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外字問題は解決したのか

国内でコンピュータやDTPで文字を扱う際に、出版印刷業界を始め多くの方々が悩まされている問題が外字である。
日本語JISコードは改正を重ね、着々と文字数や字体の見直しが図られている。標準的なOSへの実装も進みつつある。
しかし、外字問題は解決の方向へ向かうどころか、新しい問題に直面している。

外字にはどんな種類があるか

一口に外字と言っても、関係する分野によってかなり違いがある。
書籍出版などで最も一般的なものは人名・地名の旧字・異体字などである。標準的なOSやフォント環境に含まれていないものは、作字して外字フォントとして扱わざるを得ない。
ロゴ・マーク類も外字として扱うことが多い。例えば、地図や案内図ではトイレやエレベーターをマークとして標記することが多い。情報誌では、限られた誌面で出来るだけ情報を伝えるためのマーク類が多用されている。これらのマーク類は外字として扱われることが多い。

また、昨今では人名・地名など日本以外の東アジア圏の文字を印刷したい場合も少なくない。それ以外に現代では使われていない古字など、JISコードやUnicodeの拡張だけでは解決しない問題もある。

DTPツールでの外字の扱いと限界

DTPが普及してから10年近く過ぎており、組版・レイアウトソフトも進化している。異体字や外字を簡単に扱え、共有することができるレイアウトアプリケーションもある。また、見た目は文字の形をしていても、インライングラフィックスとして埋め込まれていることもある。外字ツールを利用して外字フォントを作成し、グループ間や事業所間で外字を共有することもできる。マーク類は、むしろグラフィックスとして扱うことで汎用性が高まる。印刷業界には、そのようなノウハウが蓄積されている。

しかし、現在は印刷物製作だけがゴールではなくなった時代である。印刷物と同じ内容を、PDFやWeb、電子書籍などでも利用することは特別なことではなくなっている。外字やグラフィックスであっても、テキストと同じように検索できなければならない。

また、外字が使用されたデータを、5年10年先に、まったく同じイメージで印刷・表示することや流用することが出来るだろうか。これは、「5年10年前のデータを、今再現できるか」と考えると分り易い。同一のOS、ハードウエア、フォント環境やアプリケーションと外字フォントをすべて揃えることが出来ないと非常に難しい。

印刷物製作だけを目的としていた時代には、その場限りの外字フォントを作成しても大きな問題とはならなかった。また、作業グループや事業所内という関係者だけで共有できれば良かった。
しかし、PDFやWeb、電子書籍などで利用されることが当たり前の時代となり、文字数だけでなく、文字コードの一元化やネット上での共有など、新たな外字問題が山積している。

関連する研究会 【12/11(月)印刷現場における外字問題の解決に向けて】

2006/12/02 00:00:00


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