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カタログ・情報誌の組版自動化による効果

 従来のカタログ・情報誌制作の問題点は、データを手入力したり、カット&ペースト操作による非効率な編集作業、また手作業によるレイアウトデザインを行うことも多かった。さらに、少し凝った表組みなどは罫線引きから手作業で行っていた。  したがって、カタログ・情報誌用にデータを別途用意するなど毎回新規で作り直すような再利用性が低い状態が少なくなかった。まして、カタログに使用される価格や品番などは手作業による書き込みも多く、校正作業も時間を要し、ミス・事故も発生しやすい。これでは、人的作業負荷が大きく、時間、コストもかかってしまう。

 自動組版や自動生成ツールを利用したカタログ・情報誌制作のメリットは、効率向上と安定した品質確保である。データベースと連動することで基幹システムのマスターデータを活用できる。したがって、効率化が実現でき入力ミスもなく、データの再入力から解放され校正作業も大幅に軽減される。用意したレイアウトパターンを選択することで印刷用データを作成したり、Webカタログも同時に作成可能である。

 関西にある大手印刷会社では、書籍の編集および印刷・製本を主な業務とし、主に関西方面で配布されているフリーペーパーや英語教材、グルメ雑誌などを請け負っている。従来のDTP編集以外に、最近ではAdobe InDesignのXML自動組版機能を応用して、印刷の効率化と生産性の向上に成功している。

 現場で、さまざまな検証をおこなううちに、InDesignのXML機能を利用した自動組版システムの構想が浮かび上がってきたという。具体的には、InDesignで作成したレイアウト上にXMLのマッピングを指定し、そこへデータを流し込むことによって、ページ物を一括して編集することができるという発想である。
 まず第一歩として、自社の社員証などを制作し、バージョンアップして情報誌の編集に結びつけていった。しかし、実際の担当者によると、自動組版やXMLに関して理論的にはわかるものの、すべてが初めての取り組みであったため、不安なことも多かったという。 1年後に利益が出るようにしたいと思っていたが、実際には3か月余りで結果を出すことができた。

 現在では、出張してInDesignの講習をおこなったり、クライアントのテンプレートをサービスで作成するまでに至り、クライアントとの良好な関係を築くことができている。
 クライアントが持つ既存のデータベースを利用することにより、オペレータによる入力の手間が軽減される。さらには、校正もクライアントサイドでおこなってもらえるため、校正の人員を削減することができ作業効率が大幅に向上した。

関連情報:カタログ・情報誌における編集制作の効率化

2006/07/19 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会