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激変するフリーペーパーの最新動向


 最新のJAFNA日本生活情報紙協会の最新調査結果に基づいて推計すれば,国内のフリーペーパー発行会社数は1,380社前後,年間の総発行部数は95.5億部と予測されるが,発行元の特定の困難なものなどを勘案すると,実質的な総発行部数は100億部を超えているものと見られる。出版科学研究所による2005年雑誌発行部数は41億部だから,フリーペーパーの実質的な発行部数は有代誌の約2.5倍規模に達していることになる。
 JAFNAによれば,2005年のフリーペーパー創刊紙誌数は154で過去最多,そのうちマガジンタイプが115で75%を占め,2002年以降はマガジンタイプがペーパータイプを上回る傾向にある。
   有代誌から無代誌への移行も目立つようになってきた。当初は既存有代誌に合わせて無代誌を刊行してしばらく併走させ,クライアントと読者リーチ,レスポンスを確保できた時点で有代誌を休刊させ,無代誌に完全移行する手法が多い。この手法は,特に情報系の雑誌において見られる。海外では,有料日刊新聞のフリーペーパー化も進んでいる。

 日本でのフリーペーパーの配布対象は,主婦が最多で全体の46.5%を占める。日本では,家計のデシジョンメーカーを主婦が務めることが多いためだが,これは世界的に見れば極めて異例と言える。海外では,財布のヒモを男性が握ることが多いために男性を対象にするものが多いという。しかし,今後は男性25〜34歳のいわゆるM1層を対象にする「R25」のような若い世代,さらに若い世代を対象にするものなどが増えると予測されている。
 配布方法は,新聞折込の比率が39.5%と前回2003年調査時に較べ△19.7ポイントの大幅減少の一方,店頭設置・駅設置・街頭配布の比率が急増し,多様な配布方法が併用されるようになってきた。配布方法の変化はマガジンタイプの増加と無縁ではないと見られる。
 多くのフリーマガジンを発行してきた日本出版販売株式会社(以下,日販)によれば,ラックに入れて「ご自由にどうぞ」では想定ターゲットに対し,限られた期間で目標の部数を正確にリーチさせることは難しいという。そのため日販では,書店においてPOSレジにお客様属性と購入雑誌及び配布物の紐付け機能を搭載し,購入時点で正確にターゲットに該当配布物を手渡せるシステムを構築している。

 フリーペーパーの課題として常にレスポンスの測定と確保が挙げられる。数あるフリーペーパー発行会社の中でも,企業として分析データを管理し,広告代理店やクライアントに提示できる会社はいまだに多くない。今後は,媒体としての費用対効果の透明性を高めていく発行会社がクライアントによって選別されていくだろう。
 日販によれば,フリーマガジンとケータイの相性は極めて良く,同社のフリーマガジン「花日和petit」の誌面は,多くがQRコードや2次元バーコードを掲載し,携帯電話インターネットのトップページをイメージさせている。レスポンスは非常に良好で,ユニークベースで配布部数の50%を超えるアクセスや引換券使用を記録したという。
 同社はフリーマガジン発行において肝要なこととして,母数,つまり発行部数と配布部数において公称部数などを使わず誠実であること,極力クリーンなデータで誌面を構成すること,意外性・利便性・メッセージ性を強く意識することなどを挙げている。

2006年6月29日 プリンティング・マーケティング研究会
会報誌FACTに掲載「激変するフリーペーパーの最新動向」より要約

2006/09/23 00:00:00


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