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好まれる色演出と画像処理(研究会速報)

印刷に適したRGBデータと画像演出

 印刷に適した良いRGB画像とは以下のような条件を満たしている。
・イメージのわかりやすいもの
・画像再現に必要な情報が写り込んでいるもの
・印刷効果のあがる原稿、表現意図に合っている原稿
・色調と階調の豊富なもの
 (トーンジャンプのない滑らかな階調、色が飽和していない、色調バランスがよい)

 RGB入稿におけるRGB、CMYKの最適化では、責任範囲を明確にして、RGBレタッチを基本にイメージの最適化を考えることが重要である。一貫した色管理が構築されていることが前提である。すなわち、基本的な色管理基準を決める(標準化)と、画像演出のためのレタッチ力(RGBレタッチ)である。

 RGBデータを活用したCMS(カラーマネジメントシステム)ワークフロー構築の動き(標準化)は、以下のとおりである。
・RGBの最適化
 RGB画像にてトーンやカラー補正をおこない、ほとんどの色調整は終了させる
・CMYKの最適化
 CMYK変換後、スミ版などの印刷に関する微調整をおこない、シャープネス等の最終処理
・多色印刷
 RGB画像からダイレクトに多色データへ変換

 再現・修正の方向性とカラーコミュニケーションを考えると、印刷や製版では
・工業的側面(カラーマネージメント)
・アーツとしての側面(工芸的側面)
 さらに、ヒューマンウェアでは
・画像再現の難易度分類ができる能力
 イメージ共有化能力 (想像力、感性が必要)
が、要求され、今後の総合技術になる。

 一方、記憶色とは、多くの人がイメージとして記憶している色である。ほとんどの場合、記憶色は実際より鮮やかな色として演出される。そして記憶色で印刷された写真を見慣れているため、それが普通の色だと思っていることも多い。RGB画像の演出の際も、この記憶色を考慮して色調整をおこなう必要がある。

 RGBレタッチとは、画像再現のための色修整演出設計を含めたノウハウであり、その実技をいう。それは、製版作業(または制作作業)の要である。RGB画像からきちんと印刷できる。あるいはCMYKデータに変換できるノウハウを含めてレタッチの守備範囲といえる。
 画像再現2大ポイントは、カラーリプロダクションとトーンリプロダクションである。
 色が再現できてもOKにならない場合は階調再現不足(ディテール不足)のケースが多い。

 画像イメージ、画像再現判断力の養成では、冷静に自己分析をして、自分に何が足らないか、欠けているかを見つける。難しく考える必要はない。市中の印刷物、Webを教材に「自分であればどう料理するか」を常に問い掛けてみる。企画意図、デザイン、色、効果、修正、作業、仕上げ…を思い描く。思い描くことが困難であるのは、その描くことのバックグランドになっている基礎知識が不足していると考えればよい。そこを掘り下げる訓練をするとよいのではないだろうか。

2006/09/06 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会