書きを持っていますが、最近は人材育成に力を入れていてセミナー等をやっています。またアクセス解析の普及活動をやりたくて、昨年春に団体を立ち上げて副代表をしています。
本日は、まずアクセス解析に興味を持っていただくということをゴールにしたいと思っています。
皆さんがお仕事する上で成果指標、成果の評価軸を持ってらっしゃると思います。では、皆さんと会社、顧客との約束を図1を参考にして1つ、2つ書いてください。
(図1)
さて、書いていただいたその評価軸は計数化されていますか。売上高は1億円にするとか、係数を評価軸として持っていますか。
次にその評価軸の数字を書いてください(図2)。
(図2)
きちんと目標がないと評価出来ませんね。そしてそれを計数化することが大事です。
今、書いていただいた項目と金額は会社の損益計算上でどこに影響を与えているか、皆さんお分かりでしょうか。
アクセス解析も本質的には同じことです。
つまりアクセス解析とは、計数的評価軸を持ち、仮説検証・分析によってサイトの改善活動を行なって企業に利益をもたらす1つの手がかりなのです(図3)。
全てが分かる訳ではなくて限界がありますので、単なる1つの手がかりを与えているだけに過ぎません。
つまり、何をやったら良いかを数字からは導き出せません。売上げが落ちているという数字は出てきますが、何をやったら良いか解答は書いてないので自分で考えなくてはいけません。これが面白いところでありがたいところです。
(図3)
今までの4マス媒体はリーチを測るデータをとっています。多くがメディア接触機会の定量データと受け取り手側のアンケートを利用して、接触率や認知度を測っています。図4にあるような調査がオーソドックスに行なわれていました。これは広告を出稿する側が簡単に出来るものではなかったので、大手の広告代理店がデータを買って広告主に持って行っていました。
(図4)
それがネットの出現によって自分でコントロール出来るようになりました。逆に言えば、ユーザの行動データも簡単にとれるようになりました。図5では5つ挙げていますが、どれをとっても非常に簡単でコストが安いのです。
(図5)
しかし、困ったことも出てきています。経済の悪化が1つのきっかけになっているのですが、短期的な成果だけを追いかける風潮が加速しています(図6)。
例えば、ブランディングのようにじっくりと浸透させていくためにGRPと言われる延べ視聴率を2000GRP出せば認知度が20%ある、というような法則に従ってはいられなくなりました。
(図6)
不況になると切られる3Kは広告、教育、交通費と言われるように、広告はばっさりと切られます。ですから、より短期的なROI、短期的に投資回収出来るものにシフトしていくわけです。
ブランディングよりも売上げに直結する販促活動にコストをかけますし、インターネット上ではバナー広告よりもクリックしてサイトに誘導する検索連動型広告によりシフトします。
また、実際にたくさんの数字が出て来るのですが、広告主さんにはその数字を分析するリソースがないのです。
計測に関するバックグラウンドはこういったことですが、ではこれをどうビジネスに活かすかということです。
成功を支えるために、Webビジネスの企画、実行の部隊が色々と施策していくことになります(図7)。
集客のテクニックとして、検索エンジンの結果の上位にもっていくための最適化の方法であるSEO(Search Engine Optimization)やYahooやGoogleで検索した結果、広告の最上段や右上に表示されるPPC(Pay Per Click)といわれる検索連動型広告等があります。
また、A/Bテストというのは、購入に結びつくトップページとしてどちらがより優れているかを訪れた人を半々に分けて成果を見比べるというものです。
(図7)
こういった色々な企画を検証するものとしていくつかありますが、アクセス解析はその1つです。
広告効果測定データに近いと思いますが、アクセス解析のデータは自社のユーザの動きを主に見るものです。
インターネット視聴率のデータというのは、競合他社との関係を見るものです。アンケート・データは結果としては定量データは出てきますが、どちらかと言えば満足度や気持ちを聞くという意味では定性的データであり、数字としては出てきません。
アクセス解析のデータはユーザの行動を数字化しているだけで、そこには問題解決の答えは書いていないわけです。しかし、そこから仮説に対して質問を作ってアンケートをしてみる。そして、「なるほど。だからこの人達はこういう行動を起こしているのだ」ということを知るのです。このように補完していきます。
つまりアクセス解析だけやっていれば良いということではなくて、色々な行動データ、競合データ等を取り混ぜながらWebサイトの企画をやっていくことが重要です。アクセス解析は、図7の位置付けの中の1つなのです。
しかし、手がかりの1つにしか過ぎないとは言え、アクセス解析を充分に活用して競合優位になっている会社はあります。
図8はあるサイトの曜日別時間帯別訪問者数です。このデータから読み取れる事実を考えてみます。
(図8)
平日はお昼休みに閲覧している。これを深読みすると昼休みに職場からサイトを見ていることが推測されます。平日は21時がピーク。土曜日は23時がピーク、金曜日は22時がピーク。
これはエンターテイメント系のサイトですので夜型です。
逆にB to Bのサイトはビジネスマンしか見ないので昼間がピークで、夜は落ちます。
図9は、どこのサイトから来たかという参照元のデータです。Google Analyticsというツールを使っています。
(図9)
平均ページビューや滞在時間、1ページですぐに帰ってしまうという直帰等を一覧にしているデータです。
Yahooニュースから来る人が多いのですが、サイト内を回遊しないで帰ることが多いということが読み取れます。当然滞在時間も短いし、ページビューも少ないです。
せっかく来てくれた人をもっとサイト内で回遊させるためにはどうしたらよいか、改善点は何かということに繋げていくためにデータを利用すれば良いのです。
また、どこから来たユーザがサイトを深く知ろうとしているのか、それをどう育てていけば良いのかを知る材料になります。
検索エンジンから入ってきた場合、参照元のURLの中に検索エンジンに入れたキーワードが付いて来ます。
そのときに会社の主力商品が検索ワードに入っていなかったら、これはマズイです。SEOもやらなくてはいけないということに結び付きます。
次は、どのページが人気があるかというページビューランキングです(図10)。
他にも色々な指標が付いていますが、右端の「$インデックス」はこのページがどれだけ売上げに寄与しているかを表すものです。
これは設定に手間がかかるのですが、売上げに寄与するページが分かるので、そのページに他のページからリンクを張っているかを見ることで、改善活動に繋げることが出来ます。
(図10)
図11はある自然保護団体のデータですが、寄付に関心を持っている人がアクセスするのはどのページであろうかというものです。
ほとんどの人がサイトのトップページにアクセスしてから寄付のページに飛んでいます。つまり、サイトのトップから寄付へのリンクが分かりやすくなっているかが大切で、ファーストビューにちゃんとボタンが見えているようにしなければなりません。下の方に隠れている様なボタンであれば改善の必要があります。
(図11)
この様にアクセス解析は、例えて言うならばコンビニのお客さんが何と何を買うぞと言いながら入ってきて、つまりそれはキーワードですが、そして、どことどこの棚を覗いて何を買ったか、いくら買ったかということまですべて分かるということです。
これが簡単な仕組みで出来るのです。要はこんな面白いデータをどうやって活かしたら良いかということです。
コンビニに出来てアクセス解析で出来ないことは、属性を入力することくらいです。
アクセス解析のデータは調査データの1つです。
調査データというのは、アンケート調査に誘導質問があるように作ろうと思えば、どのようにでも作れるものです。ですからデータの原理原則、品質を理解しないとどちらにも解釈出来てしまう怖さもあります。
アクセス解析には3手法というものがあります。代表的なものは、サーバー・ログ型です。ユーザーがWebサイトにアクセスするとログが溜まって、これを集計します(図12)。
そして、リクエストされたページを戻してユーザのブラウザに表示されます。
(図12)
サーバー・ログ型は、サーバーの負荷を測るとかエラーが起きていないかを調べる目的でシステム部門が使っていたものです。
しかし、マーケティング上に重要なデータが満載であるということに気が付きました(図13)。
(図13)
緑の枠の部分は参照元が分かります。コンピュータが分かる言語に変換されていますが、「UTF-8&rls~」以下が重要で、キーワードの部分になります。この部分を日本語に戻すと検索ワードランキング等が出せる構造になっています。
他にパケット・キャプチャー型、ウェブ・ビーコン型という方法があります。
パケット・キャプチャー型はWebサーバーの直前を流れている信号のうち取得してみたいデータを横から盗み取るようにして溜めて、そして集計する方法です(図14)。
サーバー・ログ型もパケット・キャプチャー型もサーバー側のリクエストを取得するやり方です。
(図14)
JavaScriptというブラウザ上で動く小さなプログラムを使うと、サーバーにユーザがアクセスしたページの情報を送ることが出来ます。それを集計する方法がウェブ・ビーコン型です。
これはクライアント側の挙動を見ているタイプになります。
この3つはそれぞれ特長があります(図15)。
当然違うデータをとってくるわけですから、数字は違います。
(図15)
まず、サーバー側が多くカウントされてしまうケースとしては、例えばフレームセットのように画面を右と左、もしくは上と下というように分けてhtmlで作っている場合、ユーザからすれば1ページを見ているのですがhtmlとしては複数枚リクエストしたことになってしまいます。今ではあまりありませんが以前はよくありました。そうするとページ閲覧以外のカウントをしてしまいます。
人間のアクセス以外のアクセスも色々あります。
例えば、検索エンジンがそのサイトにどんなことが書かれているのかを調査するクロールと呼ばれるものがあります。要するに、検索エンジンにインデックスするためにロボットがこのページはこのキーワードでコンテンツが書かれているのだということを調査するわけで、これがものすごく多いのです。
また、検索エンジンとは別の目的でページを巡回してコンテンツを盗んでしまうことやウィルスやクラッキング等、悪いものも来ます。
こういった人間ではないアクセスもサーバーが全部カウントしてしまいます。
ユーザ側が多くカウントしてしまうケースもあります。ユーザ側の行動は全部サーバーに飛んできません。例えば、Aページを見てBページを見てまたAページ戻るときは戻るボタンを使います。そのときは、いちいちサーバーにリクエストを飛ばさないで、キャッシュから呼び込みます。
このときのウェブ・ビーコン型の仕組みは、ブラウザ側の小さなプログラムでキャッシュでも1ページビューの信号を飛ばします。
ですからユーザ側の挙動を比較的正確に取れることになります。
サーバー側は人間ではないリクエストもカウントすること、ユーザ側は戻るボタン、キャッシュからデータが取れるということが大きな違いです。
集計のときに設定をすることでロボットからのものは排除したり、回避出来ます。
こうなると必ず、どの数字が正しいのかという話になります。
どれも正しいのです。それぞれの方法で正しく集計されているのです。
2005年にアクセス解析カンファレンスで、10種類ほどの複数のツールを突っ込んで同じサイトを計測して比較してみました(図16)。
(図16)
我々のアクセス解析認識イニシアチブというサイトでも同じようなことをやっていますので、そちらをご紹介します(図17)。
昨年の11月の30日分のデータをデイリーでプロットしたものです。
JavaScriptのビーコン型を3つ、ログ型を1つの計4つで比較しました。
(図17)
2パターンになっています。ビーコン型は3つ重なっていて、黒い線のグラフはログ型です。絶対値は1.5倍から2倍くらいの差はありますが動きのトレンドは同じです。
ユニークユーザ数も同じパターンを示しています(図18)。
(図18)
こうなるとビーコン型であればどれも同じであるようなので、同じツール内で乗り換えるならば過去データもそのまま使って継続性はそのまま担保出来るのではないかという感じがします。
問題はログ型からビーコン型への乗り換え、またはその逆です。
どこを見てもだいたい1.3倍くらいという値が出てくるとします。それならばだいたい一定の掛け算、割り算をすれば良いのではないかと考えられます。
並行期間を作ってトレンドが似ていることが分かれば、ある一定の期間が過ぎたら正式に乗り換えるということが出来るのではないでしょうか。
しかし、そもそもどちらを使えば良いのでしょう。
コスト要因等の色々なものがありますので、お使いになる会社のシチュエーションによって優先順位が違ってきます。
アクセス解析を始めるに当たって、具体的にどういうプロセスで行なうのかお話しします。
5つの項目を時系列の順番に並べ変えて見てください(図19)。
(図19)
Aは、実際のサイトで色々な企画をやっていくということです。
Bは、評価指標の数値目標を設定すること、つまりサイトが上手くいっているかいないかを何かの物差しで測るわけです。その物差しを評価指標と言います。それを決めて数値目標を定めます。例えばコンバージョン率を10%にするといった様なことです。
Cは、評価指標の項目自体を決めます。評価指標がコンバージョンであるという様に項目を決めるのです。
Dは、売上げを上げることがサイトの目標であるとか、目標を決めます。
Eは、サイトの現状を数値で確認する作業です。
まず、基本は目標設定です。Dがスタートです。
例えば、eコマースであれば売上げを上げることがサイトの目標になります。
アクセス解析上で売上高が取れなければ違う項目が必要になります。集客数、コンバージョン率、単価を掛け合わせれば売上高になります。分解するとこの3要素が管理指標として必要になります。
ここまでは数字は関係ありません。考え方だけです。
次はCです。何を測りたいかが決まらない限りツールを選べません。どういう指標でレポートするのかというKPI( Key Performance Indicator)を決めないとそれが測れるツールなのかが分かりません。
ツールを入れれば数字が出てきて現状把握が出来ます。
そうすれば目標の15万人という来客数に達していないということ等が分かって、項目に対しての目標数字が決まります。そこから、施策はどうするが始まります。
D→C→E→B→Aとなるわけです。
現実にはこう上手くはいきませんが。
アクセス解析の用語をまとめてみました(図20)。
(図20)
まず、ページについてですが、今はページとページビューの指標の重要性が落ちてきています。
以前は、htmlファイル1枚を見ることが1ページビューであってそれをカウントすればだいたい閲覧行動に近いものでした。
しかし、Flashコンテンツ等ではユーザは色々なアクションを起こしています。
元のhtmlは同じですからページビューとしては1のままですが、ユーザ体験としては10ページくらい見ているような感じです。
要は、ページの定義をしてからそれに対してカウントしていくことになります。
クリックして新しいシーンを見たら、1ページビューという定義にするツールもあります。また、Flashのクリックも計測出来るようになります。
セッション数というのは訪問回数です。では「訪問」の定義ですが、30分以上ページ閲覧がされていないとそこでいったん利用行動が切れたと判断するという考え方です。
つまり、10分おきに3時間見ていても1セッションです。10分おきに見ているのでセッションは切れていません。
ユニーク訪問者数とは、アクセス解析のレポートの集計期間は月次や週次が多いのですが、その期間内にサイトに1回以上訪問したと推定出来る人の数です。1ヶ月の間に毎日訪れても1ヶ月のデータとしては1人とカウントします。
以上のページビュー数、セッション数、ユニーク訪問者数が3大指標になります。
4大指標となると滞在時間が加わります。
では、図21のサイトA、サイトBではどちらが望ましい見られ方でしょうか。
(図21)
トップページにはなるべく速く目的のページへ誘導するという役目があります。トップページをじっくり睨んでいてもブランド理解にはなりません。
ですから滞在時間に関しては、ナビゲーションのページは短く、より深く読んで欲しいページは長くというのが望ましいですね。
答えはサイトAです。
有効な方法として、訪問者数と滞在者数の軸で分けて評価するやり方があります(図22)。
ページ別にデータが取れますのでそれをプロットしていくと、本来あるべきパターンに添ってそのデータがあるか評価出来ます。
トップページは訪問者数が多くて滞在時間が短いパターンのところにあるべきだし、じっくり読ませるページは人はたくさん来ないけれど滞在時間は長いというパターンのところにあるべきです。
(図23)
参照元は、あるページに来る前にどこにいたかということです。検索エンジンであれがキーワードまで知ることが出来ます。
入り口ページは、最初にどこから入って来たかです。
ここで重要なのは直帰率で、1ページだけで見て帰ってしまうお客さんのことですからこれは低い方が良いのです。入り口ページと直帰率はセットで評価して、入り口ページ別に直帰率を見ていきます。
成果に直結したかどうかはコンバージョンレートで見ます。
新規開拓のサイトなら見込み顧客のリストを作るために資料請求の数を見ますし、eコマースなら注文回数や人数を見ていくわけです。
アクセス解析の対顧客戦略を4つにまとめてみました(図24)。
(図24)
「集客」、「接客」、「成約」、「再訪」です。
「集客」については、参照元、キーワードを見ることでユーザの動機が分かります。まず、流入部分を解析していくのです。
サイトに入ったら、コンテンツに満足しているかを見ます。直帰が少ないか、1人当りのページビューが多いかという視点で見ていきます。これが「接客」になります。アクセス解析の言葉で言えば「サイト内回遊」です。
さらに、サイトのゴールを達成しているかを知ることも重要です。購入、資料請求やお問い合せ等、そのサイトで目標を達成したか、これが「成約」です。
「再訪」は、一度来て顧客になった人がお得意様になってくれているのか、ライフタイムバリューで考えましょうということです。
図25に見るべき指標と利用頻度をまとめています。
(図25)
ここまでのお話で何が分かり、それをどのように役に立てるのかをコンパクトにまとめていますので参考にしてくだい。
高度なツールになると300くらいのメニューがありますが、そんなにたくさんは見ていられません。実際に見るのは図25のようなもので、さらに自分が必要としている10個ほどではないでしょうか。
これはサイト全体のデータですがさらに絞りこんで、例えば、新規だけのコンバージョンを見るとか少しずつ切り分けてブレークダウンしていかないと原因は分かりにくいですら、指標をベースにさらに切り刻んでいくことが大事です。
お話ししたサーバー・ログ型、パケット・キャプチャー型、ウェブ・ビーコン型については色々なツールベンダーがあります。主要な開発元と販売元を紹介します(図26)。
(図26)
アクセス解析の今後について、ユーザー側とサービス・ベンダー側に分けて考えてみます(図27)。
(図27)
ユーザ側は3分化すると考えています。
1つ目は、非常に高度に使いこなすネット専業企業です。ちょっと改善すれば何億、何十億も利益が上がる会社はアクセス解析に1億、2億投資しても元が取れますので、今後はものすごく活用していくでしょう。
2つ目は、無料のツールを駆使してやっている個人事業主レベル。
3つ目は、この2つの中間に位置する普通の企業で、そんなに高度なツールを導入しても使いこなせないかなというレベルの企業です。
サービス・ベンダー側は、コンサルティング機能の強化が必要になり、サービスの高度化・複合化になっていくでしょう。
普通の企業は使いこなせないことが多いのでコンサルをきちんとする必要があります。サポートをしっかりして長いお付き合いをすることが大切です。
また、高度なツールを使いこなせる企業も増えて来るでしょうから、サービスの高度化やアクセス解析のデータだけではなくて様々なデータも一緒にマージして分析していく必要があります。
図28は本日のまとめです。
(図29)
図29では本もご紹介します。
古典的な名著でアクセス解析の教科書と言われるのが「新版アクセス解析の教科書費用対効果がみえるWebマーケティング入門」(翔泳社)です。
「Webアナリスト養成講座」(翔泳社)は私が翻訳・監修した本ですが、アクセス解析だけでなく、インターネット視聴率等の広い範囲のリサーチデータを使ってみましょうというものです。
(図30)
継続して勉強したい方は下図を参考にしてください。
(図31)
ユーザのネットでの反応が分かるのは楽しいとかアクセス解析って面白そう!と思っていただければ幸いです。