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「モバイルコンテンツの充実」コンファレンス報告

PAGEコンファレンス、C1「モバイルコンテンツの充実」では、携帯電話のユーザーの定額制への移行、また大半が3G(3.5G)機種になり、コンテンツ、表現の制約も大幅に緩和されるとの見地から報告、事例が紹介された。講演内容を要約する(文中敬称略)。


◆野原佐和子(モデレータ:イプシ・マーケティング研究所代表取締役社長)

ドコモ公式サイトの市場規模が年間2000億円レベルに達するなど、モバイルコンテンツ市場規模は年々拡大している。また、コンテンツ内訳も5年前の着メロ中心から、ゲームや着うた等の比率が増し、大容量化による変化がみられる。

パケット通信定額制利用者の拡大、多機能化する携帯電話の影響も大きい。当研究所調査(2006年6月実施)では定額料金ユーザーがau57.2%を筆頭に、ドコモ、ソフトバンクでも30%を超えていた。彼らはコンテンツ利用に積極的であり、またコンテンツビジネスは定額料金ユーザー前提の時代になりつつある。番号ポータビリティ制導入により、各キャリアは新機種、新サービスを積極的に導入するようになった。多機能化は加速し、おサイフ機能、ワンセグ等の利用が進む。今後は情報家電のコントローラー機能、役割も期待され、利用状況の変化がさらに続くと思われる。

◆岸原孝昌(モバイル・コンテンツ・フォーラム/以下MCF事務局長)

MCFでは2007年9月には3G携帯利用者比率が全体の8割以上と推計している。こうした動きはモバイルコンテンツ関連市場の急激な拡大をもたらした。2005年でモバイルコンテンツ市場が対前年比121%、モバイルコマース市場が同157%となった。リッチコンテンツ市場が急速に拡大、着メロが前年比を下げる一方、着うた、ゲーム、その他モバイルコンテンツは売り上げを伸ばしている。

3G・定額制の普及で物販系市場が拡大。またモバイルの特性、例えばメディアを連携する、ポータブル&パーソナル等が今後ますます注目されるだろう。また定額制によって広告のクリック数は増大する。調査では非利用者と比べて広告クリック数が週あたり467%増加していた。

QRコード読み取り機能も調査した8割以上が利用経験ありと回答した。フルブラウザ、ワンセグ受信など画面が小さいこと以外はWebと変わらない。だが、最大のメリットの携帯性を損なわせてまで画面を大きくすることはないだろう。

◆首尾木義人(シュビキ代表取締役社長)

BISCUEのコンセプトは、Business Rescue。「便利に手軽に」、「役に立つ」ものの提供を目指している。そのためには、使い勝手が良い(メディア、操作性、標準対応)、ビジネス分野を広くカバー、そしてOne source→多メディアが必須である。BtoBでのeラーニング事業展開を進めている。

BISCUEモバイルは「立ち学び」と「片手すと」がある。「立ち学び」は3G携帯電話標準対応でCD、あるいはデータベースを使って、PCとの連動を図りつつ、携帯電話でダウンロードする学習システムを提供。「片手すと」はサイトから問題をダウンロード。2択、4択等の社会人常識テスト、就職&ビジネステスト等が行える。

上り回線の高速化、端末オープン化、固定電話と端末を融合するFMCの進捗によってモバイルラーニングの動向も変化が予測される。モバイルを含め、統合的なラーニングソリューションを今後も展開していく。

◆佐野徹(日本テレビ放送網メディア戦略局モバイル事業部)

ワンセグを世界初の放送・通信連携成功ビジネスモデルに導く。ワンセグはインターネットとの連携を意識したデジタル放送だ。高画質、屋外視聴だけでなく、操作が簡単、そして無料で見られる。明快なビジョンがある。「わかりやすくて楽チン」を徹底的に追求する。それと放送と携帯、双方の得意なところを生かし結びつける。放送の同報性、テレビを見る簡単な操作性。携帯の属性・位置別情報発信、課金システム等だ。野球中継やニュース、コンテンツにも知恵を絞った。放送と通信の連携は現在、多数のコンテンツが配信されている。

広告メディアとしても、リーセンシー効果(購買直前の商品選択のお手伝い、背中の一押し)に期待している。またモバイルキャンペーン、データ放送を利用しての電子クーポン等も考えている。

2007/02/18 00:00:00


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