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ウェブトップ・パブリッシングの時代が本当に来るのだろうか?

Adobe InDesign Serverとは?

アドビシステムズは、2006年12月にAdobe InDesign Server CS2の国内提供を発表した。InDesign Serverは、一般ユーザー向けのパッケージ製品ではなくシステムインテグレータ向けのソフトウエアライブラリである。
通常のInDesign CS2のユーザインタフェース(UI)に相当する部分がなく、Webブラウザなどから操作するUIを開発する必要がある。組版レイアウトのエンジン部分、カラーマネジメント機能、PDF生成やプリフライト機能などUI以外の機能は、すべて通常のInDesign CS2と同等となっている。
したがって、システムインテグレータが、エンドユーザー向けにUIや自動組版およびデータベース機能などを開発し、付加したトータルシステムを構築することになる。

例えば、選択したデザインテンプレートに流し込むデータを指示することで、専門オペレータが不要な自動レイアウトシステムを構築することができる。サーバー上で自動レイアウトやPDF生成・配信が可能なため、クライアント(端末)側に必要なのはWebブラウザだけであり、OSの種類やバージョンも問われない。

InDesign Serverは、情報誌制作会社や一般企業のカタログ製作部門、マニュアル製作部門などが自動出版システムとして導入することが想定される。
または、顧客データベースを利用したDM(ダイレクトメール)製作システムの構築も可能である。
あるいは、Webサイト上での名刺・ハガキや個人アルバム・個人出版など、さまざまな個人ユーザー向けサービスが生まれてくることが考えられる。

既にInDesignのプラグイン開発ベンダーや大手印刷会社、情報誌制作会社などが、InDesign Serverによるシステム構築やサービス提供を表明している。
アドビシステムズでは、これらの考え方をWebtop Publishing(ウェブトップ・パブリッシング)と呼んでおり、DTPの自動化の一部を担うものと位置付けているようだ。

DTPサーバーソリューションの動向

一方、国内でDTPソフトウエアを提供しているメーカーは、以前からサーバーソリューションを実現している。代表的なものに、中古車や求人などの情報誌向けソリューションや、チラシ・カタログ製作ソリューション、名刺・ハガキの自動組版・注文サイトなどがある。
大量情報の出版物を定期的に製作するには、グループワークに最適化された専用システムが効率的であるのは、当然である。また、昨今は印刷物だけでなくWebや携帯サイトでの情報発信も必要となっており、同じ仕組みでWeb用データ製作も可能である。

DTP VS. Web Top Publishingはどうなる?

スタンドアローンとWebサーバー方式、自由度の高い対話式レイアウトと制約の多いテンプレートベースのレイアウト、オペレータのスキルに依存する方式と一般社員に操作を任せるなど対立軸はいくつもある。製作対象によって向き不向きが大きく異なるだろう。
しかし、印刷物製作の自動化やWebでの情報発信との両立を目的とする場合、サーバー組版やオンラインパブリッシングが一定の範囲で普及する可能性が高いと思われる。

PAGE2007の展示コーナーでは、いくつかのシステムベンダーからInDesign Serverによるソリューション構築が紹介される。
また、同時開催のコンファレンスでは、これらのシステムベンダーと既に自動組版サーバーで大きな実績のあるDTPメーカーの方に、オンラインパブリッシングソリューションのメリットや課題について報告していただき、今後の可能性についてディスカッションしてもらう。

関連セミナー:「PAGE2007コンファレンス」
2/8(木)13:00-15:00 【D2:自動組版によって進展するオンライン・パブリッシング】

2007/01/28 00:00:00


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