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生活者=消費者の情報コミュニケーションとヒット商品の関係

社会全体を通したIT化、サービス化の流れは顧客の消費行動、価値観を激変させ、ビジネスの仕組みから産業の枠組みまでをも変容させはじめている。従来の川上・川下の関係も変容しはじめ、消費者接点強化によるマーケティング主導のビジネスが当り前となってきている。

そのような中、その「マーケティング」を大きなコンセプトにする日経MJ(流通新聞)では毎年年末にその年のヒット商品番付を発表している。
過去3年の東西横綱は、2003年が「デジタルAV機器」と「昭和」。2004年が「韓流」と「アテネ特需」、2005年が「iPod&iTunes Music Store」の一人横綱で、昨年2006年が、「デジタル一眼レフ」と「ショッピングセンター(SC)」であった。
2006年は「近・便」、すなわち「近さ」「便利さ」をコンセプトとした商品、ビジネス、サービスが消費者に支持されたという動向が改めて明確となったという。
80年代バブル期に登場した原型に新しい機能・技術を組み込んだもの、女性・高齢者の活用を促進するもの(任天堂DS、Wii)、近隣の多機能施設、アマチュアをプロ並にする技術(デジカメの手ぶれ補正)などなど。それらは総花的な多機能化、高付加価値化ということよりも、セレクトされた機能、セレクトされた付加価値化であったようだ。

消費者の側も、商品・サービスの価値を見極め、メリハリを付けて消費する傾向が一段と鮮明になったと日経MJでは総括している。

ではこの消費行動を促し、動機付け、決断させる情報とは? その情報コミュニケーションは、噂、口コミから引用情報、評価情報、そしてプロの情報まで、ロングテール化=2.0化してきた。
放送、新聞、雑誌、書籍などのマスメディアと身近な知り合いの間での口コミという二層化の中にあった情報コミュニケーションが、IT、モバイルツールの急激な普及により、姿形を変えながらシームレスな形でロングテール化してきたのが21世紀の今の姿である。
Web、ブログ、SNS、アフィリエイト、携帯、メール、そしてマスメディアと対面コミュニケーション。これらが機会平等に誰にでもいつでも知ろうと思えば知れる状況になった。

そのような環境の中、情報の影響力と伝播のプロセスは今後どのようになっていくのだろうか。
そういう情報を摂取した消費者は今後どのような生活行動、消費行動を取るのだろうか。

ちなみに、「近江商人JINBLOG」でも知られるマイネットジャパン代表・上原仁氏は著書『口コミ2.0 』の中で、今を、情報を選別できる時代とし、そのキーワードを「正直マーケティング」だと述べ、「消費者はモノを買うときに、売り手の言うことは47%、メディアの言うことは53%、他の消費者の言うことは90%信じる」というアメリカの調査結果を紹介している。


例年通りPAGE2007の開幕日2月7日(水)に1日かけて行う基調講演の午後の部は、ビジネスと技術をコンセプトとするセッションを2つずつ行う。そのビジネスの部では、上に述べた内容に即した、連続性を持つセッションを行う。エンドユーザーの情報行動を把握しながら、2007年のヒット商品動向を探るこの2本のセッションを通して、印刷媒体・デジタル媒体の動向も掴めるはずである。
→申込みページへ

■PAGE基調講演B1「消費者が求める付加価値・機能――IT・サービス化の中のビジネス・イノベーション」
2007年2月7日(水)13:00-15:00

・モデレータ=日本経済新聞社編集局 日経MJ編集長 為定明雄氏
・スピーカー=関心空間 代表取締役 前田邦宏氏/博報堂生活総合研究所 上席研究員吉川昌孝氏

●2006年のヒット商品番付によると機能・付加価値がきちんとセレクトされた、「近・便」をコンセプトとする、商品、サービスが支持された。この生活者=消費者の行動・欲求を通して、2007年のトレンドを読む。

■PAGE基調講演B2「情報の影響力とメディアビジネス」
2007年2月7日(水)16:00-18:00

・モデレータ=インフォバーン 代表取締役会長 小林弘人
・スピーカー=ヴィジョネア 代表取締役社長 内古閑宏/マイネット・ジャパン 代表取締役社長 上原仁

●噂、口コミから引用情報、評価情報、そしてプロの情報まで、ロングテール化=2.0化してきた情報コミュニケーション。その影響力と伝播のプロセスを踏まえながら、これからのメディアビジネスのあり方を考える。

関連情報
「消費者がマーケティングを変える日」 「口コミと企業とメディアビジネスの関係」

2007/01/12 00:00:00


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