さて、この試験を受けることで、日ごろの業務に何か好影響をもたらしたのでしょうか。その後、OJTの一環として、半年間ほど営業をしていましたが、やはりスムーズに仕事を回していく上で、今回の試験で得た知識は必要不可欠でした。例えばクライアントに「以前、リーフレットに使った画像のデータを(クライアントの顧客に)送ってほしい」と依頼された場合、使用目的によってデータ形式やサイズも変われば、OSやアプリケーションのバージョンなど、使用環境によっても渡す方法が異なってきます。窓口である営業がその知識を有していなければ、適切なヒアリングもできず、相手の意図していたものとは違うデータを渡すことになり、二度、三度と手間が生じます。
そのようなロスを未然に防ぐためにも、この試験は、現場入りする前の新入社員が受けるのに適しているかもしれません。実地で学んでいくことはもちろん大切ですが、資格取得によってスタートから箔が付き、顧客からも一目置かれる効果をもたらします。ただし、新入社員に受験を命じるならば、まずその上司が資格を得て、受験範囲を指導できるくらいでないと、説得力はありませんけどね。
今日では、自社ホームページや展示会などの、広報・プロモーション活動に携わっていますが、バックボーンとして印刷や製版の知識がなければ、宣伝文句も思うように書けないものです。ここでも、試験勉強の恩恵を受けていると言えましょう。
また、『稼ぎ手』だったフィルム製版が幻想になりつつある今、当社は複合メディア産業として、DTPを基点とし、新たな事業領域の開拓を推進しています。そのためにはグラフィックアーツだけではなく、ネットワークやシステム設計などのコンピュータ環境の分野も知っておかなければなりません。実務はアウトソーシングするにせよ、ディレクションや顧客との渉外に、門外漢で通すわけにはいかないからです。DTPエキスパート認証試験は、クロスメディア事業への入門編として、基礎知識を体系的に学ぶことができるため、事業拡大のための人材育成の一画をも担っているのです。
この試験は2年ごとにカリキュラムの更新があり、そのつど新問題に取り組まねばならず、油断がなりません。しかし、この業界は日進月歩。頻繁にバージョンアップしているからこそ、容赦なく先を急ぐ時代と歩調を合わせられるというもの。その意味では、非常に信頼のおける資格と言えるのではないでしょうか。
私は今、二またを掛けています。そう、DTPエキスパートとは別に、新しい資格を受験中なのです。そのどちらも、印刷会社にとって欠かせない方法論を学ぶことができますが、肝心なのは、どうやって実際の現場に生かしていくか、ということ。今後の課題です。
■月刊プリンターズサークル連載 「DTPエキスパート仕事の現場」2007年1月号
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2006/12/25 00:00:00