今日ではデジタルコンテンツという言葉は著しく広義で、あらゆる情報を包含するようになった。印刷される情報も素材としてはデジタルコンテンツであり、印刷用のPDFもデジタルコンテンツともいえる。アナログの時代ならば目で見ただけでオリジナルカラーフィルムであるとか、デュープだとか、カラープリント、分解フィルム、集版フィルム、校正、カンプなど区別がついたものが、デジタルのファイルになると区別がつき難くなる。
しかもそれらがネットワーク上で行き交うので、自社で作ったものとそうではないものとの区別もつき難くなる。コンテンツに関する権利の管理も必要である。うっかり間違って再利用してしまうと後でトラブルの元となる。現状ではファイルの管理はそれぞれのインハウスで行っているだけで、異なる会社にファイルが移動しても一貫して追跡できるような方法をとっているところは非常に稀である。
しかし、Photoshopでは以前から画像に関するメタデータを扱えるようになっており、技術的な基盤は大体見えているが、それらを導入して使用する管理システムの設計が難しい。それは異なる会社で共通に管理できる必要性があるからだ。こういった管理システムが実現するためには、管理すれば一体どのようなプラスがあるのか、つまり管理システムに対する投資対効果が見えなければならない。
デジタルコンテンツを販売するところにとっては、管理することで販売機会を増大させられればよい。これは何も印刷用素材に限らず、音楽でも動画でも電子書籍でも同じである。つまりデジタルコンテンツの販売には大きな共通項があることになる。今はイメージ検索にはGoogleが、動画検索にはYouTubeが、音楽には…と、分かれているが、例えば落語のオーディオ、DVD、噺の書籍、落語家の写真(これはあまりないかも)などが連鎖して横断的に検索されるようになると、コンテンツを見つけてもらう機会は増える。
こういった方向に進むことは間違いないし、技術基盤もある。今は音楽ダウンロードがブレイクしているが、ケ−タイではコミックがブレイクし始めている。古くから電子出版の取り組みは続けられていたが、近年はWebや携帯電話という国民の過半数にリーチが可能なデジタルメディア・キャリアができたので、多くの種類のデジタルコンテンツの配信・流通がビジネスとしての成長期に差しかかっているといえる。
情報のクリエイト段階から、それらの集散プロセス、そして利用者の生活におけるあらゆるTPOでの情報取得までが、デジタル・ネットワーク上で盛んに行われつつあることから、コンテンツ管理とネットワークの特質を生かしたそれら情報利用の活性化は差し迫ったテーマになってきた。
テキスト&グラフィックス研究会 会報 Text&Graphics 2006年10月号より
2006/12/23 00:00:00