「Web2.0」という言葉を耳にしない日がないくらいにWeb2.0は爆発的に浸透しつつある。1年前のPAGE2006時点では、一部IT業界のエンジニアやブロガーの間で話題に上っていた用語であり、一般にはまだそんなには知られていなかったように思える。またネット=おたくの図式も残っていたような気がする。
ところが今では、新聞やテレビなどマスメディアでも大きく取り上げられ、広く人口に膾炙されている。
これだけ知られるようになったのには、理由がある。つまりネットビジネス関係者だけでなくリアルなビジネスにも必要不可欠になってきたからに他ならなく、とすれば、これは産業そのものを左右させる力があると考えることもできるかもしれない。
消費者側の動向を見てみると、自身のブログやSNSといったCGM(Consumer Generated Media:消費者生成メディア)を利用することにより、消費行動が明らかに変化している。 口コミは、今話題になっており、消費者はオンライン上の購買行動として「検索」「比較」、そして口コミによる「検討」のプロセスを経ると言われる。だからAIDMAからAISCEAS(注目→関心→検索→比較→検討→行動→共有)という消費者購買行動モデルの変化が、取りざたされてもいるのである。
企業のマーケティング担当者やコンテンツ・プロデューサーもネット上の口コミには注意を払わざるを得なくなっている。販売促進や自社ブランド構築のためには消費者に影響力のあるいわゆる「アルファブロガー」を仕込んで、チームを作ってリリースを書いてもらったりすることもある。しかし、必要以上に策を練ると「炎上」という憂き目にあうのは、よく知られている。
今後、企業と生活者はよりよい形のコミュニケーションを模索していくことになるだろう。
新聞、雑誌、放送などの既存のマスメディアと噂や口コミなどマイメディアをうまく利用してクロスマーケティングをすることも必要になってくると思う。
口コミと企業がどのように関わってきたのか、そしてそこをサポートするサービスやビジネスにはどのようなものがあるのか?
そんな中マイネット・ジャパンでは、ユーザー自身が面白いニュースやブログ記事を探し出し、コメントや投票をしてニュースの価値を決めていくというソーシャル・サービス
「newsing(ニューシング)」を運営している。代表の上原仁氏には『口コミ2.0』という著作がある。
またYouTubeをみるまでもなくコミュニケーションツールにはもはや動画は欠かせない。ヴィジョネアでは、DVDとインターネットとの連動を可能にした「DVDMAGIC」を開発し、マーケティングへの活用として雑誌の付録や宣伝用のDVDとして付加価値を高めている。画像配信もネットで行われ、これまでになかった新しいコンテンツ流通の形を提供している。
基調講演B2「情報の影響力とメディアビジネス」では、インターネット誌の草分け『ワイアード(日本語版)』や『サイゾー』の編集長を務め、『眞鍋かをりのここだけの話』で有名なニフティのココログの仕掛け人でもあるインフォバーン小林弘人氏をモデレータにお迎えする。マスメディアに対して膨大な影響力を持ちはじめたCGMについて情報のフローや手がかりを解説していただき、これからのメディアビジネスについてディスカッションしていく。
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例年通りPAGE2007の開幕日2月7日(水)に1日かけて行う基調講演の午後の部は、ビジネスをコンセプトとするセッションを2つずつ行う。B1セッションでは、エンドユーザーの情報行動を把握しながら、2007年のヒット商品動向を探る。
■PAGE基調講演B1「消費者が求める付加価値・機能――IT・サービス化の中のビジネス・イノベーション」
次のB2セッションでは、B1の内容を踏まえて、CGMや口コミ、リッチメディアなどの動向を実際のビジネス現場の事例やクロスメディアマーケティングをまじえて、新たなコミュニケーションについてディスカッションしていく。
この2本のセッションを通して、印刷媒体・デジタル媒体の動向も掴めるはずである。
→申込みページへ
2007年2月7日(水)13:00-15:00
・モデレータ=日本経済新聞社編集局 日経MJ編集長 為定明雄氏
・スピーカー=関心空間 代表取締役 前田邦宏氏/博報堂生活総合研究所 上席研究員吉川昌孝氏
●2006年のヒット商品番付によると機能・付加価値がきちんとセレクトされた、「近・便」をコンセプトとする、商品、サービスが支持された。この生活者=消費者の行動・欲求を通して、2007年のトレンドを読む。
■PAGE基調講演B2「情報の影響力とメディアビジネス」
2007年2月7日(水)16:00-18:00
・モデレータ=インフォバーン 代表取締役会長 小林弘人
・スピーカー=ヴィジョネア 代表取締役社長 内古閑宏/マイネット・ジャパン 代表取締役社長 上原仁
●噂、口コミから引用情報、評価情報、そしてプロの情報まで、ロングテール化=2.0化してきた情報コミュニケーション。その影響力と伝播のプロセスを踏まえながら、これからのメディアビジネスのあり方を考える。
関連情報
「生活者=消費者の情報コミュニケーションとヒット商品の関係」
「消費者がマーケティングを変える日」
2007/01/26 00:00:00