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消費者がマーケティングを変える日

日経MJのMJはマーケティングジャーナルの略であり、「GDPの6割を占める消費経済にフォーカスし、生活・消費・サービス産業をカバーしている」という。同紙のコンセプトは、「素材と技術、技術と製品、製品と消費者をつなぐことがマーケティングであると考え、その視点からビジネスの動向、消費トレンドを切り取り、紹介しています」とある。
以前ならそれは流通業界やサービス業界の話であるといって聞き流すか、もしくは自社の顧客に関係があれば情報として知っておくといった程度であったはずだ。ところが近年、ITの進化により顧客の先であるエンドユーザー、つまり生活者=消費者の動向を知ることがトレンドやヒット商品につながることが注目されはじめた。

そこにWeb2.0的なブログやSNSなどの技術が登場してきた。たんなるコミュニケーションツールの発展という枠組みを越えて、個人と世の中が双方向でコミュニケーションができる技術であるから急速に普及したのであろう。となると企業側もおたくの発言などと言ってはいられなくなってくる。

表現するコンテンツもある程度理論武装されたものやオリジナルなものしか認められなかった「自己表現」からちょっとした発言、感想を書きつづるといった敷居の低さが、普及の原因とも言えるだろう。手法を身に付けた生活者は積極的に発言する。
このインタラクティブなコミュニケーションに注目した博報堂生活総合研究所の吉川昌孝氏は、それを「放電コミュニケーション」と名付けた。

乱暴な言い方をすれば、つまりWeb2.0というのは、ティム・オライリーの理論や技術そのものというより、消費者が積極的に発言するために生まれてきた概念だと考えたほうが、わかりやすいのかもしれない。
これによってメディアの役割や存在価値が変わり、社会の枠組みが大きく変化している。明らかに消費者の行動が、企業側のマーケティング手法を変貌させている。

そんな中集合知のビジネスとして、関心空間ではアーリーアダプターを中心に「共感」ある体験情報を集めるための設計を行っている。他者と目に見えるつながりを持つことで、さらに価値のあるエピソードとして広がりをみせることで、流行を生み出すこともある。
代表取締役の前田邦宏氏は、自社のサービスについて、「ライフスタイルの入ったウィキペディアみたいなもの」と語った。

印刷会社の将来像を考えたときに顧客の声に耳を傾け、「ワンストップサービス」を提供できる企業に生まれ変わる必要があるだろう。全印工連の業態変革第3ステージの「新創業」にもキーワードとして「ワンストップサービス」が掲げられている。印刷会社が受注するのは、直接的な取引先であろうが、ワンストップサービスの原点を考えた際にその先の顧客であるエンドユーザーすなわち生活者=消費者の視点でものを考える必要があることは言うまでもない。


例年通りPAGE2007の開幕日2月7日(水)に1日かけて行う基調講演の午後の部は、ビジネスをコンセプトとするセッションを行う。B1セッションでは、上に述べた内容に即した、セッションを行う。エンドユーザーの情報行動を把握しながら、2007年のヒット商品動向を探る。
次のB2セッションでは、CGMや口コミ、リッチメディアなどの動向を実際のビジネス現場の事例やクロスメディアマーケティングをまじえて、新たなコミュニケーションについてディスカッションしていく。
この2本のセッションを通して、印刷媒体・デジタル媒体の動向も掴めるはずである。
→申込みページへ

■PAGE基調講演B1「消費者が求める付加価値・機能――IT・サービス化の中のビジネス・イノベーション」
2007年2月7日(水)13:00-15:00

・モデレータ=日本経済新聞社編集局 日経MJ編集長 為定明雄氏
・スピーカー=関心空間 代表取締役 前田邦宏氏/博報堂生活総合研究所 上席研究員吉川昌孝氏

●2006年のヒット商品番付によると機能・付加価値がきちんとセレクトされた、「近・便」をコンセプトとする、商品、サービスが支持された。この生活者=消費者の行動・欲求を通して、2007年のトレンドを読む。

■PAGE基調講演B2「情報の影響力とメディアビジネス」
2007年2月7日(水)16:00-18:00

・モデレータ=インフォバーン 代表取締役会長 小林弘人
・スピーカー=ヴィジョネア 代表取締役社長 内古閑宏/マイネット・ジャパン 代表取締役社長 上原仁

●噂、口コミから引用情報、評価情報、そしてプロの情報まで、ロングテール化=2.0化してきた情報コミュニケーション。その影響力と伝播のプロセスを踏まえながら、これからのメディアビジネスのあり方を考える。

関連情報
「生活者=消費者の情報コミュニケーションとヒット商品の関係」
「口コミと企業とメディアビジネスの関係 」

2007/01/25 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会