「変わる」ために必要なこと
掲載日: 2011年01月18日
印刷会社が変わるためには現業での収益確保は必須である。その一番の近道は「見える化」である。
印刷会社を取り巻く環境が大きく変わりつつあるなかで、印刷会社自身も変わらなければならないのは自明の理であり、“変革”“改革”“新しい価値の提供”といった単語が業界内で飛び交っている。
一方で、印刷料金のデフレ傾向は続き、収益率の低下はほとんどの印刷会社に共通する悩みといえる。サービス産業としての機能も情報産業としての機能も身に付けていかなければならないが、新しい機能を身につけるための原資は製造業としての印刷から出さなければならない。印刷会社が印刷で利益を出せないならば印刷会社ではない。印刷で利益が出ないから業態を変えるという選択もあるのだろうが、そのような綱渡りがうまくいく可能性は低いだろう。
では、どこから収益を上げればよいのだろうか。値上げが望める状況ではないし、印刷需要そのものが落ち込む中、設備頼みにも限界がある。だとすると内部で今まで垂れ流していた経費を収益に変えていくしかない。そこで、重要となるのが社内の"見える化"である。ムリ・ムダ・ムラの発見がコストダウンの種となる。そのためには、社内のさまざまな情報をMISによって迅速かつ精緻に把握できるようにしておく必要がある。
そして、社内の経営情報と業務情報の「見える化」を実現した経営者からは、いかなる社員教育よりも社員の意識改革に効果があるという声もあげられている。それまで漠然と働いていたのが自身のコストと得られる付加価値を意識して働く、すなわち“個人事業主”としての意識が生まれることで収益率は大きく改善される。
また、そうした意識そのものが、なによりも変革へのエネルギーとなる。
低価格や原価管理の問題は決して新しい課題ではなく、長年にわたり業界で問題提起されてきた。しかし、この部分への取り組みが多くの印刷会社にとってハードルが高く、遅れ気味であるのも事実である。
とはいえ、残された時間は長くはない。
是非、積極的に取り組んでいただきたい。
PAGE2011カンファレンスでは「
見える化から始める収益改善 」セッションを行います。本セッションのスピーカー全員が全日本印刷工業組合連合会の教育・労務専門委員会の委員でもあり、自社の取組みをお話いただくとともに業界全体の課題として提言を行います。