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PAGE2011 CM4開催報告。フラッシュマーケティングなどで盛り上がる位置情報ビジネス。また、国内国外の話題に事欠かない電子書籍ビジネス。
PAGE2011の3日目、2/4(金)15:15-17:15で開催したカンファレンスCM4「最新キーワードは『位置情報』と『電子書籍』」では、2011年も重要なキーワードとなるこれらのビジネス内容を理解し、トレンドを掴むことを目的とした。
「ブクログのパブー」は、paperboy&co.社のサービス。ユニークなサービスを数多くリリースする同社だが、「ブクログのパブー」はもともとWeb本棚サービスである「ブクログ」から派生して生まれたサービスである。
これはソーシャルパブリッシングと位置づけられるもので、ブログ形式で執筆する側と、本を買う側をマッチングする場が「ブクログのパブー」だ。そもそもブログは自己表現の一つだが、それらをEpubなどでパブリッシングできるところで、電子書籍と結びついた。一般向けではあるが、すでにプロの書き手も参加していて執筆・出版している。
CGMの一つの形態といえるが、ポイントは、このようなサービスが立ち上がりやすくなったということである。執筆の土壌はブログで既にあったが、電子書籍ブーム、電子書籍リーダーのデバイスが出揃ったこと、Epubなどファイルフォーマットも模索されていること、などなど、まだデファクトが固まってはいないが、電子書籍を出版したい・電子書籍を買いたい、というニーズに対して、素早くこのようなサービスが出来上がる時代ということだ。
まだまだユーザ数などの面からは今後の課題はあるものの、電子書籍ブームをブームで終わらせない一つの要素として注目していきたい。
「イマナラ!」は時限式クーポンで、位置情報を結びつけたサービスである。フラッシュマーケティングという言葉だと、グルーポンやポンパレなどをイメージするが、イマナラ!はクーポン発行側もよりリアルタイムに稼動することが特徴といえる。飲食店を例に挙げると、店側は混んでるときにクーポンを持ってきてもらっても意味がないわけで、空席があるときにクーポンを発行して、その空席を埋めたい。というわけで、ただ共同購入など価格ダウンだけでクーポンを発行するのではなく、「いまから1時間以内に来店でワンドリンクサービス」など、店側の集客したいタイミングでクーポン発行を仕掛けられるわけである。
そして位置情報と連動しているため、利用者も自分が今いるエリアを参考にクーポンを受け取れる。
BtoB要素としても、ワタミやシダックスが公式アプリに「イマナラ!」のプラットフォームを組み込むことで、各店舗で利用できるようになっている。
利用側からの引き合いも堅調であるという。今後も伸びていきそうなサービスである。やはりクーポン利用者側の満足もあるが、ポイントは店側の柔軟なクーポン発行にあるといえるのではないだろうか。
位置情報を組み合わせたフラッシュマーケティングは、店側に負担だけ強いるのではサービス品質が低下してしまうわけで、「イマナラ!」は良いバランスが取れているといえる。
(JAGAT 研究調査部 木下智之)