色再現のなかで、もっともこだわり、投資し、差別化の対象になるのが肌色である。肌色は、最重要な色であり、化粧品会社をはじめ印刷業界など多くの分野で研究対象とされている。
資生堂では、データから見る肌色を絶えず研究し、肌色測定および肌色データの有用性を考えている。
研究・開発では、顧客向け肌色情報の作成やファンデーション、口紅の色調設計・色選び法、美白化粧品の研究などがおこなわれている。そこでは、年間延べ1000色という数多くの肌色データを取得し活用している。
肌の測定には、色彩計が使用されるようだが、肌色の測定、測色が最も難しいという。その理由は、生体であること、曲面であること、不均一な色であることなどがあげられる。
日本人の肌色データを見ると、顔の部位(目の下、ほお、首)によって色相が変わっている。
また、肌色は、加齢変化によって明度が下がるなどの特徴がある。しかし、近年では、加齢変化による明度の減少をカバーする以上の白色への変化があるという。
肌色の嗜好では、好ましい肌色に関する研究をおこない、白人は赤みに厳しく黄みに寛容、日本人は黄みに厳しく赤みに寛容という評価結果も得ているようである。
肌色によって似合う口紅の色が異なったり、口紅の色によって肌色の印象が異なったりするという。
印刷物でも何かと問題になり、もっとも評価が厳しい肌色であるが、資生堂の研究するさまざまなデータから肌色を考えることも興味深く、人の顔を見る目も変わるだろう。
関連情報:
肌色シンポジウム 〜 肌色に関する素養を身につけ、画像再現に取り組む人材の感性と思考力のさらなる向上を目指す 〜
2007/01/21 00:00:00