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プロデューサー視点で見るWebサイト改善

企業などのWebサイトをリニューアルする場合、情報の整理と、クライアント側の最も訴求したい個所にユーザーを導くためのサイト設計が、改善の重要なポイントとなる。
稼動中のWebサイトの応急的な改修ではなく、クライアントへ新構築を促すために、提案と交渉はどのように進めるべきか。また、制作に向けて関係者間の意思統一を図る効率的な手法を紹介する。

サイトの良しあしを決める要件

大規模サイトを構築する場合、全体のプロジェクトに対してゴール設定をしていくのがプロデューサーの仕事である。この設定を明確にできるか否かで、サイトの良しあしは決まってくる。
デザイナー、システムエンジニアに目標値とか、サイトを作る意味に立ち返れるような仕様書や要件定義が作れるかで、サイトの広がり、振れ幅が大きく変わる。
Webのユーザービリティ向上も重要だ。入り口からメインビジネスに直結するところまで、いかに簡単に行けるようにするか。リニューアルでは訴求部分を上に配置し、そこにユーザーの導線を集中させた。これでトップページからユーザーがクリックして契約に行くまで、アクション率は2倍になった。

紙媒体の編集とWeb構築は別物

Webでは情報過多は禁物だ。あるサイトでは、トップページの文字量が一番多かった。検索エンジンに引っ掛かりやすく、アクセス数を増やしたが、反応率が異常に悪い。
紙媒体の編集とWebサイト構築は別物である。Webサイトの情報を適正量に、多ければダウンサイズするのがリニューアルであり、ユーザービリティにつながる。デザインにこだわって余分なものを埋めても、出版物ならそれなりの体裁に見える。だが、Webデザインでは迷惑行為になる。
「ユーザーはあなたほどあなたのサイトに思い入れはないし、基本知識もない」。作り手は自己満足にならないように、常に客観視してもらいたい。作り過ぎた部分は余分なコストになる。それがクライアントを半減させたりもする。
高いユーザービリティでありシンプルな構造というものが、いかにサイトの収益性につなげられるかを打ち出したほうが、クライアントにも満足のいく結果になるのではないか。

各論から要件定義

現場でのやり取りでデザインまで落としてプレゼンに行っていては、コストも掛かる。そこで分析結果と戦略コンセプトと、レイアウト前の取り決めを最初に持って行く。作り切る前に各論から決めてしまう。総論だと決められないが、担当者でも判断しやすいところから仕様化するという考え方である。
次に、ターゲットとサイトコンセプトの設計をする。ユーザーを想起して目標設定、内容を決定して、プロセスのどこをWebとしてサポートできるのかという要件定義をしていく。
この中で、判断軸、つまり何でユーザーが判断してくるのか、必要なタイミングで情報が提供できるのか、ある程度継続的な関係維持のためにこういうページネーション、コンテンツが必要だと説明する。
レイアウトの決め方は、大体このゾーンにこんなコンテンツが入るというラフスケッチ程度で構わない。だがゾーンの決定が、クリック数やアクション数の伸びに後々響いてくる。

(概要はJagat Info 2006年9月号、詳細報告はクロスメディア研究会会報 VEHICLE No.208に掲載)

クロスメディア研究会

2006/09/22 00:00:00


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