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印刷40年アウトライン(3)「人材動向」――物から人へ

来年2007年には、JAGATは創立40周年を迎えます。そこでこれまでの印刷産業40年間をマクロトレンドの視点で振り返ってみたいと考えました。過去を総括し、印刷産業の全体像を捉える試みとして、「産業」「技術」「人材」のそれぞれの動向から変遷を見ていきます。12月26日、27日、28日の3日間、年末特別号として連載します。第3回目の12月28日(木)は、この40年間の概観を「人材動向」から見ます。



故塚田益男JAGAT最高顧問は、32年前の当協会機関誌に以下のようにメッセージを残している。
「新しい時代、人間中心の社会、……土地に縛られた農業と同じように、機械に縛られた印刷産業界は脱皮しなければなりません。機械はあくまで生産手段であって経営の目的ではありません」(「企業の経営体質を考え直す時」より)

当時は凸版印刷から平版印刷(オフセット)へ大きくハンドルを切って、オフセット全盛へと走り出した頃である。その当時経営者の最大の仕事は「設備導入」であった。それが企業発展のカギと考えたからだ。バブル時代を経て、デジタルという大きな時代の転換期を迎えた1985年ごろから「ソフト・サービス」という言葉が登場した。20年経ち、本格的に業態変革が叫ばれソフト・サービス化への期待が高まってはいるが、実態はなかなか成果に結びついてはおらず、中小印刷業におけるソフト・サービスによる売上高はいまだ2%にも達しない。

人への投資、人を育てることで企業の課題を乗り越えるという本質的な経営の仕事がおろそかになった結果であろう。物は道具(設備)があれば作れるが、ソフト・サービスは道具より「人」である。「物」だけで顧客の満足度が向上する時代ではない。顧客、あるいは消費者のニーズを突き詰めていけば、自然に印刷の事業領域を超えざるを得ない。Web制作はもちろん、ソリューション開発、マーケット開発、エンターテイメント等々あらゆるソフト・サービスが印刷会社のビジネスといえる。

ソフト・サービスに設備や規模の制約はない。あるとすれば人である。とすればどのような人材を確保し、どのように育てるのか、そこに最大の関心をはらう必要があろう。これが経営者の最も重要な投資である。顧客の評価、満足度を上げられるのは「人」であろう。高品質の製品を作ることが出来たとしても、信頼のある「人」、「企業」でなければパートナーとして互いに尊敬できる関係は築けない。

JAGATでは変化に対する人材として1994年にDTPエキスパート、1997年からプリンティングコーディネータ、2006年にはクロスメディアエキスパートを教育プログラムとしてスタートさせた。これらの共通点は、トータルな能力、顧客志向(満足)、柔軟な組織で仕事ができることを目指していることである。人材も部分的な専門家ではなく、全体を常に俯瞰し、その中から最善の判断と行動ができる能力が必要である。

DTPエキスパートが登場して13年になるが、印刷は1985年ごろを境に大きな質的変化を遂げている。顧客が「印刷という大きなブラックボックス」に原稿を投込むだけの時代から制作・製造、あるいは配送、流通までを一気通貫でコントロールする時代に入り、Webという新たなメディアの多様な利用、印刷との連携・補完を顧客視点で模索しなければ顧客の満足はない。印刷ビジネスの質の転換は新たな質の人材を要求していることである。


経営情報配信サービス『Techno Focus(テクノフォーカス)』特別号3より要約。
『Techno Focus』特別号1「印刷40年アウトライン(1)「産業動向」
『Techno Focus』特別号2「印刷40年アウトライン(2)「技術動向」

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2006/12/28 00:00:00


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