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顧客から見た印刷会社のサービス価値を考える

どんなビジネスでも、仮説に基づいて自分たちの製品やサービスをアピールし、ビジネスを行っている。そしてビジネスの結果を検証し、新たなアピール手法や新製品・サービスを計画する。その繰り返しである。
以前であれば、そのサイクルの判断は情緒的な部分や経験的な部分の比重が高いことも少なくなかった。
近年、IT(情報技術)やWebネットワークの急速な発展により、その繰り返しのサイクルが早くなっており、また具体的な事実に基づくようになっている。

したがって、印刷会社の顧客である一般企業や官庁自治体では、製品・サービスの情報を伝える印刷物の効果や製作方法についても、考え方を変えつつある。すなわち、これらの顧客企業が本当に印刷会社に求めているのは、優れた品質の印刷物の提供だけではなく、適切に、かつ最小コストで製品・サービスの情報を伝えることができているかどうかへと変わりつつある。
場合によっては、印刷物の発行部数や在庫を最小にするためのソリューションや、印刷物の発行頻度を減らしてコストを下げWebやメールで最新情報を発信するといったソリューションが求められている。

同じ印刷物を作るのでも、顧客自身がWebを操作してレイアウトをおこなうオンライン・パブリッシングでは、顧客サイドの校正の負担や事務処理を減らすことができ、顧客側のワークフローを効率化することができる。さらには、Webとのデータ連携も容易となる。
デジタル印刷はさまざまな分野でサービスを広げ、「顧客の顧客」に対して適切な情報を適切なタイミングで提供することができるかが問われている。

顧客から見た印刷会社のサービス価値とは、適切に製品・サービスなどの情報を伝えることで顧客のビジネスをサポートすること、および適切におこなうためのソリューションを提供することである。


PAGE2007コンファレンスのグラフィックストラックでは、グラフィックスに関連した顧客へのビジネス・サポートとソリューション提供をテーマにセッションをおこなう。

【D1 モニター環境の見直しによるカラーマネジメント再構築】
より一層の短納期化やコストダウンのため、色校正や承認プロセスの改革が求められている。モニター環境のあり方とカラーマネジメント再構築における印刷会社の取り組む方向性について議論をおこなう。

【D2 自動組版によって進展するオンライン・パブリッシング】
発注者サイドでテンプレートを選択し、簡易レイアウトを行うオンライン・パブリッシングは、レイアウトの自動化と校正のやりとりなどワークフロー全体を効率化する。DTPとの違いや課題について議論する。

【D3 RAWデータの徹底検証】
デジカメの普及で、データ入稿・流通・アーカイブ方法が問題になっている中、特に注目されだしているのがRAWデータだ。RAWデータの意味や標準化の必要性等を検証する。

【D4 広色域印刷によって広がるビジネス】
印刷の標準化に呼応したように高付加価値印刷としての広色域印刷も注目されている。広色域印刷について、技術・ビジネス両面での可能性、標準印刷との棲み分けについて考える。

【D5 デジタル印刷ビジネスの伸展 】
品質向上やコスト面の影響により、デジタル印刷市場が成長している。パーソナルDM、出版などの分野でバリアブル印刷が広まるなど、新しいサービス価値を目的としたデジタル印刷ビジネスについて議論する。

【D6 XMLパブリッシングと高度な日本語組版の実現】
印刷物製作と同時にWeb・携帯サイト配信や電子書籍製作を行うには、XML形式でのコンテンツ保管が有効である。アプリケーションに依存しないXMLパブリッシングと高度な日本語組版の実現について議論する。

2007/01/23 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会